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タカシの外資系物語

Singularity って、何?(その3)2015.07.14

いよいよ・・・、Singularityの説明開始!

 

(前回の続き)「東京オリンピックを境に、人間の仕事の大半が、AI(人工知能)・ロボットに取って替わられてしまう!」・・・ 前回までのコラムでは、いくつかの “証拠” を提示することで、その信憑性についてお伝えしました。読者のみなさんは、私の言い分が荒唐無稽なことではないことが、ご理解いただけたと思います(・・・と、信じます!)。そう、これは空想や都市伝説の世界ではなく、現実に起こるのです!!今回のコラムでは、日本ではほとんど認知されていない “Singularity” について、ご説明いたします。

 

みなさんは、“Singularity” という言葉をご存知でしょうか? “Singularity” は、“特異点” といいまして、主に、数学や物理などの科学分野で使われる専門用語です。

そもそも、“特異点” という言葉自体、初めて聞いた・・・ という方も多いと思います。実は私も、AIのことを調べていくなかで、この言葉に初めて出会いました。

 

特異点 = ある基準 (regulation) の下、その基準が適用できない (singular な) 点である(wikipediaより)

 

・・・ね? なんのこっちゃ、さっぱりわからんでしょ? ハハハ・・・(汗っ!)。 ここは、参考書の力を借りましょう!

 

“2045年にコンピュータが人類全体の能力をはるかに超え、それ以降の歴史の進歩を予測できなくなるという説があります。この時点を「技術的特異点(Singularity)」と呼びます” 

(『2045年問題』 松田卓也著 廣済堂新書)

 

つまり、特異点(Singularity)とは、これまでの法則や常識が全く通じなくなる将来と現在を切り分ける時点、と考えてよさそうです。例えば、いわゆる ビッグバン(宇宙の誕生)などは、典型的な特異点です。われわれが認識している物理学というのは、基本的に ビッグバン以降 のものであって、ビッグバン以前については、どんな状態だったかについてはぼんやりと解明され始めているものの、その状態を制御する物理学については、全くわかっていません。

 

『2045年問題』とは何か?!

 

さて、昨今話題になっている 特異点(Singularity)とは、ビッグバンではなく、

 

「コンピュータが人類全体の能力をはるかに超える日」

 

のことを言っています。最新の研究では、それは 2045年 だという説が支持されています。よって、特異点(Singularity) とは、コンピュータが人類全体の能力をはるかに超えると予想される 2045年 であり、そのことがもたらすであろう問題を 「特異点(Singularity)問題」「2045年問題」と呼びます。

 

「あれっ? タカシの説では、東京オリンピック(2020年)を境に、人間の仕事の大半が、AI(人工知能)・ロボットに取って替わられてしまうんじゃなかったっけ? 2045なら、ずーーーっと先じゃん! ま、ひとまず、良かった、良かった・・・(安穏として、お茶をすする・・・、ズズーーッ)」

 

って、違うわーーーーーーーーーーーっ! 2045年というのは、コンピュータが人間を “完全に” 追い抜く年。全ての仕事がコンピュータに取って替わられるばかりか、下手をすると、コンピュータによって人間が支配されている SF映画のような世界 になっている ということじゃーーーーーーーーーーーーーっ!! ハァハァハァ・・・(T-T)

 

一方、私が東京オリンピックの段階で起こるのではないか、と危惧しているのは、知的職業の一部が、コンピュータに取って替わるという時点であって、特異点(Singularity)の “序章” にすぎないのです。

 

『攻殻機動隊』のまんまが起こる?! 

 

「ま、いずれにしても、2045年ってのも、タカシが危惧している東京オリンピック時点ってのも、あくまでも予想だろ? 仮に、そうなったとしても、東京オリンピックの時点さえ乗り切れば、2045年なんて、俺もう定年だし・・・」

 

アホか!(暴言、スミマセン・・・) まず、東京オリンピック時点において、金融機関に勤める人をはじめ、大半の人が職を失う可能性がある。それを 生き残れる と言っている理由がわからん。

 

次に、仮に東京オリンピック時点を survive したとして、2045年まで何も来ないわけではない。このまま行けば、確実に、コンピュータが人間の職業だけでなく、情緒的な活動ををも侵食していくことは間違いないでしょう。また、あなたが生き延びたとしても、あなたの後輩、子供、孫が担う次世代にとっては、文字通りの死活問題なのです。イメージできないようなら、『攻殻機動隊』 を観ればいい。あのまんまが起こるのです。私は、巨人が攻めてくるので、高い塀を築く必要はないと思っています。しかし、『攻殻機動隊』については、これに相当近似した世界が実現すると思っています。ちなみに、『攻殻機動隊』がハリウッドで実写化される計画があるそうで、主人公の草薙素子役として、スカーレット・ヨハンソンにオファーが来ているそうです。うむ、適役じゃないですか! 楽しみ、楽しみ・・・ (って、単なるファンか、ワシは・・・)

 

一般的に、日本においては、上記のような話は認知度が極めて低い。その理由は、そのような可能性を認めつつも、心のどこかで そんなの起こらない! 都市伝説にすぎない! 研究対象になりえない! B級である! という感情があるからではないでしょうか? しかし、日本以外の先進国、特にアメリカでは、政界・学界・財界問わず、真剣に議論をしています。例えば、“Singularity” の研究に関する最先端の組織として、2008年に、アメリカのシリコンバレーの中心にあるNASAのエームス・リサーチセンターに 「特異点大学(Singularity University)」 という研究機関が設立されています。バックアップメンバーには、米政府、NASA、グーグルなど、そうそうたる組織が名を連ねているそうです(『2045年問題』 同上)。

 

ま、アメリカの場合は、カネのにおいがするところには自然とヒトが集まってくる傾向が強いのですが、それ以上に、彼ら・彼女らは、ある “使命感” を胸に秘めて、日夜研究に励んでいるとのこと。その “使命感” とは何か? また、日本はこれだけの科学技術先進国でありながら、どうして “Singularity” には鈍感なのか? 次回のコラムでお話したいと思います。

(次回続く)

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この記事の筆者

奈良タカシ

1968年7月 奈良県生まれ。

大学卒業後、某大手銀行に入行したものの、「愛想が悪く、顔がこわい」という理由から、お客様と接する仕事に就かせてもらえず、銀行システム部門のエンジニアとして社会人生活スタート。その後、マーケット部門に異動。金利デリバティブのトレーダーとして、外資系銀行への出向も経験。銀行の海外撤退に伴い退職し、外資系コンサルティング会社に入社。10年前に同業のライバル企業に転職し、現在に至る ( 外資系2社目 )。肩書きは、パートナー(役員クラス)。 昨年、うつ病にて半年の休職に至るも、奇跡の復活を遂げる。

みなさん、こんにちは ! 奈良タカシです。あさ出版より『外資流 ! 「タカシの外資系物語」』という本が出版されています。
出版のお話をいただいた当初は、ダイジョブのコラムを編集して掲載すればいいんだろう ・・・ などと安易に考えていたのですが、編集のご担当がそりゃもう厳しい方でして、「半分以上は書き下ろしじゃ ! 」なんて条件が出されたものですから、ヒィヒィ泣きながら(T-T)執筆していました。
結果的には、半分が書き下ろし、すでにコラムとして発表している残りの分についても、発表後にいただいた意見や質問を踏まえ、大幅に加筆・修正しています。 ま、そんな苦労 ( ? ) の甲斐あって、外資系企業に対する自分の考え方を体系化できたと満足しています。

書店にてお手にとっていただければ幸いです。よろしくお願いいたします。
奈良タカシ

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