# 436 ■ 案外気弱な (?) 外国人マネジメント
――― 外国人マネジメント、吠える! ―――
Change ! Change, Change, CHANGE !
・・・オバマ大統領ではありません。わが社のアメリカ人 COO である David が、全社マネージャー・ミーティングで吠えています。ま、今に始まったことではないのですが・・・
David (COO) 「金融危機の今こそ、チャンスなのだ ! お客様の声に耳を傾け、攻めのアプローチをするのだぁぁぁぁ ! 」
・・・ま、確かにそうなんですがね。景気の悪い時期には、やっぱり売れないわけで・・・
David (COO) 「・・・ということで、1st Quartor (第1四半期) も残りわずか。社員みんなの奮起に期待したい ! よろしくぅぅぅぅ ! Kiai-da (気合だ:アニマル浜口の真似) ! Kiai-da ! Kiai-da ! Kiai-da ! 気合だぁーーーーー ! 」
会議終了後、興奮気味のDavidとは対照的に、聞き手のマネージャー連中は、かなり冷め気味の様子。
「今日のDavid、すんごい気合入ってたけど、売れないものは売れないしねぇ・・・」
「一般的に、アメリカ人のスピーチって、ああいうふうにドラマチックにやるもんなんだよ。でも、気合だけではなぁ・・・」
「ま、一種のパフォーマンスだから、気にしなくていいよ。われわれは、できることから始めるしかないしね・・・」
反応は、冷めまくり。確かに、私も同様の感想を持った一人です。しかし、本当にそうなのか? つまり、アメリカ人のスピーチはパフォーマンスの一種だから、適当に聞き流せばいいのでしょうかねぇ?
実は、昨年私のチームにいたA子さんが、今年はCOOであるDavidのExecutive Assistant(日本語でいう秘書に近いが、もっと踏み込んだサポートもする。例えば、スピーチの原稿を一緒に考えたり、とか)をしています。ミーティング後にA子さんと話す機会があったので、Davidのスピーチについて、聞いてみたところ、予想外の返答がありました。
A子さん 「あのスピーチが単なるパフォーマンスだなんて、とんでもない!彼は、何時間もかけて、スピーチの原稿を書いているんですよ!」
――― 外国人マネジメントは、気弱? ―――
私 「えっ!そうなの?」
A子さん 「実は私も、Assistantに就くまでは、タカシさんと同じように考えていたんですけど・・・ キャッチーなフレーズも、オーバーなアクションも、アメリカ人独特のパフォーマンスなんだろう、毎回ああなんだろう、って・・・ でも、彼自身は本当に物静かな人で、どうすれば日本人のスタッフが反応してくれるかって、そればかり考えているんです。結構、無理してやってるんですよ・・・」
ふーーん・・・
A子さん 「その証拠に、Kiai-da!Kiai-da!・・・のフレーズも、ウケるかどうか、ちょっと古いんじゃないかって、真剣に悩んで、私に相談に来たし・・・」
そ、そうなのか・・・ 確かに、ちょっとスベっていたが・・・
A子さん 「先日も、会社を改革するアイデアを、彼自身が全社員にメールで募集したんですが、ほとんど返事が来なかったので、ひどく落ち込んでいました。会社に来たら、まずメールボックスを開いて、“今日は何通、返事が来ただろう♪” って、それはもう、楽しみにしていたんですから・・・」
そうやったんかぁーーーー!(T-T) すまん、Davidぉーーーーーーーーー!(T-T)(T-T) わしが、悪かったぁーーーーーーーーー!(T-T)(T-T)(T-T)
――― 外国人マネジメントの涙ぐましい努力(T-T) ―――
日本人マネジメント (経営層) なら、社員に気合を入れるスピーチの準備になど、あまり時間をかけないかもしれません。しかし、わが社のDavidと同様に、日本の外資系企業にいる外国人マネジメントというのは、神経質なまでに気を遣って、日本人スタッフと相対しています。スピーチ 1 つに対しても推敲に推敲を重ね、メールの反応に一喜一憂し・・・ その姿は、まさに涙ものです。
実はわれわれ自身も、これと同じことを体験しています。例えば、海外出張などで、大半が外国人の前で話す場合など。もちろん、英語で話さなければならないというプレッシャーがあるものですから、英語にばかり気をとられていますが、実際には、異なる考えや文化、バックグラウンドを持つ人に対して、自分の話がうまく伝わるだろうか? ということの方にこそ、準備の大半を割いているように思います。
多くの外国人マネジメントは、日本人に対しても英語で話をするものですから、さぞかし言いたい放題、何も考えずに言っているんだろうと思いきや、なんの、なんの・・・ 気の遣い方たるや、半端ではありません。A子さんによると、Davidはスピーチの際に、以下のことに留意しているとのこと。
● 日本人向けに、スローで正確な英語を話す
私の経験上、できるマネジメントほど、話す英語はスローです。また、文法的にも正確な英語を話します。なので、私のように中途半端な英語力しかない人間は、「俺って、こんなにヒアリング力あったっけ ? 」と錯覚してしまうわけですが、重要なことは、内容が伝わったかどうかということですから、そういう観点では「スローで正確 ! 」というのは目的を達していると思います。
● 少し考えないとわからないような、Witやアメリカン・ジョークは避ける
英語ネイティブの聴衆だけが、ドッとウケているようなケース、よくありますよね。映画館で字幕の洋画を見ていると、よく出くわす風景です。日本人の多くは、「なにがおかしいのか、よくわからん・・・ でも、一応笑っておこう、ハハハ・・・ (汗っ!)」なんていう対応をしがちな場面。できるマネジメントのスピーチでは、「ネイティブの内輪ウケ=日本人を阻害している」というイメージを与えないために、極力避けているようです。
● 日本人にとって流行のフレーズを入れる
私の経験では、 「気合だ ! 」 (アニマル浜口)、「元気ですかぁーっ ! 」(アントニオ猪木) などを外国人マネジメントが使うのを耳にしたことがあります (なんか、プロレスラーばっかりですが)。彼らの意図は、日本人にもウケるし、一体感を体感できるということなのでしょう。しかし、個人的にはなくてもいい。スベっているケースもよくあるし、そこまでしなくても、って思ってしまいます。その努力は評価に値しますが・・・
ま、いずれにしても、外国人マネジメントだって、涙ぐましい努力をしているということです。みなさんも、上司の外国人がスピーチをしたら、「Thank you, great speech !」「We had good meeting !」などと、声をかけることをお勧めします。それだけで、外国人マネジメントが、あなたを見る目が変わるかもしれませんよ !