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タカシの外資系物語

# 24  ■ 名刺の肩書


私が勤める外資系企業では、外部的には 3 つの肩書しかありません。「アナリスト」「マネージャー」「パートナー」。「アナリスト」は実務作業担当者、「マネージャー」は現場レベルの責任者です。「パートナー」は「共同経営者」という意味で、会社の株式を互いに持ち合うことで、出資している人物のことなのですが、業務上は「部長」ぐらいのランクだと思います。内部的には、この 3 つの肩書別に、「ジュニア」「シニア」があり、さらにそれらが 4 段階に分かれています。ですから、大学を卒業してすぐ入社した場合、最短 16 年で共同経営者の仲間入りができることになります。


しかし、これらの肩書は、顧客にとってはほとんど意味がないものです。特に「パートナー」というのは、日本では理解しにくい仕組みなので、顧客に対しては「金融セクション部長の○○です」といういい方で、紹介することのほうが多いように思います。


そもそも日本には独特の「名刺交換」の文化があります。欧米の場合、名刺そのものは存在しますが、日本のような使い方はしません。出会った瞬間握手をし、口頭で自己紹介します。面談終了後、名刺がなければ名前を思い出してもらえないようでは、自分の売り込みに失敗したわけですから、有能なビジネスマンとはいえないわけです。


一方、日本の名刺交換の場合は、形式的な要素も多分にあるとはいえ、相手の名前と肩書、および連絡先がわかるという意味では、いい制度なのだろうと思います。ただし、名刺交換自体は単なるあいさつに過ぎません。外資系企業の場合は、「とりあえず名刺だけでも交換しておきましょう」というようなシチュエーションは少ないといえます。常に自分を相手に印象づける姿勢がないと、会社からも顧客からも評価されません。私のボスは、私が顧客とのミーティングであまり発言しないと、「タカシの名刺は、bookmark ( しおり ) として使われるだろうね」とイヤミをいいます。外資系企業では、「沈黙は悪」であり、名刺は会話の幅を広げるためのツールにすぎないのでしょう。


最近は CEO( 最高経営責任者 )、COO( 業務執行責任者 ) などの肩書が、日本企業にも活発に導入されています。今後ますます、個性的な肩書が登場してくると思われます。しかし、本当に重要なことは、「名刺の肩書」ではなく「内容」であることを忘れてはいけないでしょう。

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タカシの外資系物語
奈良タカシ 1968年7月 奈良県生まれ。
大学卒業後、某大手銀行に入行したものの、「愛想が悪く、顔がこわい」という理由から、お客様と接する仕事に就かせてもらえず、銀行システム部門のエンジニアとして社会人生活スタート。その後、マーケット部門に異動。金利デリバティブのトレーダーとして、外資系銀行への出向も経験。銀行の海外撤退に伴い退職し、外資系コンサルティング会社に入社。3年前に同業のライバル企業に転職し、現在に至る ( 外資系2社目 )。
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