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タカシの外資系物語

Wonderful Start to 2013 with ENGLISH ! (その2)2013.01.15

    英語が苦手な人が辿るキャリアパス

    (前回の続き) 前回のコラムでは、グローバルに多様化した社会を生き抜くために・・・(ちょっと堅苦しい表現ですね・・・)、もっとわかりやすく言うと、英語を使って仕事をする上で、会社で落ちこぼれない(外資系では、surviveする と言います)ために、「相手が英語で話していることの8割を理解」し、「自分の言いたいことの5割は英語で話す」ことが、最低限必要だという話をしました。これは、TOEICでいえば、750点程度。このレベルに達するまでは、つべこべ言わずに、死に物狂いで勉強する! 逆にいうと、750点以上レベルの人が成功するかしないかは、英語そのものの能力はあまり関係ない!


     今回のコラムでは、この点に関する “誤解” からお話したいと思います。


     現在、私のチームには、80名程度のスタッフがいます。私は上級マネージャーとして、この80名を統括すると同時に、彼ら・彼女らを育成する責任も負っています。外資系企業とはいえ、全員が英語ペラペラというわけではなく、採用時(新卒・中途含め)には、英語がからっきしできないスタッフも少なからずいます(ただし、通常の日系企業よりは、英語ができるスタッフの割合は極めて高いのは事実ですが・・・)。 

      

     では、英語がからっきしできないスタッフが、その後、どんなキャリアを辿るか? について、少し考えてみましょう。私自身の経験則を踏まえると、以下のキャリアに分類できるように思います(全体を100%とした場合の割合も記載)。 


    (1) TOEIC750点レベルを軽く超え、英語のエキスパート(900点up)になるとともに、企業の中枢(≒役員レベル)として生き残る人・・・・・1-2% 
    (2) TOEIC750点レベルまで到達し、英語はそこそこのレベルのまま、企業の中枢(≒役員レベル)として生き残る人・・・・・5% 
    (3) TOEIC750点レベルまで到達し、英語はそこそこのレベルのまま、スタッフとしてなんとか生き残る人・・・・・40% 
    (4) 英語はからっきしダメだが、特定の卓越したスキルを有し、 
    なんとか生き残る人・・・・・5% 
    (5) 英語もダメ、卓越したスキルもなく、早晩会社を去る人・・・・・50% 


    私のアドバイスは、「何とか (3) で踏みとどまって、(2) を狙え」 ということ。当たり前のようですが、相当数の人が、この当たり前のことがわかっていない。なぜか?

    極めるべきは “英語” ではなく、“仕事”!

     まず、英語の能力そのものは、帰国子女やMBAホルダー、海外勤務経験のある人には、逆立ちしても勝てません。「いやいや、国内のみの独学自習でも、TOEIC900点は可能のはず!」 というアナタ。一部専門学校や出版社の謳い文句に踊らされてはいけません。英語が苦手だった人が、海外経験なしに、会社で認められる業績を上げながら、同時にTOEICも900点レベルに達し、英語がペラペラになる・・・ なんて、ほぼ不可能。よく、雑誌とかメディアに、それを成し遂げた人が出てきたりしますが、そういう人は異例中の異例であって、いわば “スーパーマン” です。クリプトン星から来た、宇宙人に違いない。宇宙人を目指しても、なれないものはなれないのです。 


     英語そのもので身を立てよう(通訳・翻訳家等)とか、TOEICマニアとして有名になりたい、TOEICが趣味である・・・、という人以外、TOEICは750点で十分です。それが達成できたら、TOEICや英語の勉強のことは少し忘れて、仕事のみにまい進すべきなのです。 


     また、上記の5分類に、「TOEIC750点レベルを軽く超え、英語のエキスパート(900点up)になるものの、実際の仕事はからっきしダメなままで生き残る人」 という分類がないことに気付かれたでしょうか? そう、そういう人は いない のです。繰り返しますが、英語の勉強は仕事ではない。仕事をする前提として、会社が設定した前提にすぎないのです。そして、前提がクリアできたら、いつまでもその前提に拘泥するのではなく、本職である仕事に集中しなければ、社内での成功は望めません。重要なので繰り返します。“英語バカ” “TOEICオタク” になってはいけません。やるべきは “仕事” です。 


