| 現役 MBA 生 ライブレポート ! |
6 月初旬、 MIT Sloan の卒業式は二日間に渡って盛大に行われました。初日は学部だけで行う卒業式があり、夜はボストンの展望レストランでレセプション。二日目は全学部が集まって学位授与式が行われ、その後立食パーティという、盛りだくさんの予定で詰まった一大イベントです。

われわれ留学生は、アメリカ式の卒業式は初体験です。そのため、分からないことがいくつもありました。
まずは服装。アメリカの卒業式と言えば、黒のローブを着て四角の帽子を被りということはもちろん知っています。ハリーポッターみたいなやつですね。これは学生生協でレンタルできます。
ただ問題は、その下に何を着るのか ?
A 「やっぱスーツだろう、ローブの下は」
B 「うーんそうか。クリーニング出さなきゃな」
C 「ところで夜のレセプション、ドレスコードは ”セミフォーマル” だって」
D 「セミフォーマルってビジネスカジュアルより格式あるはずだから、礼服 ? 」
A 「なぬ ?! そんなもの持ってないぞ ! 」
などと話し合います。しかし結局分からないので、アメリカ人の友人に聞いてみました。すると「そんなの何でもいいよ」というアメリカ人らしい答。彼は ”普段着” で行くそうです。うーん、そんなこと言っても卒業式だしなあ…。まあ安全サイドで、スーツ着ていくか…。
そして卒業式当日。周りを見渡すと、スーツを着ている人が大半ですが、本当に普段着の人もいます。中にはサンダル履きの同級生も…。夜のレセプションについても同様で、ドレスで着飾った人がいるかと思えば、ジーパン姿の人も。服装一つとっても、アメリカらしい自由な雰囲気がありました。
もう一つ心配したのが、家族のことです。卒業生の家族や友人は、世界中から卒業式のために飛んできます。私のところも九州の両親がはるばるボストンまでやってきました。しかし英語がしゃべれないのに、楽しめるのかな…。
結果として、まったく心配ありませんでした。学長や来賓の挨拶では厳粛な雰囲気ですが、それ以外は笑い声や歓声の絶えない、アットホームで肩の凝らない卒業式だったからです。英語がわからなくても、十分雰囲気を楽しめます。

卒業式後の話です。うちの妻が、南米から来たと思われるお母さんと談笑していました。あれ、あのお母さん英語しゃべるのかな ? と思って後で聞いたら、スペイン語で話しかけられて、全然言葉が通じていなかったそうです。でも、子どもの卒業を祝う気持ちからか、終始楽しげに話しかけて来たので、妻もニコニコとおしゃべり ? していたそうです。
私たちの代は、未曾有の経済危機のまっただ中で卒業を迎えました。納得のいく職業を見つけられずに卒業を迎えている同級生が多いのが実情です。それでもプライドを持ち、前向きに明るく将来に向かおうとしている。そんな人が多いのが MBA の特徴です。
初日の卒業生代表挨拶は、そんな卒業生の気持ちを代弁するものでした。
「この時代に MBA を卒業することを不運だという人もいます。でも、私はそう思いません。世界が困難な状況に陥っている今こそ、この MIT Sloan で素晴らしい教育を受けた幸運な私たちを、世界は必要としているのです。今こそ、私たちが授かった知識や経験を世界のために役立てるときです。」
「Let’s go and fix the world (さあ、社会に出て、世界を直しましょう)」
これが彼女の結びの言葉でした。そして大歓声。
正直私は、「Let’s fix the world !」と言えるほど自信満々ではありません。が、その場には「そうだ ! 社会に貢献するときだ !」と思わせるパワーがありました。この明るく前向きな点、そして自分に自信を持つという点は、卒業後も忘れずにいようと思います。
思えば色々なことを考えた二年間でした。社会のこと、仕事のこと、家族のこと、自分の将来…。ケーススタディと一緒で、決して解答に行きついたわけではありません。しかし様々な人と触れ合い、教授を始めとする人生の先輩達の意見に耳を傾けることで、二年前には見えていなかったものがたくさん見えた気がしています。
二年前、留学すべきかどうかを迷う私に、ある人が言いました。
「MBAには人生を変える出会いや教えがたくさん待っている。よっぽどの理由がない限り、行くことをお勧めするな」
MBA卒業生のその人が、「人生を変える」という大げさな言葉をサラッと口にしたことに、当時私は驚きました。
しかし、今はその言葉に間違いはなかったと言えます。ビジネススクールはテクニックやプレゼン能力を学ぶだけの場ではありません。人生について考える場でもあります。本当に来てよかったと思っています。

もちろん、卒業は次へのスタートに過ぎません。
卒業後、私はアメリカの投資ファンドで働くことにしました。来週から西海岸に移り住みます。日本向けに投資をしているところで、外資ながら日本の経営者と良好な関係を築けていることで、業界では評判の企業です。
最初の回で私は『スーパー何でも屋』を目指すと言いましたが、そのために最適の職場だと思っています。なぜなら、このファンドは会社のバリューアップを図る投資手法を取っているため、企業経営を多角的に分からないといけないからです。こういう点は外からではなかなか分かりづらいのですが、昨夏のインターン経験を通して気づくことができました。そしてインターン経験は、MBAで学んだからこそ得られたもの。その意味で、ビジネススクールに来なければあり得なかったキャリアの選択肢だと思います。
来月社会に戻ったら、また新人の気持ちでがんばろうと思います。
というか、本当に新人ですし。
さて18回に渡りお伝えして来たこのレポートも今回で終了です。乱文乱筆にお付き合いいただき、ありがとうございました。メールでご質問くださった方々にもお礼を申し上げます。「MBAってどんなところ ? 」という疑問に少しでも答えることができたなら幸いに思います。
それでは新人Kaz、社会に戻ります !
どこかでお会いしたら、ご指導ご鞭撻のほどよろしくお願いします !
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執筆者 Kaz
1974年生まれ、九州出身。大学までを九州でのびのび過ごす。大学卒業後 上京し総合商社に入社。プラントプロジェクトの部署に所属し中東・ロシア・北アフリカ地域を担当する。3年目にニューヨークに駐在し、
以降6年間米国を拠点に情報産業分野の開発案件を担当。2007年8月よりマサチューセッツ工科大学スローン経営大学院に留学中。家族は愛妻と二人の男児。趣味はゴルフ、好きな食べ物はカレーライス。
ボストンでの日々を綴った Kaz のブログは http://blog.goo.ne.jp/kaz1204 Kazへのコメント、ご質問は kazmit09@gmail.com まで。
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