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タカシの外資系物語

“あなたは チャンピオン!” メールが届いたら?!(その1)2015.11.10

“チャンピオン” に何思う?!

 

チャンピオン champion   ・・・と聞いて、みなさんは何を思い浮かべるでしょうか?

 

私と同年代(40後半のバブル世代)の人ならば、アリスの『チャンピオン』という歌が挙がるかもしれません。歌のかっこよさ、熱さ は もちろんのこと、サビの “You are king of kings !” という歌詞で、単語 of の用法を学んだりして、私にとっても結構思い入れのある歌なんですよね。

 

また、これも同世代の人限定かもしれませんが、『少年チャンピオン』というのもありますね。ちょうど私がマンガを読み始めた頃の 『少年チャンピオン』は、「ブラック・ジャック」「ドカベン」「がきデカ」・・・など、不朽の名作がズラリと並ぶ、まさにキラ星のような週刊誌でした。

マンガ誌というのは栄枯盛衰が激しくて、『チャンピオン』 の前は『マガジン』だったし、その後は『ジャンプ』が圧倒的な地位を占めることになります。それぞれの年代で、思い入れのある雑誌や作品に微妙な違いがあって、飲み会なんかでは盛り上がりますよね。少女マンガの世界でも、『なかよし』 『フレンド』 『別マ』 など、みなさんの一押しがあるのでしょう。

 

話を戻しましょう。「チャンピオン(champion)」という言葉、日本人としての一般的な印象は、スポーツ競技の優勝者 を指すように思います。イメージとしては、まさに アリスの『チャンピオン』が描くところの、チャンピオン・ベルトを締めた、ボクシングなど格闘技の王者 というのが、最もピッタリ来るように思います。

 

では次の質問! もし、“You are the champion ! ” というメールが届いたら、あなたならどうしますか? えっ、捨てる?! ま、今のご時勢、こんな内容のメールが届いたら、スパムだと思って開封もせずに捨てられるのがオチですわな・・・。 しかし! 送信してきたのが明らかに社内からで、かつ、えらいさんからだったとしたら・・・。今回のコラムでは、“You are the champion ! ” メールについてお話します。

 

“あなたは チャンピオン!” と言われたら?!

 

ん? (と、メールBOXを見たら・・・) “You are the champion ! ” の文字が!! 最初のうちは、かなりビビります(と、同僚の多くも言っています・・・)。私など、初めてこのタイトルのメールを受け取ったとき、今は亡き クイーンのフレディ・マーキュリーからの 怨念メール かと思ったぐらいですから・・・(クイーン・ファンのみなさん、および、フレディ・ファンのみなさん、決して茶化しているわけではないので誤解なきよう。私もクイーンとフレディの大ファンですから、このようなことが頭に浮かぶわけで・・・)。

(注: クイーンを知らないみなさんに少し解説しておきますと・・・、クイーンの代表曲に『We are the champions』(邦題:伝説のチャンピオン) というのがありまして、そのことを言っております。CMソングにもなった曲ですので、みなさんも、一度は聴いたことがあると思います)

 

クイーンの 『We are the champions』 については、また後ほど触れますね。実は、今回のテーマに関係が深いので・・・

 

この “風習”、実は私が所属する会社だけではなくて、多くの外資系企業においても、表現や形式は多少異なるものの、ほぼ同様のことが行われているようです。 果たして “You are the champion ! ”メールとは、一体何なのか? ・・・と、簡単に正解をお話しすると、ここまで引っ張ってきた意味がないので、少しヒントをお出しすることにいたしましょう。

 

以下は、ここ2年ほどの間に、私の元に届いた “You are the XXX champion ! ”メール の一覧です。XXX の部分が、メール毎に異なっています。

 

(1)   You are the ‘mobile’ champion !

(2)   You are the ‘cloud’ champion !

(3)   You are the ‘mid-range deal’ champion !

(4)   You are the ‘hiring’ champion !

