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有元美津世のGet Global!

数字・データに強くなろう(2)2020.10.13


 前回の続きですが、「文系のオマエに数字・統計云々言われたくない」という方もいるでしょう。ごもっともです。今回は、「7日移動平均って何?」「検査数が増えれば陽性率も上昇する」という人のためのものですので、理数工系の方は飛ばしてください。

パーセント vs ポイント


 最近、米大手メディアで下記のような記事を見ました。

Over two-thirds, or 69%, of employees are experiencing burnout symptoms while working from home, the survey found. That is up almost 20% from a similar survey in early May.
(そのアンケート調査によると、従業員の3分の2、69%以上が、在宅勤務中、バーンアウトの症状を経験している。これは、5月初旬に行われた同様のアンケート調査の20%近く上昇している。)

 この記事では、調査対象の284人以外(少なっ)、絶対数がまったく示されておらず、今回の調査の数字が、5月の調査から1)20%上昇したのか、2)20 ポイント(percentage point)上昇したのかが不明なのです。(絶対数が書かれていたら、1)と読めた。)

1)今回、284人の69%ということは196人で、20%上昇したということは、前回、163人。

2)前回の49%が今回69%になった。

 私が、自分の記事などで、こうした数字を引用しようとした場合、元の調査データを探して数字を確認しなければならず、手間がかかるのです。(元の調査データが見つからなければ使えない。)しかし、上記メディアだけでなく、非常に多くの米大手メディアが、調査元が発表したプレスリリースを基に、上記数字をそのまま垂れ流していました。
 そして、大半の読者が、深く考えずに数字を鵜呑みにし、引用したりするのです。日本でも、ネットで「なぜメディアは『パーセント』でなく、『ポイント』を使うのか!」という人たちがいて、やはり「ポイント」の意味を知らない人は結構いるようです。(英語のまま「パーセンテージポイント」を使った方が混乱を招かないかも。)

平均値 vs 中央値


 たとえば、日本の労働人口の「平均年収」をネットで検索すると、「436万円」なんて出てくるんですが、400~500万円を稼ぐ人は労働人口の15%ほどしかいません。新卒の平均年収というのなら、業界や職種、個人の間で、それほど差はないでしょうから、平均を使ってもいいでしょう。

 平均値(average/mean)を使う問題は、たとえば、年収3000万円の人が1人と300万円の人が9人いれば、平均年収は570万円となり、実情がまったく伝わらない点です。住宅価格などでも同じです。価格1億円の住宅1軒と3000万円の住宅4軒の平均価格は、4400万円で、意味ないですよね。

 こうした場合、「中央値(median)」を使った方が、実情を反映できるのです。「中央値」とは、数値を大きさ順に並べたときに、中央(真ん中)に位置する値です。上記の例でいえば、収入の中央値は300万円、住宅価格の中央値は3000万円です。

 現行の指導要領では、義務教育(中学?)で「中央値」を教えることになっているらしいですが、私の時代(大昔)は教えていなかったですし、知らない人、多いですよね。そのせいか、日本のメディアが「中央値」を使っているのを見るのは稀です。

 

 文系でも、ビジネスの世界で生きていくなら、これくらいは知っておく必要はあるでしょう。不動産投資を含め、投資をするというのなら、なおさらです。

 株式投資やFX投資をしている人なら、「移動平均(moving average)」は知っているべきなのですが、つい先週、知らないのにFX投資している人に会いました...  やるなら、理解してからやることをお勧めします。

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この記事の筆者

有元美津世

大学卒業後、外資系企業勤務を経て渡米。MBA取得後、16年にわたり日米企業間の戦略提携コンサルティング業を営む。社員採用の経験を基に経営者、採用者の視点で就活アドバイス。現在は投資家として、投資家希望者のメンタリングを通じ、資産形成、人生設計を視野に入れたキャリアアドバイスも提供。在米30年の後、東南アジアをノマド中。訪問した国は70ヵ国以上。
著書に『英文履歴書の書き方Ver.3.0』『面接の英語』『プレゼンの英語』『ビジネスに対応 英語でソーシャルメディア』『英語でTwitter!』(ジャパンタイムズ)、『ロジカル・イングリッシュ』(ダイヤモンド)、『英語でもっとSNS!どんどん書き込む英語表現』(語研)など30冊。

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