「語学は才能だ !」と、よく言われます。外資系企業では、語学つまり英語のコミュニケーション能力が必要です。語学が才能だとすれば、才能のない人は外資系企業で働くことができないことになります。果たしてそうなのでしょうか ?
実は私の英語力は、決して自慢できる代物ではありません。学生時代に冗談で出場した英語のスピーチコンテストで、「Your English is terrible !( あなたの英語はヒドイわね ! )」と審査員にいわれて以来、英語恐怖症にかかってしまった私は、今まで満足に英語の勉強をしようとしてこなかったのです。
ですから、英語が通じなくて困った経験は、数え出したらキリがありません。まったく通じなかった発音に「both( 両方 ) 」というのがあります。私は「 A も B も両方とも」という意味で「both」を使いたかったのですが、同僚のエレンにはまったく通じませんでした。
( エレン )「What ? Jim ? ( 何言ってんの ? ジムのこと ? )」
( 私 )「( ... それは「boss」だろうが ... イライラ ) Hummm… I mean A & B !」
ロンドンでタクシーに乗ったときには、こんなことがありました。その日私は東京に戻るために、ヒースロー空港に向かっていたのです。
( 運転手 )「Which airlines, sir ? ( お客さん、どちらの航空会社ですか ? )」
( 私 )「Virgin ! ( ヴァージン(= ヴァージン・アトランティック航空のこと ) までお願いします)」
( 運転手 )「What ?」
私は「V」の発音が悪かったのだろうと、「ヴァージン、ブブブヴァージン !」と下唇が噛み切れんばかりに、「V」の発音を連発しました。やがて運転手が「OK !」というので安心していたら、結局エール・フランスのターミナルで降ろされていた、なんてことがありました。いったいどんな発音やねん、て感じです。
しかし、私は外資系企業で働いています。英語の会議でも、それなりに発言しています。1 つの理由としては、仕事で使う英語と日常英会話とは、異質のものであるということだと思います。
私の専門は「金融機関の IT 」ですが、その分野に関する話題なら、たとえそれが英語であったとしても説明することが可能です。逆に自分の仕事の内容をよく理解していなければ、いくら英語がうまくても話になりません。
外資系企業で生き残るためには、英語よりもまず自分の「専門分野」を固めることだと思います。「通訳」として働く以外には、「英語力が最重要 !」なんていう企業はありませんからね。
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奈良タカシ 1968年7月 奈良県生まれ。
大学卒業後、某大手銀行に入行したものの、「愛想が悪く、顔がこわい」という理由から、お客様と接する仕事に就かせてもらえず、銀行システム部門のエンジニアとして社会人生活スタート。その後、マーケット部門に異動。金利デリバティブのトレーダーとして、外資系銀行への出向も経験。銀行の海外撤退に伴い退職し、外資系コンサルティング会社に入社。3年前に同業のライバル企業に転職し、現在に至る ( 外資系2社目 )。 「タカシの外資系物語」の作者、奈良タカシさんへメッセージをお寄せください。 |