# 23 社員から見るグローバル化
前回は働く母の目から見た企業のグローバル化について書かせていただきました。今回は特に働く母のみではなく、社員全般に関わってくることを焦点に書いてみたいと思います。
終身雇用という雇用形態が無くなり、実力主義になるのはどの社員にとっても変わりません。それでは実力主義になると、どのような変化があるのでしょうか ? もちろん実力があれば良いということになるのでしょうが、私が外資系に勤めていて日系企業出身の人材を採用する前にその方の認識を必ず確認する項目が 3 つあります。一つ目は、年齢、性別は一切関係ない実力重視の考え方であること。ニつ目は英語がある程度できること。英語が出来ないといつかは glass ceiling (見えない壁) にぶつかるため。そして三つ目は、異国の人間と働いていけるかということです。私は、これら三つの項目は外資系と日系の違いを捕らえたエッセンスだと考えており、グローバル化の中で社員が対応していかなくてはいけない 3 大要素だと考えています。
実力主義の環境で働くということ
実力主義とは、誰でも実力があれば上に上がれるのと同時に、そうでない者は上がれないか、もしくは解雇されるということです。また、性別、年齢が関係ないということは、女性でも若くて能力のある人間は上に上がっていけるということです。こういった環境の中、どういうことが結果として発生しえるかというと、年下の女性が上司になりうる、年上の男性が部下になりうるということです。今まで年功序列で働いてきた人が突然、年下の上司の下で働くことはメンタル的に適応するのが大変です。更にそれが年下の女性ときたらどうでしょう ? 適応するための苦労が倍増するのが目に見えています。また、上司として年上の部下をもったとしたらどう扱っていいのか困りませんか ?
今までは年上で上司だったから命令形で仕事が頼めていた。日本の文化では年上は敬うようになっており、会社の中でも年上が年下を使うという構成ができていました。しかし、今度は年上の部下に仕事を頼まなくてはいけないとなった時、あなたは命令できますか ? 何か問題が起こった時に年上の部下を怒ることができますか ? どちらの立場にしろ、適応するのに相当な努力が必要なことでしょう。実力があり上司になっていくのか、そうではなく部下になっていくのかは人それぞれでしょうが、どちらにしろ、年齢、性別に関係なく仕事をこなす状況に対応していかなくてはいけません。このような環境に慣れていけるかどうかが、グローバル化する企業の中で生き残って行くかどうかの違いになってくることでしょう。
英語力による Glass Ceiling (見えない壁)
次に英語です。今までは日本語のみできればよかった、社内も顧客もすべて日本語でことが足りていた会社が、グローバル化すると同時に英語という言語がはいってきます。それは海外の支店の人たちとコミュニケーションをとらなくてはいけない場合であったり、上司、または部下が外国人になったりする場合がでてくるからです。外国人が日本語に長けていればよいのでしょうが、そうはいきません。よって英語のスキルが必須になってきます。会社によっては社員に英語を覚えさせるよりは専属通訳を雇ってしまったほうが早いと判断し、すべて通訳を通して業務をこなしているところもあるようですが、もしあなたの会社がそういった対応をとらなかった場合には、やはり英語能力が必要となってくるでしょう。
そして英語がどのくらい使えるかによって、組織の中でどこまで上がれるか、どれだけ早く上がれるかなどに影響してくるはずです。文法的に正しくなくてもよいのです。コミュニケーションをとろうとする努力と姿勢が大切だと思ってください。日本的な方法では外国人の部下をうまく使えない、外国人の上司にうまく報告できない、外国のベンダーにうまく条件を伝えられないということが多々出てきます。しかし正しい英語が話せなくても、積極的に様々な場面を経験していったほうが断然有利に働きます。もし英語でのコミュニケーションが取れないままなら、グローバル化した組織の中でいつかは glass ceiling (見えない壁) にぶつかってしまうでしょう。
異文化の中で働くための心構え
最後は異文化の人間と働くということです。異文化の人間と働くということは一言では表せないほどいろいろと問題がでてきます。言葉の違いも一つですが、考え方の違い、慣習の違い、法律の違い、宗教の違いなど本当に色々です。国際結婚や、関東と関西などまるっきり違う土地柄から結婚をした経験がある方ならわかってもらえると思いますが、一つ一つが違うのです。そのような違いをわかろうとする努力や、姿勢を常に持つこと。自分の考え方、やり方が正しいと仮定しないことがとても大切になります。日本ではあたりまえの行動が海外では失礼にあたることがありえるわけです。
例えば海外の部下を褒める場合に、こう褒めたいけど、これで現地の文化的におかしくないかなどと、その国の上司に確認をするステップを経たりします。また日本の文化を知ってもらう努力も怠ってはいけません。日本の顧客は世界の顧客の中でもサポートするのが一番難しいといっても過言ではありません。そのような顧客を他国の社員にサポートしてもらう場合には、ニーズを隅々まで理解してもらう必要がでてきます。1 円の違いも許されない厳しさは、2,500 円ぐらいまでなら違いと思わない海外の標準とはかけ離れています。そのような違いを丁寧に相手にわかってもらえるまで説明する粘り強さも大切になってくるわけです。
実力主義、英語、そして異文化との交流と今回は個人的に考えた日本人がグローバル化した企業で働く際に考えなくてはいけないエッセンスを 3 つほど書かせてもらいました。今後多くの企業がグローバル化していく中、いつみなさんにその必要性がでてくるかわかりません。そのときになって、あわてないよう、少しでも先に考えていただけたらと思います。