グローバル転職NAVI

キービジュアル キービジュアル

タカシの外資系物語

新しい世界へ旅立つ君へ!(その1)2015.04.07

A社の製品が、我が家から消えた理由とは?!

 

4月、満開の桜並木の中。オフィス街には緊張した面持ちの若者たちが、慣れないスーツに身を包み、ぎこちない様子でそぞろ歩く風景を見かけます。

 

私の主なクライアントは大手の金融機関ですので、私は東京・大手町に頻繁に出没します(大手町というのは、大手金融機関本社のメッカです)。その大手町でも、ここ数年にない数の、新人ビジネスパーソンの姿を目にします。

 

「新規求人(採用)数」は、景気動向指数のうちでも先行指数に分類されます。企業がこれだけ採用を増やしているということは、経営者の大半が景気は回復に向かっていると判断しているわけで、彼ら・彼女らのはじける笑顔とともに、日本経済にとっても安心な材料を提示してくれているといえます。

 

今回のコラムでは、新しい世界に飛び立たれた社会人のみなさんに、私なりの“エール”を贈りたいと思います。ちなみに、私はいきものがかりの『YELL』という歌が大好きなんですが、私のエールはあの歌とは異なり、少々辛口ですので、覚悟してくださいね!(いつものことですが・・・)

 

さて、大手町で列をなして移動する新人ビジネスパーソン、職場に近いということもあり、一糸乱れぬ隊列で歩いています。よしよし、と・・・。しかし、これがひとたび職場を離れると、かなり様相が変わってくるんですよね、これが。

 

例えば、東京駅。本社での入社式を終えて、研修所かどこかに移動するのでしょうか、多数の新人ビジネスパーソンが大荷物を抱えて、キャーキャー、ワーワーと奇声を上げながら、列を乱して歩いています。いいですか、はっきり言いますよ。


アホか、君らは!

そんなに騒ぎたければ、今すぐ辞表を提出して、大学に戻ればいい。他人に迷惑をかけない、不快な思いをさせない、というのは、社会人としての最低限のマナーです。

もっと言うと、私をはじめ、多くの消費者は、公共の場における常識的な立ち居振る舞いすら、心得ていない人が勤務している企業の商品やサービスを買う気は一切ない! それくらい、消費者の心理、風評というのは恐いものなのです。

新人さんは、人事部の指導もあってか、例外なく、スーツに社章をつけています。だから、どこの会社か丸分かりです。4月の第一週、私が認知しただけでも、さもサークルの旅行に行くかのように、大騒ぎ・我が物顔で駅を歩いている様を、複数目撃しました。

その中には、我が家の食卓にも並んでいるメーカーも含まれています。あーぁ、非常に残念ですが、そのメーカーの製品が、我が家の食卓に並ぶことは、今後一切ないでしょう・・・。

 

クラスの人気者は “リーダー” ではない!

 

あなたの一時のハメはずしが、企業に多大な損害を与えています。これもはっきり言いますが、あなたが会社の戦力になるには、3年はかかります。よって、あなたの一時のハメはずしによって企業に与えた損失を、あなたが企業にお返しするには、ゆうに5年以上はかかります。

 

つまり、「東京駅のキャー!」一声で、あなたは会社から、5年かかっても返済しきれない“借金”を負ったことになるのです。

 

社会人としてお金をもらうということは、そういうことなのです。一般社員が、アルバイトのように、時給で給料が決まっていないのは、そういう理由からです。企業は、あなたの日常も含め、あなたを信頼して、あなたという人物を買ったのです。あなたから、細切れの労働時間を買ったわけではありません。どうか、それを忘れないようにしてください。

 

誤解いただきたくないのですが、一言の会話もなく無表情で、一糸乱れぬ隊列を組んで、足と手を高く上げて行進しろ、と言っているわけではありません。これではどこかの国の軍隊と同じです。気持ち悪い! 2列で歩くのなら、隣同士で談笑すればいいし、ときには、だれかが発した冗談を、みんなで大笑いするのもいい。

 

むしろそれが自然でしょう。公共の場所で、他人に不快を与えずに、かつ、自らもリラックスして過ごす方法ぐらい、いくらでもあるのです。

 

