「働く母から見るグローバル化」、「社員から見るグローバル化」に続き今回は「会社から見るグローバル化」についてお話します。私は経営側に立ったことはないので、会社側からみたグローバル化に関して書けるわけではないのですが、私がグローバル企業の中で働いてきて、会社側が行ってくれたことでとてもありがたかったことを元に今回は書かせていただきます。
グローバル化する企業の中での一体感
会社がグローバル化されていて一番良かったこととして第一に思いつくのは、世界全社でのロゴやインテリアなど、働く環境の中での統一感です。海外の拠点へ出張に出たときのことです。まず受付で会社のロゴを見たときに海外に来たにもかかわらず、「あ~私はここの会社の社員なんだ」と、とても安心した覚えがあります。また家具なども統一されており、会社の中に入った後もあたかも自分の席で働いているかのように感じられ、とても安心感がありました。オフィスのレイアウトや家具など、会社全体で揃えられていると統一感が出ていてとても良いなと思いました。
似た試みで日系の会社がよく行うのは、社章です。社章は男性が着るスーツにはよく適応しますが、女性のようにいろいろな洋服を着用する場合にはあまりフィットしないのが難点です。また女性は制服を着用している企業もありますが、制服というのもグローバル化の中では廃止していかなくてはいけないかもしれません。ロゴやインテリアに加えて、社内システムの統一もできればすばらしいのでしょうが、システム統合というのはとても難しく、コストもかかります。多くの会社では、この不況の中そこまでの投資は困難なのが実情でしょう。海外と国内のシステムが統一されていると、自国の事務所で働いているのと同じような画面を海外でも見ることができ、同じ仕事環境を作ることも可能です。また、社員がシステムを通して同じ言語を話すことが可能になります。そのような精神的安心感、そして会社に属しているという一体感がグローバル化していく中で社員にとっては大切だと感じました。
会社の「バリュー」が国を超えて与える影響
第二にグローバル化に必要だと考えたのが、会社のカルチャー作りです。海外にも拠点を持つようになると、会社の文化を同じように作り上げることは難しくなってきます。多種多様な異文化の人間が一緒に働く場合、会社のカルチャーを作っていくことが重要に感じます。自分はX 会社の社員であり、X 会社は 1.2.3.のような考えをもった会社ですとはっきりと社員が心に留めておけるものが必要なのです。そういった「考え」「バリュー」が国を超えて社員に一体感をもたらすのではないでしょうか。そのためには会社のモットーやミッション・ステートメントなどを持つことが大切だと思います。社員に向けて自社はこのような会社であるべきだと伝えるものです。社長や上層部の経営に対する考えを社員に示すことが更に重要だと考えます。
バリューなど一度掲げてしまえば、絵に描いた餅となりかねません。そのバリューを具現化し、社員に浸透させていくことが社長や上層部の大切な役割だと思います。いくら顧客を一番に考えようと会社のモットーで謳っていても、社長や上層部がそのような行動をとらなければ社員は決してついていきません。できるだけ社員の前に出るようにして、経営理念や考えをシェアする努力をすることで、どこの国の社員も会社や上層部との親近感・一体感がわいてくるように思います。ここで更に付け加えておきたいのが、具体化する大切さです。バリューなど、えてして抽象的な文言でまとまっていることでしょう。バラバラなバックグラウンドをもった世界にちらばる社員を統一するためにはそのバリューを具体化する必要があります。例えば数字目標など掲げるのは良いと思います。また、コミュニーケーションの方法ですが、文字で書いた形でもいいのですが、外国では言葉で話してくれることを好むように思います。よってできれば上層部の人間はウェブキャスト等を使って社員に話しかけると良いと思います。
環境に適応させるための人材教育
そして第 3 に考えたのが、人材育成の大切さです。グローバル化をしていく中で会社はどんどん変化していきます。既存の受け入れ側の人材育成も大切ながら、新しく入ってくる人材の教育も大切です。どのような会社にしていきたいのかを考え、それに沿った人材育成が大切と考えます。例えば英語を会社の共通言語にすると決めたのであれば、英語のレッスンを受けられるようにするべきでしょう。その中で異文化同士、どのように働いたらよいかというコースなどもとりいれていくとよいでしょう。
また、DISC (D は主導型、I は影響型、S は安定型、C は確実型)やMBTIなど社員をタイプ別に分けるコースなども、国ごとの特徴や個人の性格を理解するのにとても役立つでしょう。育ってきた環境がバラバラなため、このような他の術でタイプ分けできたりすると国の垣根が低くなるように思います。垣根をできるだけ低くし、一緒に働く術を覚えていってもらうことが重要だと感じています。垣根を低くするもう一つの方法としては、出張等を通して実際に会う機会も増やせるとよいと思います。「百聞は一見に如かず」とはまさにこのことで、いくら電話やメールでコミュニケーションをとっていたとしても、一度会ってみたら距離がまたたく間に縮まったという話は良く聞きます。グローバル化していく企業にとっては、システム投資と同じレベルの重要度で人材教育への投資を考えることが重要で、できる限り惜しみなく投資してもらえれば社員としても飛躍できるチャンスが増えるのではないかと感じます。
グローバル化は社運をもかけてとりかかる一大事業です。成功させるためには企業側の努力も必須です。今回は 3 つほど企業側からできる事を書かせてもらいました。これらは外資系で 20 年以上働いた私自身の経験からくる考えです。もちろん、これだけでは網羅しきれていないでしょうし、企業によって抱える問題は違い解決方法も違うことでしょう。しかしながら、異文化の中で世界中の社員が一体感を持てる環境を作り出せるかどうかが、最大重要案件の一つであることは確かでしょう。
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