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中欧について学ぶ(2)ー 暗くて貧しい?2019.10.15


 中東欧というと、共産圏のイメージで、「暗い、貧しい」と思っている人が少なくないようです。(とくに中高年?) 実は私も、10年以上前にロシア(サンクトペテルブルク)を訪れたときに、暗くて殺伐とした感じだったので(かつロシア人ガイドなしに自由に動き回れなかった)、そういうイメージがありました。

 ネットで「スロバキアに対する事実ではないステレオタイプ(というより偏見)」* というのが掲載されていたのですが、その一つが「生活の質が低い」というものです。

中欧は貧しい?


 これはスロバキアだけでなく、旧ソ連圏に共通するステレオタイプですね。

 しかし、実際に訪れれば、そうでないことがわかります。バルカン半島の一部の国を除き、西欧とあまり変わらないです。それどころか、公共交通機関の発達には感動しましたし、街は、おしゃれなカフェやバーで溢れています。内陸の国が多いので、食事は(大量の)肉がメインですが、ベジタリアンの店も多く(グルテンフリーの店も)、スーパーにはオーガニック食品もたくさん並んでいました。

 そこで、中東欧各国の国民一人あたりの購買力平価(PPP)を見てみると...

GDP per capita PPP (2018年) 
  国際ドル
チェコ 37,423
スロベニア 36,826
スロバキア 35,099
(ポルトガル) 32,023
ポーランド 31,647
ハンガリー 31,561
(ギリシャ) 29,112
(ロシア) 29,032
クロアチア 26,216
ルーマニア 26,176
ブルガリア 23,207
べラルース 20,176
モンテネグロ 18,862
セルビア 16,090
マケドニア 15,523
ボスニア・ヘルツコビナ 13,513
アルバニア 13,330
コソボ 11,505
ウクライナ 9,182
モルドバ 7,104

(出典:IMF)


  上位の国は、財政危機に見舞われたポルトガルやギリシャは、すでに抜いていますし、首位のチェコに至っては、韓国(36,777)も抜いており、日本(39,294)に迫る勢いです。また、大半の国が、タイ(16,905)や中国(16,187)よりも上です。このように、ほとんどの中欧の国は貧しくないのです。

 スロベニア、とくに首都のリブリャナの雰囲気は、西欧の都市とまったく変わらず(が、物価は西欧に比べて安い)、私が、今回訪れた国では、もっとも西欧化した印象を受けました。

 バルカン半島に入ると、少し荒れた、貧しい感じを受けますが、世界遺産のドゥブロブニク(クロアチア)やコトル(モンテネグロ)は、世界からの観光客であふれ(大型クルーズ船が寄港)、物価も高めです。

 中東欧の魅力として、「西欧より物価が安い都市で、ヨーロッパの雰囲気を味わえる」というのがありますが、それには、国や都市を選んで行く必要があるでしょう。

* 6 Stereotypes About Slovaks That Simply Aren't True

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この記事の筆者

有元美津世

大学卒業後、外資系企業勤務を経て渡米。MBA取得後、16年にわたり日米企業間の戦略提携コンサルティング業を営む。社員採用の経験を基に経営者、採用者の視点で就活アドバイス。現在は投資家として、投資家希望者のメンタリングを通じ、資産形成、人生設計を視野に入れたキャリアアドバイスも提供。在米30年の後、東南アジアをノマド中。訪問した国は70ヵ国以上。
著書に『英文履歴書の書き方Ver.3.0』『面接の英語』『プレゼンの英語』『ビジネスに対応 英語でソーシャルメディア』『英語でTwitter!』(ジャパンタイムズ)、『ロジカル・イングリッシュ』(ダイヤモンド)、『英語でもっとSNS!どんどん書き込む英語表現』(語研)など30冊。

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