(5)   You are the ‘freshman training’ champion !

 

さて、何だと思います??

 

“擁護者” としての チャンピオン

 

‘mobile’(モバイル)、‘cloud’(クラウド)というのはIT系の各ソリューションを指しています。‘mid-range deal’(中規模案件)、‘hiring’(採用、特に中途採用)、‘freshman training’(新人のトレーニング) は、文字通りの意味です。では、“champion” とは何を指すのか? それは、

 
「XXX の分野を強力に推進する リーダー(の一人) に指名した!」

 

と言っているのです。つまり、“You are the XXX champion ! ” と言うことで、職務上の指示を出しているというわけです。

 

この場合の champion は、われわれが抱くイメージと、若干違いますよね。参考までに、champion という言葉を辞書で引くと、以下のように記載されています。

 

champion

【名詞】【可算名詞】

1 (主義・主張のために戦う) 闘士,擁護者

2 a (競技の) 選手権保持者,優勝者.  

 b (品評会の) 最優秀品.

3 《口語》 他よりすぐれた人[動物].

 

ま、派生的に見れば、どれも似たような意味なのですが、われわれ日本人は、1 の意味については、強く意識していないと思います。普通は、2 次いで 3 でしょうね。

 

一方で、外資で飛び交う “You are the XXX champion ! ”メール には、1 の意味が意図されています。 その分野で1位になってください・・・ よりも、その取り組みを理解し、闘士として戦ってください、若い社員の活動を擁護・サポートしてください・・・ という意味の方が強い。なので、一般社員ではなく、私のような管理職に対して、“You are the XXX champion ! ” と言ってくるわけです。

 

前述の クイーン 『We are the champions』 でも、1の意味が強い。クイーンのボーカルであり、この曲を作詞作曲したフレディ・マーキュリーは、ゲイ なんですね。彼は、エイズで死亡します。彼の歌には、自分と同じ立場の人々を勇気付け、擁護するようなメタファーが多い。フレディは、“champion” という言葉に、その思いを込めたのでしょう。彼が亡くなったのは、1991年のこと。そして、GLBT が日本において一般に認知され出したのは、ここ最近のことですから、考えさせられるものがあります。

 

次回のコラムでは、“You are the XXX champion ! ”メールが届いたときの 正しい対処法 と そこに託した外資の政策(思惑)についてお話したいと思います。

(次回続く)

 

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この記事の筆者

奈良タカシ

1968年7月 奈良県生まれ。

大学卒業後、某大手銀行に入行したものの、「愛想が悪く、顔がこわい」という理由から、お客様と接する仕事に就かせてもらえず、銀行システム部門のエンジニアとして社会人生活スタート。その後、マーケット部門に異動。金利デリバティブのトレーダーとして、外資系銀行への出向も経験。銀行の海外撤退に伴い退職し、外資系コンサルティング会社に入社。10年前に同業のライバル企業に転職し、現在に至る ( 外資系2社目 )。肩書きは、パートナー(役員クラス)。 昨年、うつ病にて半年の休職に至るも、奇跡の復活を遂げる。

みなさん、こんにちは ! 奈良タカシです。あさ出版より『外資流 ! 「タカシの外資系物語」』という本が出版されています。
出版のお話をいただいた当初は、ダイジョブのコラムを編集して掲載すればいいんだろう ・・・ などと安易に考えていたのですが、編集のご担当がそりゃもう厳しい方でして、「半分以上は書き下ろしじゃ ! 」なんて条件が出されたものですから、ヒィヒィ泣きながら(T-T)執筆していました。
結果的には、半分が書き下ろし、すでにコラムとして発表している残りの分についても、発表後にいただいた意見や質問を踏まえ、大幅に加筆・修正しています。 ま、そんな苦労 ( ? ) の甲斐あって、外資系企業に対する自分の考え方を体系化できたと満足しています。

書店にてお手にとっていただければ幸いです。よろしくお願いいたします。
奈良タカシ

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