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タカシの外資系物語

# 38  ■ 自分の責任範囲とは ?


外資系企業では、自分の責任範囲 ( =役割 ) が明確に決められています。私の勤める会社では、セクション・ヘッドにあたるパートナー ( 部長レベル ) は、セクション自体の中長期計画とリソース配分、マネージャーは個別プロジェクトの進行と管理、それ以外のスタッフは実際のハンズオンの作業という具合です。


しかし、プロジェクトはチームプレーにより成り立っています。チームプレーとは、各人が自分の持ち分をこなした上で、別のメンバーの手助けをしたり、チームの足りない部分を補ったりすることを言います。


私が外資系企業に入って一番戸惑ったことは、チームメンバーがほかのメンバーの仕事ぶりを、ほとんど干渉しないことでした。仕事が進まなくて困っているメンバーをフォローすることがほとんどないのです。各人は自分の役割分担が終了すれば、さっさと家に帰ってしまいます。


「なんて冷たい人たちなんだ。こっちはこんなに大変なのに」


入社当時の私は、ひとり憤りを感じていたものです。


私は 2 年前にマネージャーになり、プロジェクトを管理する立場になりました。昇格時に受けたマネージャー研修で、私は大きなショックを受けたのです。 「プロジェクト管理とは、問題点の解決の連続である。問題点の解決とは、付け焼刃の対応でごまかすことではなく、プロジェクトの不備をその場で抜本的になくすことである」


これは私の会社における「プロジェクト管理方法論」の冒頭にある文章です。要するに、プロジェクトの特定部分が遅れるというのは、マネージャーが各人に割り当てたタスクの配分見積もりを誤ったか、そのスタッフのスキルに合わないかのどちらかである。それをあやふやにしたまま、他のスタッフのサポートでごまかしながら進むというのは、のちのち取り返しのつかない問題を引き起こしかねない ……。


結果として、プロジェクトの進行が少しでも遅れると、スタッフの増強または配置換えなどがおこなわれます。実際にこれらの施策はかなり頻繁に実施されるので、配置換えがおこなわれた場合でも、「私はダメだったんだわ」というイメージをスタッフに与えずに済んでいるように思います。また、「気合いで乗りきるぞー ! 」なんていう残業は殆どないので、スタッフを無意味に疲弊させずに済みます。


純粋な日本企業で働いたことがある私にとっては、かなりの発想転換を迫られたのですが、今となってはこのやり方を非常に気に入っています。また外資系企業の強みも、このあたりに秘められているような気がしてなりません。

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タカシの外資系物語
奈良タカシ 1968年7月 奈良県生まれ。
大学卒業後、某大手銀行に入行したものの、「愛想が悪く、顔がこわい」という理由から、お客様と接する仕事に就かせてもらえず、銀行システム部門のエンジニアとして社会人生活スタート。その後、マーケット部門に異動。金利デリバティブのトレーダーとして、外資系銀行への出向も経験。銀行の海外撤退に伴い退職し、外資系コンサルティング会社に入社。3年前に同業のライバル企業に転職し、現在に至る ( 外資系2社目 )。
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