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有元美津世のGet Global!

業界の先を見抜く(2)2013.12.03

    業界の先を見抜く(2)

    私の周りには、米新聞社勤務、元新聞社勤務のアメリカ人らが何人もおり、悲惨な状況を身近で見てきました。彼らは、過去10年ほど、希望退職(buyout)、レイオフの繰り返しを経験してきたのです。レイオフ後1~2年して、やっと再就職が決まったと思ったら、またレイオフに遭い、同じ会社を2度レイオフされたという人も珍しくありません。7年前にレイオフに遭い、今年になって、やっと再就職した人も知っています。(それも、ロサンジェルスから、発行部数10万以下の他州の田舎の新聞社に。)


    この業界の人は、転職先が限られるので、40~50代でレイオフされると、再就職は実に難しく、低賃金の小売販売職などに転職せざるを得ない人たちもいます。また、デマンドメディア社のような(コンテンツの質よりも検索順位を重視する)コンテンツファームに、フリーで雇われる人もいます。こうした会社は、書いた記事一本、編集した記事一本ごとに料金(数ドル)を支払うのですが、新聞業界何十年というベテランでも、「ネットメディアに投稿したことがある」程度の素人でも(文章の質はかなり悪い)、賃金が同じなのです。


    30代までの若い世代であれば、キャリアチェンジをするために大学に行き直す人も少なくありません。周りの40~50代の人たちが、毎年のようにレイオフされていくのを見て、「明日はわが身」と思うのは当然です。


    しかし、辞めずに会社に残ったり、他の新聞社に転職したり、レイオフされた後、大学院でライティングを専攻したりして、業界にしがみつこうとする人もいるのです。20~30代で、この業界に残るのは自殺行為といえ、さっさと別のキャリアチェンジをするべきなのですが、「自分には、これしかできない。どうしていいかわからない」と思考停止状態的な人が結構いるようです。

    老後の明暗を分ける業界選択

    元々、日本の新聞社と違い、米新聞社の給料は安く(ジャーナリズムに進むのは、大学で英語やジャーナリズムを専攻した人たちで、アメリカではエリートが選ぶ学科ではありません)、かつお金のことに疎い人が多いので、貯金もなく、家賃の支払いもままならない人もいます。そうした50代の男性が「30年前に、この業界がこうなることがわかっていたら、別の業界を選んでいた」と言ったのを、私は忘れられません。 

    同じ50代でも、安定した業界で30年働き、(公的年金とは別の私的年金である)企業年金をもらって、老後の生活は安泰な人も知っています。若いときに選んだ業界によって、老後に雲泥の差が出てしまったのです。


    30年後の業界動向を予測するのは難しいとしても、10年後くらいは見通せます。インターネットが台頭し、「既存メディアはこのままでは先がない」というのは、2000年ごろから言われていました。進路を決める際、長期にわたる将来性も吟味する必要があるということです。

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    この記事の筆者

    有元美津世

    大学卒業後、外資系企業勤務を経て渡米。MBA取得後、16年にわたり日米企業間の戦略提携コンサルティング業を営む。社員採用の経験を基に経営者、採用者の視点で就活アドバイス。現在は投資家として、投資家希望者のメンタリングを通じ、資産形成、人生設計を視野に入れたキャリアアドバイスも提供。在米30年の後、東南アジアをノマド中。
    著書に『英文履歴書の書き方Ver.3.0』『面接の英語』『プレゼンの英語』『ビジネスに対応 英語でソーシャルメディア』『英語でTwitter!』(ジャパンタイムズ)、『ロジカル・イングリッシュ』(ダイヤモンド)、『英語でもっとSNS!どんどん書き込む英語表現』(語研)など多数。

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