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大学を出ても職がない(7)--大学進学の投資対効果(ROI)2014.04.28

    前回、アメリカの地域認定大学と全米認定大学の違いについて書きましたが、「正規大学とは見なされていない全米認定の営利大学ではなく、地域認定大学を出ていれば大丈夫」と思うのは間違いで、地域認定大学は全米に3000校余りあるわけですから、もちろんピンからキリまであります。中には「営利大学の方がマシか」と地域認定大学もあるでしょう。

    学費の高騰

    アメリカの場合、年間の学費が私立で平均3万ドル、州立で州内の学生向けは9000ドル近く、州外からの学生向けは2万ドル以上に達しています。これは、あくまでも平均で、たとえば、カリフォルニア大学(University of California)では、州内の学生でも学費は年に1万2000ドルかかり、親に出してもらえず、政府の学資援助も受けられない学生が、働きながら通うには、かなり難しい状態です。(州外からの学生の場合、学費だけで年に3万6000ドルかかりますから、お金持ちでないと留学できないですね。)


    そのため、学資ローンを借りることになるわけですが、今や、アメリカの大学生の6割近くが学資ローンを借り、2012年の卒業生が卒業時に抱えていた学資ローンは平均3万ドル近くに及んでいました。

    行くだけ損の大学も

    これだけの借金をして大学に行くわけですから、アイビーリーグが名前を連ねる「全米大学ベスト10」のような従来のランキング以外に、最近では「投資対効果(ROI=Return on Investment)が最高(最悪)の大学」「もっともお得な大学」「もっとも無駄金の大学」など費やした費用に対して得られるリターンを基にした大学ランキングも出回っています。


    たとえば、卒業生の平均給与をベースに、卒業後20年間の純損益(大学に行かなかった場合よりも、その大学に行ったことで20年間多く稼げる金額から大学4年間の費用を差し引いたもの)を概算した結果、マイナス3万ドル以上の大学が11校(私立2校、州立8校)あり、純損益が最悪の大学(私立)は、なんとマイナス12万ドル以上なのです。つまり、その大学に行かなければ12万ドル損をしなくてすんだ、高校卒業後、就職していれば12万ドル多く稼げたということです。


    大学全体でなく、学部別に見た場合、純損益がマイナス10万ドル以上という学部が23あり、ワーストナンバー1の州立大学の芸術学部、ワーストナンバー2の州立大学の人文学部では、損高が20万ドル近くにものぼっています。


    なお、この23学部のすべてが州立大学で、10学部が教育学部、9学部が芸術学部、3学部が人文学部です。


    このように、地域認定大学にさえ行えば、就職後、必ず高卒者よりも稼げるわけでもなく、学費が比較的安い州立大学に行けば、元は取れるわけでもないということです。


    また、同じ大学でも学部によって大きく違ってくるわけで、学部に関しては、後日、触れたいと思います。(大学院の専攻に関しては、以前、触れました。


    ROIベースのランキングに対しては、アメリカでも「大学に行くメリット、各々の大学の質は、お金だけでは測れない」という批判もあるのですが、ROIは借金しないと進学できない学生らにとっては切実な問題であり、大学を評価する物差しも時代背景とともに変わるということでしょう。 

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    この記事の筆者

    有元美津世

    大学卒業後、外資系企業勤務を経て渡米。MBA取得後、16年にわたり日米企業間の戦略提携コンサルティング業を営む。社員採用の経験を基に経営者、採用者の視点で就活アドバイス。現在は投資家として、投資家希望者のメンタリングを通じ、資産形成、人生設計を視野に入れたキャリアアドバイスも提供。在米30年の後、東南アジアをノマド中。
    著書に『英文履歴書の書き方Ver.3.0』『面接の英語』『プレゼンの英語』『ビジネスに対応 英語でソーシャルメディア』『英語でTwitter!』(ジャパンタイムズ)、『ロジカル・イングリッシュ』(ダイヤモンド)、『英語でもっとSNS!どんどん書き込む英語表現』(語研)など多数。

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