外資系企業では、みなさんが考えている以上に人材の流動化が活発に起こります。私の会社でも、どこかの企業からの転職者が人事担当者から説明を受けている風景を、ほぼ毎日見かけます。
入ってくる人が多い反面、辞めていく人が多いのも事実です。ある外資系企業では、年初にいた社員のうち、年度末まで残っていたのはわずか 3 割、でも全体は 2 倍に増えていた、なんていう話もあるぐらいです。
外資系企業の場合は、短期でそれなりの実績を上げなければ、たとえどんなに性格がいい人でも、有無を言わさずレイオフされてしまいます。ですから、人材が激しく動くのは仕方のないことかもしれません。
以前、私が関与したプロジェクトで、プロジェクト期間中にも関わらず、あるスタッフを解雇したことがあります。そのときには、解雇を告げる責任のあった部長が、いかにその人がプロジェクトに貢献しなかったか、要するに解雇の理由を、プロジェクト全メンバーに説明していました。日本人的には、「なんて殺伐とした世界なんだ ... 恐ろしい ...」と思われるかもしれませんが、実はそうでもありません。それは、実績というものが、すべて客観的な数字に基づいているので、私的な感情が入り込む余地がないからかもしれません。とはいうものの、聞いていて、あまり気持ちのいいものではありませんが ....
企業としては、本人に向いていない仕事を強要するよりも、思いきってほかの会社に移った方がその本人自身のためだ、という論理があるようです。わからなくもないですが、日本人的には大きな発想の転換が必要です。多額の住宅ローンに縛られ、一生安定的収入が必要な日本人の生活構造が変わらない限り、なかなか受け入れられない発想のような気がします。
「タカシ、Richard が辞めたらしいよ」「そう。ナイスガイだったのにね ...」その 1 年後、「タカシ、Richard が戻ってきたらしいよ」「そう ... ええっ ?」外資系企業では、こういうことも起こります。違う企業で修行を積んで、大きくなって戻ってくる、ということも可能なわけです。
また会社で身につけた技術やアイデアをもとに、自分で会社を興す人もいます。実際のところ、成功するケースは非常に少ないのですが、たとえうまくいかなかったとしても、また元の会社に復帰することも可能です。日本企業ではあり得ないことですが、IT 社会が到来し、人々の考え方が多様化する中で、一生同じ会社に勤め続けるということの方が、おかしな考え方なのかもしれません。
|
奈良タカシ 1968年7月 奈良県生まれ。
大学卒業後、某大手銀行に入行したものの、「愛想が悪く、顔がこわい」という理由から、お客様と接する仕事に就かせてもらえず、銀行システム部門のエンジニアとして社会人生活スタート。その後、マーケット部門に異動。金利デリバティブのトレーダーとして、外資系銀行への出向も経験。銀行の海外撤退に伴い退職し、外資系コンサルティング会社に入社。3年前に同業のライバル企業に転職し、現在に至る ( 外資系2社目 )。 「タカシの外資系物語」の作者、奈良タカシさんへメッセージをお寄せください。 |