そんなとき、率先して前に出て、おどけて見せる。みんなの緊張した気分をほぐす・・・。こういう人物が必ずいます。これらは、非常に重要な役割です。ハメをはずしすぎると、前述の通り、「東京駅でキャー!」になりますから注意は必要ですが、自制が利いている限りにおいては、率先して前に出てみんなを笑わせることは、組織に不可欠な要素でもあります。

 

しかし、みなさんに一言アドバイスしておきたいのは、集団行動においてみんなを仕切って、笑わせて、その中心にいる人物が、“リーダーシップがある人物”とは限らない、ということです。

 

本物の “リーダー” に師事する!

 

“リーダーシップ” を一言で定義するのは難しいのですが、今仮に、

 

「集団を、特定の有意な目的に向かって、リスクを極小化しつつ、効率的かつ最小限のリソース(コスト)を用い、モチベーション高く誘導すること」 

 

としましょう。 

 

その場合、集団行動においてみんなを仕切って、笑わせて、その中心にいる人物というのは、上記の定義のうち、“モチベーション高く”の部分のみを実現している、それもかなり曲解して実現しているだけの人でしかありません。

 

採用面接をするとよくわかるのですが、多くの学生諸君は、“リーダーシップ”の意味を、かなり誤解しています。その多くは、「東京駅でキャー!」の先頭に立っている人物を、リーダーだとみなしています。その彼 or 彼女は、サル山ではリーダーかもしれませんが、企業でリーダーになることは決してありません。

 

まぁ見ていなさい、半年もすれば、「あいつ、元気なくなったな・・・」てな感じで、組織に埋もれていくのが関の山です。

 

これから始まる数ヶ月の研修期間中、みなさんには是非、“本物のリーダーシップ”を感じて欲しいと思います。これこそが、入社時研修における大きな目的の1つなのですから。みなさん、どうか“本物のリーダー”を見つけて、その人に師事してください。それは一生の宝物になるはずです。では、体調には十分留意して、頑張ってください!

 

さて、次回のコラムでは、新人さんとは違う形で、新しい世界に旅立った人たち=この3月末で他社へ転職していった人たちに対する、私なりの“エール”を贈ります。あらかじめ言っておきますが、今回とは比較にならないほどの“超辛口”でいきますので、覚悟してくださいね。

 

お楽しみに・・・

(次回に続く)

 

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

外資・グローバル企業の求人1万件以上。今すぐ検索!

この記事の筆者

奈良タカシ

1968年7月 奈良県生まれ。

大学卒業後、某大手銀行に入行したものの、「愛想が悪く、顔がこわい」という理由から、お客様と接する仕事に就かせてもらえず、銀行システム部門のエンジニアとして社会人生活スタート。その後、マーケット部門に異動。金利デリバティブのトレーダーとして、外資系銀行への出向も経験。銀行の海外撤退に伴い退職し、外資系コンサルティング会社に入社。10年前に同業のライバル企業に転職し、現在に至る ( 外資系2社目 )。肩書きは、パートナー(役員クラス)。 昨年、うつ病にて半年の休職に至るも、奇跡の復活を遂げる。

みなさん、こんにちは ! 奈良タカシです。あさ出版より『外資流 ! 「タカシの外資系物語」』という本が出版されています。
出版のお話をいただいた当初は、ダイジョブのコラムを編集して掲載すればいいんだろう ・・・ などと安易に考えていたのですが、編集のご担当がそりゃもう厳しい方でして、「半分以上は書き下ろしじゃ ! 」なんて条件が出されたものですから、ヒィヒィ泣きながら(T-T)執筆していました。
結果的には、半分が書き下ろし、すでにコラムとして発表している残りの分についても、発表後にいただいた意見や質問を踏まえ、大幅に加筆・修正しています。 ま、そんな苦労 ( ? ) の甲斐あって、外資系企業に対する自分の考え方を体系化できたと満足しています。

書店にてお手にとっていただければ幸いです。よろしくお願いいたします。
奈良タカシ

合わせて読みたい

---