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有元美津世のGet Global!

キャリアデザインインタビュー(4)― ポスドクから企業勤務を経てフリーの翻訳者に2017.12.12


 一年ぶりのキャリアデザインインタビューです。

 今回、インタビューさせてもらったKさんとは、ツイッターで知り合いました。私は6年ほど、毎日、ツイッターでフォロワーさん(英語学習者)の英語を添削していたのですが、Kさんは、そんなフォロワーさんの一人だったのです。

 ツイッター以外にも、Kさんは2年半前から、毎日、英語でブログを綴っています。私が添削したツイートを掲載したり、エッセイを書いたり、また英字新聞の翻訳クイズに挑戦したりしています。

たまたま英語に興味を


 私も、今回、インタビューさせてもらうまで知らなかったのですが、Kさんは物理学で博士号を取得されています。

 8年ほど大学のポスドク研究員として働いた後、民間企業で研究職に就いたそうですが、体をこわして退職。その後、在宅でできる仕事がないかと漠然と考えていたところ、たまたまテレビでNHKの『おとなの基礎英語』という番組を見て、英語に興味を持ったそうです。

 そして、英語の勉強をしているうちに、在宅で働く翻訳者の存在を知り、企業向けの産業翻訳であれば、それまでの知識や経験も生かせることに気づいたとのことです。

フリーの産業翻訳者に


 それから、Kさんの翻訳者になるための独学が始まったのですが、勉強方法に関しては、Kさんのブログ「目指せ!在宅翻訳者」で詳細されていますので、ぜひ参考にしてください。

 Kさんは、⼀時期、英語学習の意欲を失ったこともあったそうですが、英語でツイートすることで意欲を取り戻したそうです。そのころ、著書『英語でTwitter!』を購入していただき、私をフォローしてくださったようですが、ツイッター添削も役に立ったようで何よりです。

 英語・翻訳の勉強を始めて2年が経ち、Kさんは2017年中に翻訳者になるという目標を定め、翻訳会社に応募した際に書類審査で落とされないよう、900点以上のTOEICスコアを目指したそうです。そして、今年5月に、見事 945点を獲得されました。なお、英語の勉強開始後8ヶ月で受験した際には、760点だったそうなので、2年半で200点近くアップしたということです。

 そして、翻訳者向け雑誌などで、未経験者でも応募可能な翻訳会社を見つけ、今年6月から翻訳会社のトライアル(仕事をもらうための翻訳のテスト) に挑戦。今のところ4社に合格し、今夏から翻訳者として仕事をされています。月収の目標も定め、今月、その目標も達成できるようです。

 専門分野は、半導体をはじめとする電子、物理など。日本在住の日本人翻訳者の場合、英日の翻訳をする人が多いのですが、Kさんは日英の翻訳も手がけるそうです。

大事な専門性


 私も、アメリカでコンサルティング業に従事している間、フリーの翻訳者に英日の翻訳を発注していました。無線通信技術に関する非常に専門的、技術的な内容だったので、発注先は、その分野の専門知識のある翻訳者に限られました。産業翻訳を目指すなら、英語力よりも専門知識が必要であると言ってもいいくらいです。

 なお、私は、翻訳会社の契約社員として遠隔で在宅勤務をしている人も知っています。「フリーで働くのはイヤ」という人には、他の形での勤務の可能性もあります。
 翻訳者を目指す人だけでなく、英語の勉強に悩んでいる人には、「40過ぎて英語を勉強し直し、未経験でも翻訳者になれた」というKさんのブログをぜひ参考にしていただきたいです。

<キャリアデザインインタビュー バックナンバー>

キャリアデザインインタビュー(1)─ 英語と夢に向かって安定職を去る
キャリアデザインインタビュー(2)─ 米留学、日本で就職後、米赴任
キャリアデザインインタビュー(3)─ 米大学卒業、日本で就職、転職、フリーに
キャリアデザインインタビュー(4)― ポスドクから企業勤務を経てフリーの翻訳者に
キャリアデザインインタビュー(5)― 40手前でベトナムで就職 

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この記事の筆者

有元美津世

大学卒業後、外資系企業勤務を経て渡米。MBA取得後、16年にわたり日米企業間の戦略提携コンサルティング業を営む。社員採用の経験を基に経営者、採用者の視点で就活アドバイス。現在は投資家として、投資家希望者のメンタリングを通じ、資産形成、人生設計を視野に入れたキャリアアドバイスも提供。在米30年の後、東南アジアをノマド中。訪問した国は70ヵ国以上。
著書に『英文履歴書の書き方Ver.3.0』『面接の英語』『プレゼンの英語』『ビジネスに対応 英語でソーシャルメディア』『英語でTwitter!』(ジャパンタイムズ)、『ロジカル・イングリッシュ』(ダイヤモンド)、『英語でもっとSNS!どんどん書き込む英語表現』(語研)など30冊。

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