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タカシの外資系物語

『君の名は。』 と外資系2017.01.17

君は 『君の名は。』 を観たか?!


「そう来たか・・・こりゃ、一本とられたわい・・・うるうる、涙腺ゆるいし(T-T)・・・」

 

いやー、年始早々、いいものを観させてもらいました。えっ?何を観たんだって?『君の名は。』ですよ!近年では異例の超ロングラン中の今作、国内の興行収入が200億円を超え、『ハウルの動く城』を上回り、歴代2位となりました(ちなみに1位は 『千と千尋の神隠し』)。「今さらかよ、ちょっと遅いんじゃないか・・・」 という説もありますが、実は正直言うと、積極的に観たいと思っていたわけではないのです。しかし、ここまで流行ると、知っておかないとマズいんじゃないか的な 心理が働いた次第。結果としては、いい意味で予想を大きく裏切られる出来栄えでした。

 

一方で、確かにいい映画だし、絶対に観て損はないと断言できることは間違いないのですが、「ここまで流行るとは・・・!」という気もします。『千と千尋の神隠し』『ハウルの動く城』が、宮崎駿、ジブリの絶頂期の作品で、相当な “鉄板” であったのと比べると、『君の名は。』の前評判は、そこまでではなかったと思います。では、どうして、このような爆発的にヒットになったのか?

 

あくまでも個人的な見解とお断りしつつ、私はその理由を以下のように分析しています。

 

①    話がわかりやすい。ともすれば複雑になってもおかしくないストーリーを、小学生が見てもわかるレベルに、わかりやすくまとめた手腕はすごい!実は、一連のジブリ作品というのは、ストーリーの奥が深く、そのことによって、子どもにはわかりにくい部分も多々あったのに比べると、『君の名は。』の方は、格段にわかりやすいと思います

②    その “世界観” がアジア、特に、中国に理解されやすい。日本のアニメ人気もあって、中国からのインバウンド層が、軒並みこの映画を観たという噂・・・(後述)

③    音楽(サントラ)がいい。RADWIMPSの “神” 的な曲の数々が、映画と一体化していた。このあたりは、プロデューサーとしての川村元気さんの手腕のすごさを感じる。ちなみに、主題歌の「前前前世」が注目されますが、RADWIMPSの真骨頂は「なんでもないや」だと個人的には強く思っています

④    “敵” がいなかった。例えば、年末年始の映画館において、ライバルは『ローグワン(スターウォーズ)』『バイオハザード』という超強敵でしたが、この2作をそもそも見ない層の受け皿として、『君の名は。』が選ばれた

⑤    CGに過度に頼っていないのに、映像がきれいである

 

『君の名は。』の世界観は世界に通じる?! 


ここでは、上記②で述べた『君の名は。』の世界観について、少しお話しましょう。

 

ジブリ作品と比較すると、ジブリはストーリーの奥深さゆえ、実は観る者を相当選びます。例えば、欧米系の人は、ジブリを観ても内容がよくわからん・・・という人が結構多かった。

 

一方で、本作 『君の名は。』 については、中国を含むアジアはもちろんのこと、欧米系の人からも支持されています。面白いのは、人種によって、世界観の捉え方に違いがあるということ。サンプルが私の友人だけなので、統計としては心もとないのですが、簡単にいうと、以下のような世界観で捉えているようです。

 

  • ● アジア系(日本、中国含む) ・・・ 輪廻転生、生まれ変わり系 または 夢の世界系
  • ● 欧米系 ・・・ パラレルワールド系

 

これはどちらが正しいというわけではない。文化や宗教観に依存する話ですから。評価すべきは、異なる文化・宗教観を、うまく包含して映画を作ったということ。『君の名は。』の主人公の一人である三葉ちゃん自体が神社の巫女さん修行中という、日本人以外の人が見るとわかりにくい役どころのはずなのですが、それを世界中の人に理解させているのはすごいと思います。

 

あと、震災等で辛い経験をされた方にとって、どこかにそうではない世界が必ず存在して、いつかまた会えるという感覚を、映像で具現化することで勇気づけになっている側面もある。これは、福島出身の私の友人が言っていました。確かに納得しかりです。

欧米の投資銀行が欲しがるノウハウ= 『君の名は。』?!


最近、こんな話を聞きました。

 

ある欧米資本の投資銀行が、日本の投資銀行とアライアンス(業務提携)を結ぶ、という契約を進めていた。アライアンス締結の条件は、それぞれの強みを相互に提供すること。欧米投資銀行は、これまでに培ってきた 航空機リースなどのプロジェクトファイナンス手法の提供を申し出た。これは、日本の投資銀行にとっては、のどから手が出るほど欲しいノウハウ。一方で、欧米投資おう銀行が、日本の投資銀行に要求した、日本の強みであるノウハウとは・・・、さて、何だったか?みなさんわかりますか??

 

それは、

 

アニメ等 エンターテインメント分野における パッケージングのノウハウ

 

だったのです!ジブリ作品や『君の名は。』、また AKB48などをマーケットでセリングする手法が、これに含まれるとのこと。いまや、この分野における日本の能力は、欧米の投資銀行がほしがるほど優れたもんだということです。本当に素晴らしい!思わず快哉を叫びたくなります。

 

実はこの話にはオチがあって、欧米の投資銀行から エンターテインメント分野におけるパッケージングのノウハウを要求された日本の投資銀行は、そのノウハウを持ち合わせていなかったために、この提携話は流れたそうです。なんやねん、それ・・・。アニメ等エンターテインメントをビジネスとして体系化し、それを専門的に学ぶ仕組みを作らなければ、日本のお家芸も、すぐに欧米に真似されて、強みでも何でもなくなってしまう・・・そんな危惧をもった次第です。では!

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この記事の筆者

奈良タカシ

1968年7月 奈良県生まれ。

大学卒業後、某大手銀行に入行したものの、「愛想が悪く、顔がこわい」という理由から、お客様と接する仕事に就かせてもらえず、銀行システム部門のエンジニアとして社会人生活スタート。その後、マーケット部門に異動。金利デリバティブのトレーダーとして、外資系銀行への出向も経験。銀行の海外撤退に伴い退職し、外資系コンサルティング会社に入社。10年前に同業のライバル企業に転職し、現在に至る ( 外資系2社目 )。肩書きは、パートナー(役員クラス)。 昨年、うつ病にて半年の休職に至るも、奇跡の復活を遂げる。

みなさん、こんにちは ! 奈良タカシです。あさ出版より『外資流 ! 「タカシの外資系物語」』という本が出版されています。
出版のお話をいただいた当初は、ダイジョブのコラムを編集して掲載すればいいんだろう ・・・ などと安易に考えていたのですが、編集のご担当がそりゃもう厳しい方でして、「半分以上は書き下ろしじゃ ! 」なんて条件が出されたものですから、ヒィヒィ泣きながら(T-T)執筆していました。
結果的には、半分が書き下ろし、すでにコラムとして発表している残りの分についても、発表後にいただいた意見や質問を踏まえ、大幅に加筆・修正しています。 ま、そんな苦労 ( ? ) の甲斐あって、外資系企業に対する自分の考え方を体系化できたと満足しています。

書店にてお手にとっていただければ幸いです。よろしくお願いいたします。
奈良タカシ

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