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タカシの外資系物語

外資の "後だしジャンケン" ( その 1 )2009.01.20

文字化けするほど… 困ったこと

M くん 「どうしてなんですか ?! 納得いかないなぁ… 」

私 「うーん、そうだね・・・ 蛇〒・奇シ蜍牙シキ励※蛤ェ縺・°繧・*_*)蜻・・・」

 

… 急に、 「文字化け」 になってしまって、驚かないでください。文字化けになるぐらい、返答に困って、アタフタしているということです。

 

そういえば、最近はめっきり、文書が文字化けになってしまうケースが減ったように思います。しかし、ほんの数年前まで、文字化けというのは、システム担当者にとっては頭痛の種だったのです、ホントに…

 

銀行のシステム部に在籍していたときのこと。私はトラブル対応専門の部署にいたのですが、こんなトラブルが起こりました。お客様あてのダイレクトメールで、名前の途中 (姓と名の間のブランク) に、文字化けした文字が挿入されてしまうというトラブルです。例えば、普通なら 「奈良 タカシ」 と印字されるところが、 「奈良 °ェ タカシ」 みたいな感じ。

 

ま、これだけでも大トラブルなんですが、文字化けの文字って、特殊な文字や複雑な (普段使わないような、画数の多い) 漢字が多いんですよね、困ったことに… それも、 「虫へん」 の漢字がやたら多いんです。

「奈良 蛇 タカシ」 → ヘビ
「奈良 蜥蜴 タカシ」 → トカゲ

って、何とも趣味の悪い 「ミドルネーム」 が入ってしまうわけです。まるで、時代遅れの用心棒か、アングラ芝居の俳優か・・・

 

私は、本件トラブルの対策委員長をしていた副部長に、状況を逐次報告していました。


私 「副部長 ! 新宿支店のお客様から、蛇 (ヘビ) が出ましたぁーー」
副部長 「なにぃ ! 蛇が出ただとぉーー ! 」
私 「こ、今度は、渋谷支店で、蜥蜴 (トカゲ) が発生でーす ! (T-T)」
副部長 「と、蜥蜴が出たかぁ… (T-T)(T-T)(T-T)」
とても銀行員の会話とは思えないですな、こりゃ・・・

取らぬ狸の・・・

さて、話を戻しましょう。 M くんは、何かに納得していない様子。それに対して、私は返答に窮しています。一体、何が起こったのか ?

 

一般的なイメージでは、外資系企業というのは、何事も明確にアナウンスされていて、公明正大に業務運用がなされているように思われがちです。確かに、そういう面もある。しかし、その逆もかなり多い。つまり、「そんなこと、事前に言ってなかったやないかぁー ! (T-T)」 「今さら、そんなこと言うなよ・・・ 後だしジャンケンやないかぁーー ! (T-T)(T-T)」 なんてことが、頻繁に起こるのです。

 

「表彰制度 (Award) 」なんてのは、 「後だしジャンケン」が起こりやすいものの 1 つです。例えば、半期に 1 度、業績優秀者が表彰される制度があるとします。年度によって受賞者数に差はあるものの、例年、 10 名前後が表彰され、賞金 20 万円が授与されていたとします。
「今期は絶好調だから、この調子なら表彰者の枠に入れるかもな… 賞金で、何買おうかにゃ、デヘヘ… 」 なんて目論んでいると、こんなことが起こったりします。
「にゃにぃ !  今期の表彰者は " 1 名のみ " って、何やねーーん ! (T-T)」
… 残念 !

 

人事関連のサイトを見てみると、「Award」 の項目に 「Staff Recognition」 の欄があり、受賞者には 20 万円の賞金が授与されると書いてあるものの、「年に何人出す」とは、一切書いていません。ま、取らぬ狸の皮算用とばかりに、勝手に喜んでいた自分が悪いといえば、悪いんですが…

真っ先に手がつく「人件費」

表彰とかなら、まだ諦めもつきます。そもそも、 「運」 みたいなもんですから。でもこれが 「ボーナス査定」 そのものだったりすると、事はそう簡単ではありません。
例えば、次のようなケース。いま仮に、ボーナス査定が 「A / B / C」 の評点で、評点毎にボーナス金額が決まり、各ランクの分布が次の通りだとしましょう。


          【金額】        【分布】
・ ランクA    ボーナス 1.5 倍    全体の 20 %
・ ランクB    ボーナス 1.0 倍    全体の 60 %
・ ランクC    ボーナス 0.5 倍    全体の 20 %

 

で、業績悪化か何かの理由で、外資が得意の 「後だしジャンケン」 をすると、どこの数字を調整するか? それは、【分布】 です。 極端な話、以下のような 【分布】 を 「後だし」 で出してきます。

 

(外資の「後だしジャンケン」調整)

          【金額】        【分布】
・ ランク A    ボーナス 1.5 倍    全体の 1 %
・ ランク B     ボーナス 1.0 倍    全体の 9 %
・ ランク C     ボーナス 0.5 倍    全体の 90 %

 

なぜ、このようなことをするのか ?  最大の理由は、 「コストの調整」 です。日系企業では、給与や賞与などの人件費は、「固定費」扱いされ、「減らすなんて、とんでもない ! 」とばかりに、聖域化されています。しかし外資系企業では、人件費は最も手の付けやすい 「変動費」 です (詳しくは、『外資流 ! イス取りゲーム必勝法 ( その 2 )』 を参照のこと)。

 

上記の理由に加え、実はもっと 「外資らしい」 理由が存在します。それは何か ? また、日系企業においても、この 「後だしジャンケン」 は多用されます。その手口は ? それらについては、次回お話することにいたしましょう。
( 次回続く )

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この記事の筆者

奈良タカシ

1968年7月 奈良県生まれ。

大学卒業後、某大手銀行に入行したものの、「愛想が悪く、顔がこわい」という理由から、お客様と接する仕事に就かせてもらえず、銀行システム部門のエンジニアとして社会人生活スタート。その後、マーケット部門に異動。金利デリバティブのトレーダーとして、外資系銀行への出向も経験。銀行の海外撤退に伴い退職し、外資系コンサルティング会社に入社。10年前に同業のライバル企業に転職し、現在に至る ( 外資系2社目 )。肩書きは、パートナー(役員クラス)。 昨年、うつ病にて半年の休職に至るも、奇跡の復活を遂げる。

みなさん、こんにちは ! 奈良タカシです。あさ出版より『外資流 ! 「タカシの外資系物語」』という本が出版されています。
出版のお話をいただいた当初は、ダイジョブのコラムを編集して掲載すればいいんだろう ・・・ などと安易に考えていたのですが、編集のご担当がそりゃもう厳しい方でして、「半分以上は書き下ろしじゃ ! 」なんて条件が出されたものですから、ヒィヒィ泣きながら(T-T)執筆していました。
結果的には、半分が書き下ろし、すでにコラムとして発表している残りの分についても、発表後にいただいた意見や質問を踏まえ、大幅に加筆・修正しています。 ま、そんな苦労 ( ? ) の甲斐あって、外資系企業に対する自分の考え方を体系化できたと満足しています。

書店にてお手にとっていただければ幸いです。よろしくお願いいたします。
奈良タカシ

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