# 460 ■ 宝くじが当たったら・・・ ? 日本人の「起業」感 ( その 1 )
――― 人生が劇的に変わるレベルのお金 ―――
「宝くじで 3 億円当たったらどうする ? 」
みなさんは、この質問に対して、どのように回答しますか ? 先日読んだ本(『キラークエスチョン ~会話は「何を聞くか」で決まる~ 』(山田玲司著:光文社新書))の中に、次のような指摘がありました。
(1) 「宝くじで 3 億円当たったらどうする ? 」 という質問は、現実性に乏しく、ありがちな答えしか返ってこないことが多い
(2) 「 5 万円を好きに使っていい、と言われたらどうする ? 」 という質問は、イメージしやすくて、話が盛り上がる可能性が高い
・・・とのこと。この本で扱っている「キラークエスチョン」という概念は、「相手に気持ちよく話をしてもらう質問、相手の本音を引き出す質問、相手の心の扉を開く質問」ということらしく、そういう意味では、確かに(1)よりも(2)の方が “キラー” かもしれません。
しかし、私は以前から(1)の質問を、知り合いや同僚に、繰り返ししてきました。なぜか ? それは、「人は、“人生が劇的に変わるレベルのお金”を手にした場合、いったい何をするんだろう ? 」 という点に、素朴に興味があるからです。
では、「人生が劇的に変わるレベルのお金」 とは、いくらぐらいなのか ? ま、 5 万円では、人生は変わらんですわな、実際・・・(しばらくの間、ランチのメニューがリッチになるかもしれませんが・・・ 新型のi-Podを買うかな。一晩で飲んじゃったりして ! ・・・ ま、この程度の変化でしかありません)。
数百万でも無理かな・・・、数千万なら変わるかもしれませんが、“劇的” とは言えないかな・・・ などと考えていくと、やはり「億単位」になると思うのです(わけのわからない論理ですが・・・)。 宝くじで 3 億円 ! 現実味は低いにしても、可能性はあるわけですから。
で、この質問。私はこれまでに、 50 人ぐらいの人に同じ問いかけをしてきたのですが、回答が見事に 2種類に分かれるのです。それも、日本人と外国人とで、スパッと ! さて、どのように分かれるのでしょうか ?
――― あぶく銭 = クルーザー ? ―――
まず、日本人の典型的な回答から。
「3億円 ? そうだねぇ・・・ まずは、家のローンを返すかな ? 」 日本人に一番多い回答は、これです。日本人サラリーマンにとって、いかに住宅ローンが人生の重荷になっているのかがよくわかります。ちょっと悲しいですが・・・(T-T)。
「余ったお金で、クルーザーなんていいかも ? 」 これも多い。日本では、「あぶく銭=クルーザー」 みたいな図式があって、大して海が好きなわけでもないのに、反射的に「クルーザー」と答える人が結構多い。本当に、クルーザーになんて、乗りたいの ?
実は私、ダイビングを趣味にしている関係で、そのついでに船舶免許も持っています。なので、それほど大型でなければ、クルーザーを運転することができます (もちろん、クルーザー本体を所有していないので、運転した経験はありませんが・・・)。そんな、「クルーザー通 ( ? ) 」の私から言わせると、実際にクルーザーを所有するというのは、想像以上に大変なのです。まず、港(多くの場合、「マリーナ」とか言いますが)の停泊料がバカ高い。ざっと見積もって、車の駐車場の10倍ぐらいと思った方がいい。また、メンテナンスも大変! 船底にフジツボとかがこびり付いたりして、それを落とすだけでも、かなりの費用がかかる・・・ ま、文句があるなら、所有してから言えよ、という話もありますが・・・ なんか、貧乏人のひがみみたいで悲しくなるので、この話はもうやめましょう・・・(T-T)(T-T)。
次に、「貯金する ! 」 という輩も多い。貯金って、アンタ・・・ そう言われてしまっては、これ以上、話が広がらんやないですか !
そして、こういう回答もあります。「 3 億円手に入ったら・・・ とりあえず、会社を辞めるかな」 で、辞めてどうするの ? 「 3 億円あれば、あくせく働かなくても、それなりに生きてはいけるだろ ? それでいいじゃん ! 」 つまり、遊んで暮らすと言っているのです。
――― 3 億円で、「起業」する ? ―――
では、外国人はどのような回答が多いのでしょうか ?
「 3 億円手に入ったら・・・ とりあえず、会社を辞めるかな」 ん ? どこかで聞いたセリフですね。でも、これに続く文脈が、日本人のそれとは、かなり違うのです。 で、辞めてどうするの ?
ズバリ 「起業する ! 」 なんですね、これが。私がこれまでに質問した外国人の、 6 割以上は「起業する」と答えました。「とりあえず 3 億円(約 300 万ドル)あれば、自分のやりたいビジネスを立ち上げることぐらいはできそうだからね ! 」
一方、日本人で「起業する」と回答したのは、日本人全体の 10%にも達しません。私が所属するのは、コンサルティング会社ですから、おそらくは一般的な日本企業よりも 「起業性向(起業したいと考える割合)」 は高いはず。それでも、10%程度でしかないわけです。
少し注釈を入れておくと、私が質問した外国人は、7割がアメリカ人、残りは、中国人とインド人です。アメリカ・中国・インドというのは、特にIT産業が盛んですから、ITベンチャーを興すといったイメージで、そもそも「起業性向」が高いのは確かです。しかし、それにしても、どうしてこれほどの差が生じるのでしょうか ?
よく言われるのは、日本人と外国人における、職業観の違いです。日本では、大企業に入ることが理想とされますが、外国(特に、アメリカ人に顕著 ! )では、たとえ規模は小さくても、自分の会社を持つことを目標とする人が多い。確かに、この感覚の違いは大きいでしょうね。
しかし一方で、こんな統計があるのです。昨年、私の会社で、若手スタッフ向けにある調査が実施されました。その調査内容(質問)は、「あなたの10年後の目標は何ですか ? 」 これに対する回答で最も多かったのは、「起業」だったのです。実に、過半数の若手スタッフが、「10年後には、起業したい ! 」と回答したのです。つまり、「社員の約半数が10年後には起業したいと回答する一方で、3 億円が手に入ったら、起業するのは10%にとどまってしまう」ということ。なんじゃ、こりゃ !
どうしてこのような矛盾に満ち満ちた回答結果になってしまうのか ? それは、日本人における「起業」感にあるように思います。次回、そのことについてお話しましょう。
(次回続く)