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タカシの外資系物語

# 29  ■ 本当の“おもてなし”とは ?


外資系企業に勤めていると、米国本社や海外支社からの出張者に対して、接待する機会がたびたびあります。私は英語はあまりうまくないのですが、独身生活が長いせいか、おいしい和食のお店をたくさん知っている ( とみんなからいわれている ) ので、よく彼らの接待につき合わされます。


出張が週末をまたぐような場合には、土日を利用して、都内の観光案内に連れていったりもします。今年だけでも、浅草には 5 回以上行ったでしょうか。さて、彼らはこれら接待を楽しんだ後、決まってこのように言います。「タカシ、今日はどうもありがとう。とっても楽しかったわ。今度はあなたのおうちに招待してね」。


4 カ月ほど前に、サンフランシスコに出張したときのこと。サンフランシスコ事務所の同僚が、「タカシ、市内観光に連れて行ってやるよ !」というので、彼の車でいろいろと案内してもらいました。そろそろ夕食時になったころ、「今晩はオレがごちそうするよ」というので、私はてっきりどこかのレストランに連れて行ってくれるのかと思っていたのですが、彼は私を自宅に招いて、自分の手料理でもてなしてくれたのです。


彼いわく「シスコには、フィッシャーマンズ・ワーフなんて有名なところがあって、レストランもたくさんあるけど、せっかく日本から来たんだから、オレの料理を食って行けよ」。そのとき私は、料理の味そのものよりも、彼の思いやりに感動したことを覚えています。


外資系企業では、ビジネス上の接待を「Entertainment」、友人など親しい人に対するおもてなしを「Hospitality」と、わけて認識しています。日本ではこれらに明確な境界線はなく、ほとんど同義にとらえているような気がします。


上の例からもわかるように、自分が何かをすることで相手をもてなすという「Hospitality」のほうが、相手に対するインパクトが大きいのは明白です。このような「おもてなし」をしてもらった相手とは、仕事はもちろんのこと、プライベートでも深いつき合いが続きやすいといえるのではないでしょうか ? 世間一般には、「外資系企業はドライである」というイメージが先行しているようですが、少なくとも私の印象では、日系企業よりも深いつき合いをしているように思います。

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タカシの外資系物語
奈良タカシ 1968年7月 奈良県生まれ。
大学卒業後、某大手銀行に入行したものの、「愛想が悪く、顔がこわい」という理由から、お客様と接する仕事に就かせてもらえず、銀行システム部門のエンジニアとして社会人生活スタート。その後、マーケット部門に異動。金利デリバティブのトレーダーとして、外資系銀行への出向も経験。銀行の海外撤退に伴い退職し、外資系コンサルティング会社に入社。3年前に同業のライバル企業に転職し、現在に至る ( 外資系2社目 )。
「タカシの外資系物語」の作者、奈良タカシさんへメッセージをお寄せください。