外資系企業においては、「独自の考え方 = 方法論」というものが明確に存在します。私が勤めているコンサルティング・ファームなどの業態の場合、特にそうなのですが、プロジェクトそのものが、会社が決めたやり方に従って進んでいきます。やり方が決まっているわけですから、担当者は自分のプロジェクトをいかに会社の方法論に適合させるか、ということに注力することになります。私の会社におけるプロジェクト進行の方法論は、次の 5 つのフェーズに分かれます。
1.Scoping & Planning ( 計画 )
2.Visioning & Targeting ( 目標設定 )
3.Design ( 設計 )
4.Configuration ( 構築 )
5.Testing & Delivery ( テスト & 導入 )
外資系企業におけるプロジェクト方法論の特徴は、プランニングのフェーズが長い点だと思います。計画と目標設定に関し、非常に長時間かけて議論をするのはもちろんのこと、プロジェクト参加者の中に少しでも異論を唱える人がいれば、また最初から検討し直すこともしばしばです。その代わり、いったん計画と目標設定を終えてしまえば、その後の設計以降の作業は、すさまじい勢いで進んでいきます。
一方、一般的な日本企業の方法論はこれと対称的です。彼らは「変化」を嫌う傾向にあるので、日々コツコツと計画し、業務を遂行していきます。私はこの 2 つの違いを「狩猟民族」と「農耕民族」の違いだと考えています。外資系企業は、綿密な計画のもとに獲物を仕留め、目的が達成されたあとは、しばらくゆっくり休むという「狩猟民族」。日本企業は、毎日同じようなことを繰り返し、定められた時期にそれなりの収穫を得る「農耕民族」。
経済が安定的に成長していた時代には、日本企業のほうが生き残る確率は高いといえるでしょう。しかし、昨今は金融ビッグバンに代表されるように、劇的かつ、さまざまな変化が襲ってきます。そのような時代には、外資系企業のような方法論をとり入れることも必要になってくるのではないでしょうか。ひとつ誤解してはいけないことは、外資系企業すなわち「狩猟民族」は、決して行き当たりばったりで生きているわけではないということです。彼らは日本企業以上に計画フェーズに時間をかけています。日本企業のほうも、もっと長期的で幅広い視野のもとに計画を立てなければ、そのうち「狩猟民族」に獲物をすべて持っていかれてしまうことになりかねないと危惧する今日このごろです。
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奈良タカシ 1968年7月 奈良県生まれ。
大学卒業後、某大手銀行に入行したものの、「愛想が悪く、顔がこわい」という理由から、お客様と接する仕事に就かせてもらえず、銀行システム部門のエンジニアとして社会人生活スタート。その後、マーケット部門に異動。金利デリバティブのトレーダーとして、外資系銀行への出向も経験。銀行の海外撤退に伴い退職し、外資系コンサルティング会社に入社。3年前に同業のライバル企業に転職し、現在に至る ( 外資系2社目 )。 「タカシの外資系物語」の作者、奈良タカシさんへメッセージをお寄せください。 |