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タカシの外資系物語

ハローグッバイ ?2002.03.08

先日、NY オフィスの同僚である Joseph から、突然次のような E メールが来ました。


"I have an unfortunate news that I will no longer be working at XX company as of this Friday..."( 突然ですが、金曜日に会社を辞めることになりました … )


私 ( えっ ? うそぉ … )


"Given the rather difficult economic times I am not too surprised that the firm is forced to conduct necessary lay-offs..."( 今の景気の悪さからすると、会社がレイオフするのも、もっともだと思うんだけど … )


私 ( ま、そう言われると身もフタもないんだけど … )


"My only regret is to never have had the chance to work with you on a client project as I would have really enjoyed it...” ( 正式なプロジェクトで一緒に働けなかったことが残念です … )


私 ((T-T)涙、涙、涙 … )


Joseph と初めて出会ったのは、昨年の 10 月のこと。彼をリーダーとするチームに私が参加し、約 1 カ月間、あるクライアントへの提案作業を行いました。実際には、我々の提案は顧客に受け入れられなかった為、彼とはそれ以来会っていませんでした。


彼の言うように、あの「9.11」以来、アメリカ企業のレイオフは日常茶飯事になっているようです。今回のレイオフの特徴は、給料の高いトッププレイヤーを中心としている点でしょう。Joseph の場合も、MBA 資格を持っているのはもちろんのこと、日本語も堪能であったことから、かなり高額の報酬を得ていたと思われます。最近、マライア・キャリーが所属のレコード会社から契約を打ち切られましたが、まさに同様のことがアメリカの企業社会において、起こっているのでしょう。


「まったく、住みにくい世の中になったもんだね … 」


心の中でつぶやいた私は、しばらく Joseph のことを忘れていました。


さて、2 週間ほど前のこと、朝会社に出社してみると、私のデスクに見覚えのある外国人が座っているではありませんか !


( 私 )「Joseph ?」


( Joseph )「Hi ! Takashi !  How are you doing ?」


それは Joseph でした。まぁ、なんと律儀な人なのでしょう。わざわざ NY から退職の挨拶に来てくれるなんて。


( Joseph )「Takashi ! This is my brand-new business card.」( タカシ ! 新しい名刺だよ )


なーんだ、次の就職先、決まっていたのか、そりゃ良かった良かった …。どれどれ、どんな会社に言ったのかな。『XX company, Tokyo Office』 …って、あんた、うちの会社じゃねーか !!


NY 本社をクビになった Joseph は、なんと私の会社、つまり同じ会社の東京オフィスに再就職していたのでした。


( Joseph )「Please take care of me, from now on, too.」( これからもよろしくネー )


( 私 )「………」


どうも、ホンコンオフィスのヘッドが、東京支社長に働きかけたようで、Joseph 自身も東京で働くことを希望したとのことでした。しかしまぁ、実際にいったんクビになった会社に、すぐに再就職できるとは …。やはり外資系企業おそるべし、というところでしょう。


冒頭の Joseph からの E メールを見たホンコンオフィスのヘッドは、以下のような返信をしたといいます。


"Joseph, we were disappointed to hear of the situation. However, New York's loss might be Tokyo's gain. We would definitely like to pursue discussions..."( ジョセフ、それはそれはお気の毒なことだったね。でも NY の損は、東京の得かもね。ちょっとお話しましょうか … )


"Good-bye, Joseph ! "


"Hello, again, Joseph ! "


やれやれ … 。まったくもって忙しいところですね、外資系企業って …。

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この記事の筆者

奈良タカシ

1968年7月 奈良県生まれ。

大学卒業後、某大手銀行に入行したものの、「愛想が悪く、顔がこわい」という理由から、お客様と接する仕事に就かせてもらえず、銀行システム部門のエンジニアとして社会人生活スタート。その後、マーケット部門に異動。金利デリバティブのトレーダーとして、外資系銀行への出向も経験。銀行の海外撤退に伴い退職し、外資系コンサルティング会社に入社。10年前に同業のライバル企業に転職し、現在に至る ( 外資系2社目 )。肩書きは、パートナー(役員クラス)。 昨年、うつ病にて半年の休職に至るも、奇跡の復活を遂げる。

みなさん、こんにちは ! 奈良タカシです。あさ出版より『外資流 ! 「タカシの外資系物語」』という本が出版されています。
出版のお話をいただいた当初は、ダイジョブのコラムを編集して掲載すればいいんだろう ・・・ などと安易に考えていたのですが、編集のご担当がそりゃもう厳しい方でして、「半分以上は書き下ろしじゃ ! 」なんて条件が出されたものですから、ヒィヒィ泣きながら(T-T)執筆していました。
結果的には、半分が書き下ろし、すでにコラムとして発表している残りの分についても、発表後にいただいた意見や質問を踏まえ、大幅に加筆・修正しています。 ま、そんな苦労 ( ? ) の甲斐あって、外資系企業に対する自分の考え方を体系化できたと満足しています。

書店にてお手にとっていただければ幸いです。よろしくお願いいたします。
奈良タカシ

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