みなさんが仕事をする上で、肌身はなさず持ち歩いているものは何ですか ? それは「手帳」である、という方が結構多いのではないでしょうか。私もその 1 人です。私の手帳は、某コンピュータメーカーが毎年くれるもので、何の特徴もないのですが、それがかえって使い勝手のいいものとして感じられるため、ここ 5 年ほど同じ手帳を使っています。
手帳には、スケジュールやアドレス、備忘録など、その人にとって非常に重要な情報が詰まっています。私の場合は、手帳がなくては仕事が一切できないといってもいいほど、この 1 冊に仕事をする上で必要なものが集約されています。「命の次に大事」といっても過言ではないほどです。
最近、このような私のスタイルに対して、ある侵略者が現れました。それは、「モバイルツール」です。試行的にマネージャー以上の社員に対して、使用が義務づけられました。社長いわく「“紙”に依存した手帳文化を捨て、あらゆることを電子的に処理する時代がやってきた」のだそうです。なんでも米国本社では、各自のスケジュール、アドレス管理はもちろんのこと、チーム間での相互のスケジュール把握、顧客との名刺交換まで「モバイルツール」上で、電子的に行ってしまうそうです。「名刺交換まで ……」と驚かれるかたもいるかと思いますが、要するに、自分の名刺情報を赤外線で相手の「モバイルツール」に飛ばすわけです。これじゃまるで、荒野のガンマンの決闘シーンです。
確かに Palm をはじめとする「モバイルツール」は、最近流行しています。データを PC にダウンロードすれば、煩雑な名刺管理などの作業が、PC 上で電子的に行えるわけですから、非常に便利なツールであることに間違いはないでしょう。しかし私はうまく使いこなせていません。私の仕事は「IT コンサルタント」ですから、元来機械オンチなわけでもありません。しかし手帳には手帳の良さがあるように思えてならないのです。
手帳のほうが勝っている点は、「日記」代わりとしての使用でしょう。あとから読み返してみて、「あのころは、こんなことをしていたなぁ ……」と、ノスタルジックな気分にひたるには、「モバイルツール」より手帳のほうが適しています。
しかし実際の仕事の合理性からすると、やはり「モバイルツール」に軍配が上がるかもしれません。飲み屋で見かけたかわいい女の子に、さりげなく自分の名刺を“電子的に”手渡す──。こんなことが実現できるのも、そう遠くないのかもしれませんね。
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奈良タカシ 1968年7月 奈良県生まれ。
大学卒業後、某大手銀行に入行したものの、「愛想が悪く、顔がこわい」という理由から、お客様と接する仕事に就かせてもらえず、銀行システム部門のエンジニアとして社会人生活スタート。その後、マーケット部門に異動。金利デリバティブのトレーダーとして、外資系銀行への出向も経験。銀行の海外撤退に伴い退職し、外資系コンサルティング会社に入社。3年前に同業のライバル企業に転職し、現在に至る ( 外資系2社目 )。 「タカシの外資系物語」の作者、奈良タカシさんへメッセージをお寄せください。 |