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タカシの外資系物語

外資流 “本当に残念な人” にならない方法(その2)2015.10.27

外国人マネジメントが期待していることとは?!

 

(前回の続き)“残念な人” = 「能力は高いのに、評価されない人」「その能力を、見当違いの方向に使ってしまう人」 だとすると、外資には、もっと残念な人 が存在します。それは、“本当に残念な人” ・・・ 日系企業では相当評価されていたにもかかわらず、外資に転職した途端に、評価されななくなる。英語はめっちゃできるのに、その能力を経営層への反抗活動に使ってしまう・・・ 今回のコラムでも、“本当に残念な人” の 残念ぶり についてお話したいと思います。

 

「今期、各営業部の売上予算については、前年比150%を必達とする!」

(おいおい、無茶言ってんじゃないよ! 無理に決まってんじゃん・・・(T-T))

 

営業部長以下、目標達成のために走り回っているさなか、資料整理とか、過去の営業計数の分析とか、どーでもいいようなことをやって、

 

「そんなこと、今やることじゃねーだろ! 空気読めよ!!」 

 

と 言われるのが、“残念な人” です。

 

「もしかしたら、その資料整理や分析が、売上を激増するのにつながるのでは・・・?!」 

 

と、意味もなく期待させたりするのですが、全くつながらない! それこそ、“残念な人” が “残念!” たる所以なのです。

 

ではこんなとき、“本当に残念な人” は何をしているか? 外資で典型的なのは、「得意な英語を使って、“前年比150%UPの営業目標など無理である!” ことを、延々と外国人マネジメントにクレームする」 というもの。なまじ英語がデキるもんですから、結構、通じているような感じになる。しかし、これは大間違い!

 

外資で一度決まったことは、絶対に覆りません。ゼッタイに! です(ボスが変わったら別。手のひらを返したように、180度変わることもある)。なので、いかに流暢な英語で、その理不尽さを説明しても、意味はない。必要なことは、前年比150%を達成するための “条件” = マネジメントへの要望事項 “requirement” です。どんなに奇想天外なことでも構わない。外国人マネジメントが聞きたいのはその一点に尽きるわけです。

 

“requirement” の考慮点

 

では、前年比150%を達成するために、次の “requirement” を提示したとしましょう。

 

  • ● 少なくとも2ヶ月以内に、経験のある営業パーソンを3名、中途採用すること

 

マネジメントへの要望事項 “requirement” に盛り込むべき内容 および 考慮すべき点 は、以下の3点です。

 

(1)   数値を用いて、具体的に表現する ・・・ 「経験のある営業パーソンを中途採用してほしい・・・」ではダメです。なぜなら、そのことによって営業目標を達成する根拠・裏づけがないから。「2ヶ月以内に」「3名」という具体的数値の裏側には、前年比150%の実現に向けた、数字の裏づけ がある(はず)です。逆に言うと、“requirement” を提示する場合には、数字の裏づけ を必ず作っておきましょう。裏づけは精緻であるにこしたことはないですが、多少胡散臭くてもOKです。裏づけが ある ことが重要なので。

 

(2)   実現可能なこととする ・・・ 「今週中に、3名中途採用してほしい・・・」は、不可能です。不可能な議論をしても、時間のムダです。「2ヶ月以内に・・・」も、相当チャレンジングではありますが、不可能ではない。実現ギリギリの線でお願いすることが重要です。

 

(3)   依頼先であるマネジメント(役員)が直接アクションできることで議論する ・・・ 例えば、「スタッフのモチベーションを上げる」「営業スキルを向上させる」というのは、ここでいう “requirement” として議論する話ではありません。それらは、マネージャーであるあなた自身が考えるべき話です。 「(スタッフのモチベーションを上げるために)臨時ボーナスや案件獲得コンテストを実施するので、原資を手当てして欲しい」「(営業スキルを向上させるために)Eラーニングの講座を研修メニューに加えて欲しい」等々、役員が直接実現できる内容に落とし込んでから、依頼しなければなりません。

 

“requirement” を 金科玉条に!

 

さて、上記のような “requirement” をしたとして、多くのケースにおいて、施策の実施は遅れます。「2ヶ月以内に3名投入!」 だったものが、「3ヶ月目にやっと1名、残り2名の目処は立たず・・・」 なんていうのは、日常茶飯事です。そんなとき、あなたはどうすべきか?

 

「あーー、このままでは、150%はおろか、100%達成も危うい・・・ もう、新人でもなんでもいいから、人を投入してくれーーー(T-T)」

 

・・・などと、うろたえるのは最悪です。これこそ、“本当に残念な人” の典型。 ヤバイ状況にあるときこそ、あなたはどっしりと構えていなければなりません。そのために、“requirement” を提示したのですから。

 

ここで、あなたが言うべきは、

 

「役員・・・、残念ながら、私が “requirement” としてお願いした事項が、全く実現されていません。このままでは、前年比150%どころか、100%の達成も難しい状況です。そこで、次善策として、前年比150%という目標を下げる代わりに、新人を投入するなどの現実的な議論をしたいと思うのですが・・・」

 

ということ。 あくまでも、“requirement” を 金科玉条 として話すことが重要です。こういう議論になることを見越して、上記 (1) で述べた 具体的な数値 を作っておく必要があるのです。

 

日本的な感覚からすると、なんか四角四面で、融通が利かない感じがするかもしれません。しかし、外資における仕事の進め方というのは、そういうもんです。日常のルーティン業務は、四角四面でルール通りに動く、緊急事態の場合に限って、役員のような限定された人のみが、融通を利かせて意思決定をするわけです。

一方、日本的な感覚では、日常業務においても、臨機応変に融通を利かせる人こそが優秀である、というイメージがあります。このあたりの Gap が、“本当に残念な人” を量産しているような気がしてなりません。

 

【コツ②】 ルール通り忠実に動く。ルールが通用しないような無理難題に対しては、“requirement” などを提示することで、責任を役員に振っておく

 

次回はこのテーマの最終回として、チームワーク という観点での、“本当に残念な人” のお話をしたいと思います。では!

(次回続く)

 

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この記事の筆者

奈良タカシ

1968年7月 奈良県生まれ。

大学卒業後、某大手銀行に入行したものの、「愛想が悪く、顔がこわい」という理由から、お客様と接する仕事に就かせてもらえず、銀行システム部門のエンジニアとして社会人生活スタート。その後、マーケット部門に異動。金利デリバティブのトレーダーとして、外資系銀行への出向も経験。銀行の海外撤退に伴い退職し、外資系コンサルティング会社に入社。10年前に同業のライバル企業に転職し、現在に至る ( 外資系2社目 )。肩書きは、パートナー(役員クラス)。 昨年、うつ病にて半年の休職に至るも、奇跡の復活を遂げる。

みなさん、こんにちは ! 奈良タカシです。あさ出版より『外資流 ! 「タカシの外資系物語」』という本が出版されています。
出版のお話をいただいた当初は、ダイジョブのコラムを編集して掲載すればいいんだろう ・・・ などと安易に考えていたのですが、編集のご担当がそりゃもう厳しい方でして、「半分以上は書き下ろしじゃ ! 」なんて条件が出されたものですから、ヒィヒィ泣きながら(T-T)執筆していました。
結果的には、半分が書き下ろし、すでにコラムとして発表している残りの分についても、発表後にいただいた意見や質問を踏まえ、大幅に加筆・修正しています。 ま、そんな苦労 ( ? ) の甲斐あって、外資系企業に対する自分の考え方を体系化できたと満足しています。

書店にてお手にとっていただければ幸いです。よろしくお願いいたします。
奈良タカシ

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