タカシの外資系物語

# 34  ■ ロンドン流・お酒の飲み方 ( ロンドン紀行-その 1 )


先週号でちょっと触れましたが、いま私はあるプロジェクトの関係で、2 か月ほどロンドンに来ています。そこで、今回と次回は、ロンドンでの話をすることにします。


私が勤める会社のロンドンオフィスは、「Bank」という地下鉄の駅のそばにあります。「Bank」はその名のとおり、ロンドン金融の中心であるシティの真ん中に位置しており、東京でいえば大手町のようなイメージでしょうか ? その日は、仕事が一段落したということもあり、同僚とビールでも飲みに行こうということになりました。お酒は強いほうではないのですが、みんなとワイワイ騒ぐのは好きなので、彼らの誘いにのってついていくことにしました。


そして行ったのは「Piccadilly Circus」。映画館が多く、東京でいえば銀座のような繁華街で、お店は小さなビールバーです。店内は混み合っていましたが、なんとか座ることができました。


「タカシ、何にする ?」
私は「とりあえず」という気持ちで、ロンドンの地ビールをたのみました。


「Cheers !( カンパーイ )」


15 分ほどたったでしょうか。「メニューまだかな」と思っていると、「タカシ、もう一杯どうだい ?」と誘われ、もう一杯飲むことにしました。また10分ほどたったあとに、私は思いきって聞いてみました。


「メニュー来ないのかな ?」


「何の ? さっき見たじゃない ?」


「いや、だからメニューだよ、おつまみの ……」


「何それ ?」


「腹減ったろ ?」


「飯はうちで食うよ、何いってんだよ。じゃ、そろそろ帰るか ?」


ガーーーン ! 滞在時間 25 分、結局ビール 2 杯だけ飲んで店を出ました。勘のいい方ならば、もうおわかりですね。そうです、ロンドンでは通常「酒を飲みに行く」というのは、本当に「酒だけを 2 杯程度飲む」ことを意味しているのです。


確かに駅の周辺を見ても、酔いつぶれたサラリーマンは見かけません。夜の新宿や新橋界隈とは大違いです。また彼らは、家族との対話を大事にします。飲んだくれた結果、深夜に帰宅などというのはありえないのでしょう。


欲求不満の私は、帰りに「Europe Foods」という、日本のコンビニに似たお店でビールとおつまみのナッツを買って帰りました。ここは夜 10 時まで開いています。滞在しているウィークリーマンションに着いたのは、10 時を少し回ったところでした。「ちくしょう、何なんだよ、さて飲みなおしだ」。あれ、待てよ。もしかして、今日夕飯食べてないじゃん ? ガーーーン !


結局、その日の夕飯は、ビール 1 本とナッツ 1 袋。リスの気持ちがよくわかる1 日でした。ググ、グゥー。腹減って眠れん。




  • 奈良タカシ
  • 1968年7月奈良県生まれ。
    大学卒業後、某大手銀行に入行したものの、「愛想が悪く、顔がこわい」という理由から、お客様と接する仕事に就かせてもらえず、銀行システム部門のエンジニアとして社会人生活スタート。その後、マーケット部門に異動。金利デリバティブのトレーダーとして、外資系銀行への出向も経験。銀行の海外撤退に伴い退職し、外資系コンサルティング会社に入社。3年前に同業のライバル企業に転職し、現在に至る(外資系2社目)。