私が勤めている外資系企業では、毎日「タイムシート」なるものをつけなければなりません。これは「どのプロジェクトのために、どのくらいの時間を使ったのか」を記録するもので、たとえば「A 社プロジェクト 5 時間、B 社プロジェクト 3 時間 ……」という感じになります。
私が以前勤めていた銀行でも同じようなシートをつけていました。しかしこのときは、自分がどのように時間を使ったかというよりは、自分がどれだけ残業したか、すなわち「残業管理簿」の役割しか果たしていなかったように思います。今の会社では、残業の概念はありません。実際に残業していても、残業代は支払われません。これはどこの外資系企業でもだいたい同じだと思います。重要なことは、勤務時間とされている 7.5 時間を、いかに有効に使うかということにつきます。
プロジェクトベースでタイムシートをつけるということは、自分が働いた時間、すなわち自分の人件費が、いずれかのプロジェクトに明確にリンクづけられることになります。この数字をもとにプロジェクトの採算性が測られ、どれだけ儲かったかが判断されます。仮に、ひとつのプロジェクトへの関与時間を過少申告したとしても、そのしわ寄せがほかのプロジェクトに影響してきますから、結局は正直に申告しなければならないことになります ( もちろん、プロジェクト間で多少の調整はしますが ……)。
また、タイムシートには「研修参加」「人事面談 ( 給料の交渉です )」という項目はありますが、「新聞を読む」「お茶を飲む」という項目はありません。すなわち「雑用」(誰のため、何のためといえない時間)という項目がないのです。これは当たり前のことのようですが、実際にはこのような時間の割合が、結構多いのも事実。同僚と仕事以外の話をしながらお茶を飲んでいたとしても、それはいずれかのプロジェクトの費用として加算されます。そのため会社にいる間は、できるだけ仕事と関係のないことはしないような行動パターンに、自然になってきます。
こういう話をすると、外資系企業では仕事一辺倒で、日系企業のような「和気あいあい」とした雰囲気がないのではないかと感じるかもしれませんが、そうでもありません。少なくとも私がいた銀行に比べれば、非常に楽しい職場だと感じています。それよりも、社員がムダなく仕事をする仕組みを持っているという点では、外資系企業のほうが一枚も二枚も上手だといえるのではないでしょうか。
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奈良タカシ 1968年7月 奈良県生まれ。
大学卒業後、某大手銀行に入行したものの、「愛想が悪く、顔がこわい」という理由から、お客様と接する仕事に就かせてもらえず、銀行システム部門のエンジニアとして社会人生活スタート。その後、マーケット部門に異動。金利デリバティブのトレーダーとして、外資系銀行への出向も経験。銀行の海外撤退に伴い退職し、外資系コンサルティング会社に入社。3年前に同業のライバル企業に転職し、現在に至る ( 外資系2社目 )。 「タカシの外資系物語」の作者、奈良タカシさんへメッセージをお寄せください。 |