| 現役 MBA 生 ライブレポート ! |
今回は、これから MBA を目指す方にとって役に立つと思われる二つのトピック(今年のMBA就職事情/学校選びのポイント)をお伝えします。
まずは最新の MBA 就職事情です。以下の内容は MIT で私が見聞きした全世界での就職事情ですが、日本の MBA 人材市場についても同じことが言えます。
世界的不況を受けて、MBA にも就職難の時代を迎えています。例年ビジネススクールでは、多くの学生が二年時の秋から冬にかけて就職先を固めるのですが、去年はちょうどその時期に金融危機が襲って来ました。その結果、就職先を固めるどころか、逆に内定の取り消しや延期が相次いだのです。MIT のキャリアデベロップメントセンターが行ったアンケートでは、この6月に卒業する二年生のうち就職先を確保している学生は 73 % だそうです。これは5月半ば時点での集計結果なので、卒業前後にもう少し数字は上がってくると思います。しかし例年90%以上の内定率を誇る MIT としては、まれに見る苦戦であることがこの数字に表れています。
他のビジネススクールも同様の状況です。先日ハーバードとケロッグの友人から聞いたところでは、彼らの大学でもやはり就職内定率は 7 割程度に留まっているようです ( 5月時点) 。友人は「同級生と話していても、『卒業後どこで働くの ? 』って聞きにくいんだよねー」と言っていました。どこも一緒だな…という実感です。
具体的にどの業界で MBA 採用が減ったのでしょうか。同級生の就職先リストを見ると、それはもっぱら金融セクターであることが分かります。特に毎年 MBA の大口就職先だった投資銀行への内定が激減。商業銀行や投資ファンドも採用を大幅に抑制しています。一方金融業界以外では、例年同様の採用企業名が並びます。マッキンゼーやベインなどの一流コンサルティング会社、アップルやマイクロソフトといった IT 企業群がそれで、これらの企業も例年に比べると抑制気味ながら、それでも各校から 10 人単位で人を取っています。つまり今年の MBA 就職戦線は、金融志望の学生に特に厳しいものだったということです。
ではキャリアアップ、特に転職という観点で MBA を目指す価値は減ったのでしょうか。私はそうではないと思います。なぜなら通常の人材市場と同じで MBA 人材市場にもサイクルがあり、数年経てばまた MBA 採用も活発になると思われるからです。実際、過去にも MBA の就職不況は定期的に訪れていますが、常に数年で解消しています。
もし今から二年制 MBA を受験した場合、卒業は 2012 年の春です。 2012 年と言えば今から 3 年後。最近の景気指標を見ていると、 2010 年には景気は回復基調に乗るという見方が大勢を占めています。もしこれが一年遅れたとしても 2011 年です。そうすると、保守的に見ても今からMBAを目指す人の就職時期には、また高い就職内定率に戻っているのではないかと思います。もしこれが正しければ、今はむしろ MBA を目指すのに絶好の時期 !? ということかもしれません。
「じゃあ MBA をちょっとは考えてみっか !」という人向けの話題に行きましょう。学校の選び方です。
MBA を目指す際には必ず 「どの学校を受験するか ?」 で迷います。受験の指南書やカウンセラーは、決まって「学校の特徴をよく研究して自分に合った大学を選びなさい」とアドバイスしています。しかし実際に学校選びを始めると、学校ごとの違いなんて、そう簡単には見つからないのです。なぜなら、どこも同じような売り文句を並べているからです。
『ファイナンスに強い !』
『アントレプレナーシップ(起業)に強い !』
『有名教授がいる !』
『国際色豊か !』
などなど…。
そこで多くの人がやるのは、雑誌や新聞等のメディアが発表する MBA ランキングを参照して、その上位を狙うことです。代表的なランキングとして、Business Week, US News, Financial Times, Wall Street Journalなどのものがあります。
しかしここでも問題があります。これらのメディアが発表するランキングはそれぞれバラバラなのです。さらに総合ランキングに加えて分野別ランキングなるものも発表されており、そこにランクインする学校をリストアップすると、実に数十校にもなるのです。
ではどうするか ? 私の独断と偏見では、「US NewsとBusiness Weekの総合ランキング 10 位に入る学校」を狙うのが正攻法だと思います。