     それともう1つ。(4)を目指そうとする人が、結構な割合で存在します。「オレは英語はダメだけど、技術力や商品知識でそれをカバーしてみせる!」 という人。うーーん、正直、私はこの戦略はオススメしません。その理由は、このタイプの成功確率が低いからです。特に外資系では、上記の通り、全体の5%にすぎません。 


     そもそも、このタイプの人が有するスキルというのは、極端に尖っていなければなりません。業界に名が知れたハッカーとか、弁護士/弁理士、会計士/税理士の資格があるとか、そんな世界です。「ちょっと簿記の勉強してまんねん・・・」「情報処理の資格を取りたくて・・・」程度では、話にならないのです。 
     それに比べれば、TOEIC750点の方がはるかに楽だというわけです。 

    “TOEIC750点” の分かれ道

     いよいよ本題に入りましょう。冒頭に、「TOEIC750点以上レベルの人が成功するかしないかは、英語そのものの能力はあまり関係ない」と書きました。では、何が (2)=役員レベルまで行く人 とを分けているのでしょうか? 


    何回か前のコラムに、“War Room” の話を書きました(No.612 & 613 『“War Room” でスッキリ?!』 参照のこと)。“War Room”は原則英語で実施されるので、解決して欲しい課題を持ち込むまではいいのですが、その後、外国人の役員から逆に差し込まれることも多々あります。 


     タカシ 「・・・ということで、完全にホワイト(=新規)の分野になりますが、ここへの営業推進のため、○○円の投資をお願いしたいと思います」 
    役員A 「うーーむ・・・ で、どれくらい儲かるんだ?」 
    タカシ 「新規分野ですからねぇ・・・ 何ともいえませんが、私としては、1年で△△億はいけると踏んでいます」 
    役員A 「その証拠は? 数値的根拠は?」 
    役員B 「一方、リスクはどうなんだ?」 
    タカシ 「リスクについては、新規ですので、万が一撤退する場合にも、経済的損失 および ブランドの毀損も最小限にできるかと・・・」 
    役員B 「その証拠は? 数値的根拠は?」  


     このように、ハマることも日常茶飯事です。このレベルになると、TOEIC750点レベルでは、ネイティブの役員に太刀打ちなど、到底できなくなります。そんなとき、アタフタと黙り込んでしまうのが、(3)=スタッフのまま終わる人 なのです。では、どうするか? 次回までの宿題にしたいと思います。みなさんならどうするか? 是非考えてみてください。 ちなみに、来週発表する解答は、私が実際に使って、外国人役員から高評価を得たものです。 では! 


    (次回続く)

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    この記事の筆者

    奈良タカシ

    1968年7月 奈良県生まれ。

    大学卒業後、某大手銀行に入行したものの、「愛想が悪く、顔がこわい」という理由から、お客様と接する仕事に就かせてもらえず、銀行システム部門のエンジニアとして社会人生活スタート。その後、マーケット部門に異動。金利デリバティブのトレーダーとして、外資系銀行への出向も経験。銀行の海外撤退に伴い退職し、外資系コンサルティング会社に入社。10年前に同業のライバル企業に転職し、現在に至る ( 外資系2社目 )。肩書きは、パートナー(役員クラス)。 昨年、うつ病にて半年の休職に至るも、奇跡の復活を遂げる。

    みなさん、こんにちは ! 奈良タカシです。あさ出版より『外資流 ! 「タカシの外資系物語」』という本が出版されています。
    出版のお話をいただいた当初は、ダイジョブのコラムを編集して掲載すればいいんだろう ・・・ などと安易に考えていたのですが、編集のご担当がそりゃもう厳しい方でして、「半分以上は書き下ろしじゃ ! 」なんて条件が出されたものですから、ヒィヒィ泣きながら(T-T)執筆していました。
    結果的には、半分が書き下ろし、すでにコラムとして発表している残りの分についても、発表後にいただいた意見や質問を踏まえ、大幅に加筆・修正しています。 ま、そんな苦労 ( ? ) の甲斐あって、外資系企業に対する自分の考え方を体系化できたと満足しています。

    書店にてお手にとっていただければ幸いです。よろしくお願いいたします。
    奈良タカシ

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