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タカシの外資系物語

私の仕事を取らないで ! ( ニューヨーク紀行その 3 )2001.07.27

前回の続き )NY の様子も一昔前とは随分変わりました。いきなりビルの隙間から人が出てきて、「オイ、金を出せ !」なんていうのも、殆どなくなったようです。


これは NY 市当局の行政指導に負うところも大きいのでしょうが、一番の原因は、アメリカの景気そのものが活況を呈していることにあると思われます。つまり、その気になれば、町には仕事があふれているのです。


私が勤めるコンサルティング会社の NY 本社でも、コンサルタント以外の人が多く働いています。それは、オフィスの警備や掃除といった業務だけでなく、従来はコンサルタント自身がやっていたような仕事にまで及んでいます。


顧客向けのプレゼンテーション資料を作成した私は、それをカラー印刷し、製本するため、オフィスの作業部屋にやってきました。作業部屋には、最新のカラープリンターと製本機が並んでいます。日本では、これらの作業は、基本的に自分で行っています。ですから、私はこれらの機械の使い方をよく知っているのです。


資料が保存された FD を、カラープリンター出力用の PC に挿入しようとした瞬間、私は悲鳴にも似た罵声を浴びせられました。


「You cannot get me rid of my work!!!」( 私の仕事を取らないで ! ) いやいや、そんなつもりはないんですよ、と言っても通じません。製本作業も同様に、担当の方にお願いしました。


「このサービスは、何時までやっているの ? 」「私は午後 5 時まで。でもサービス自体は、24 時間やってるわよ」。な、なんと、カラー印刷・製本のサービスだけのために、24 時間もヒトを雇っているとは … 。


考えてみると、日本ほど均質化された労働力を提供できる市場はないのかもしれません。だれもが同様の教育を受け、同じような仕事をしている。その結果、本来与えられたミッション以外の業務に追われている一方で、失業率はうなぎのぼり … 。日本でも、アメリカのような細分化された雇用体系が、失業率改善に向けて、大いに参考になるかもしれません。とは言え、いつ来るかわからないカラー印刷のために、24 時間もヒトを張りつけておくのはいかがなものか、という気もしますが。


私は自分の作業が一段落していたので、製本作業に付き合うことにしました。


( 私 ) 「あぁ、その止め具はね、もう少し上に向けた方がやりやすいと思うよ」


( 製本担当者 ) 「あら、ホント。あなた、よく知ってるわね」


( 私 ) 「日本では、全部自分でやるからね」


( 製本担当者 ) 「It’s like SUPER MAN!!! ( まるでスーパーマンね ! )」


経済・政治・教育・文化・福祉 … と、あらゆる面で日本が世界の「スーパーマン」になれる日が、来るといいですね。

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この記事の筆者

奈良タカシ

1968年7月 奈良県生まれ。

大学卒業後、某大手銀行に入行したものの、「愛想が悪く、顔がこわい」という理由から、お客様と接する仕事に就かせてもらえず、銀行システム部門のエンジニアとして社会人生活スタート。その後、マーケット部門に異動。金利デリバティブのトレーダーとして、外資系銀行への出向も経験。銀行の海外撤退に伴い退職し、外資系コンサルティング会社に入社。10年前に同業のライバル企業に転職し、現在に至る ( 外資系2社目 )。肩書きは、パートナー(役員クラス)。 昨年、うつ病にて半年の休職に至るも、奇跡の復活を遂げる。

みなさん、こんにちは ! 奈良タカシです。あさ出版より『外資流 ! 「タカシの外資系物語」』という本が出版されています。
出版のお話をいただいた当初は、ダイジョブのコラムを編集して掲載すればいいんだろう ・・・ などと安易に考えていたのですが、編集のご担当がそりゃもう厳しい方でして、「半分以上は書き下ろしじゃ ! 」なんて条件が出されたものですから、ヒィヒィ泣きながら(T-T)執筆していました。
結果的には、半分が書き下ろし、すでにコラムとして発表している残りの分についても、発表後にいただいた意見や質問を踏まえ、大幅に加筆・修正しています。 ま、そんな苦労 ( ? ) の甲斐あって、外資系企業に対する自分の考え方を体系化できたと満足しています。

書店にてお手にとっていただければ幸いです。よろしくお願いいたします。
奈良タカシ

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