まず、なぜ US News と Business Week なのか ? それはこの二つのランキングが、バランスの取れた採点ルールを使っているからです。各機関はそれぞれ独自の採点ルールに則って順位付けをしていますが、 US NewsとBusiness Week の採点基準はカリキュラム、教授陣、就職など、MBA で重要な要素を網羅しています。一方、例えば Forbes では単純に入学前後の給与と学費から ROI (投資収益率) を計算して順位を決めています。この方法だと、肝心の学生生活の充実度が全く考慮されていないばかりか、入学前の年収が低い学生の集まる学校が上位に表れるという現象が起きてしまいます。日本人受験生の MBA 前年収は、アメリカ人のそれより高い傾向にあります。そうすると同じビジネススクールに行っても、日本人学生の ROI はアメリカ人学生の ROI より低いはずで、結果ランキングには(少なくとも日本人受験生にとっては)あまり意味がなくなります。
次に、なぜ総合ランキング 10 位以内なのか ? それは一般に、人材マーケットで価値ある MBA とみなされているのがトップ 10 校程度だからです。これは前述の就職ランキングトップに現れる企業が、どの学校の出身者を採っているかを見れば分かります。MBA同士の情報網は非常に密で、どの企業がどの学校から採用しているかはかなり分かってくるのですが、人気の企業は大体トップ 10 (もしくはトップ 5 )から大量に採用しています。一方、それ以下の学校からの採用は稀なのが実情です。日本からインタビューに来る採用企業も、実際に立ち寄るのはトップ 10 校(実際はその更に上位)がある数都市に限られます。具体的には、ボストン、ニューヨーク、シカゴとサンフランシスコです。これはあたかも「我が社は、XX校出身者を特に求めています」という感じです。「ランキングは一つの指標でしかない。あまり信じるな」というアドバイスをよく聞きます。しかしこの就職事情に鑑みて、私は敢えて言います。「NewsweekとUS Newsの(総合)ランキングは大いに信じるべし !」と。
最後に、なぜ総合ランキングだけを見るのか ? それは、総合ランキングに強い学校は、結局どの分野にも強いからです。どの分野にも強いということは、在学中に興味の方向が変わった場合でも学校内にリソースがあるということになります。ビジネススクールでは新しいことに触れる機会がたくさんあるので、関心分野が広がる可能性は非常に高いのです。そうすると何にでも強いというのは、非常に重要な要素です。実際、私はテクノロジーやアントレに興味があってMITに来たのですが、それらも勉強しながら、ファイナンスやオペレーションも突っ込んで勉強したいと思うようになりました。幸いにもMITには、このどちらの分野でもおもしろい科目があり助かりました。聞くところによると分野別ランキングというのは、学校側が特色を出すために雑誌に売り込むという、いわば商業的な側面もあるようなので、注意が必要です。
こうして志望校を絞り込んだら、どんどん学校関係者にコンタクトするとよいと思います。特にキャンパスビジットは強くお勧めします。「学校ごとの違い」を知るためにはこれしか方法がない、といっても過言ではありません。書面やウェブサイトで読む情報とは違う、学校や学生の雰囲気を感じ取ることができる上に、受験に向けたやる気もガゼン出てくると思います。
もし時間的に海外には行けない…という場合は、知り合いや日本語の学校紹介ウェブサイト等を通じて在校生に質問をしてみるのもいいと思います。MBAの学生はなぜかみな親切で、丁寧に質問に答えてくれます。”気持ち悪いくらい親切だな“と思ったことも一度や二度ではありません。私もそういう先輩を見習って、質問にはできるだけ”気持ち悪いくらい“丁寧に答えるよう心掛けています。学校をよく知る在校生だからこそ知っている情報もたくさんあるので、在校生との話は学校の特色を知るには最適の方法です。
最後に、MBAを目指す上で一番大事なことは、職歴でも学費の工面でもなく、とにかく動き出すことです。GMATやTOEFLをとにかく受けてみて、MBAを知る人と話をして、エッセイを書き始めてみる。それ以外に、MBAを受けるべきかどうかを知る方法はありません。受験を始める時期が早ければ早いほど、トップ校合格の可能性も高まります。MBAというキャリアパスを考えている方は、今日、最初の一歩を踏み出すことをお勧めします。がんばってください。
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執筆者 Kaz
1974年生まれ、九州出身。大学までを九州でのびのび過ごす。大学卒業後 上京し総合商社に入社。プラントプロジェクトの部署に所属し中東・ロシア・北アフリカ地域を担当する。3年目にニューヨークに駐在し、
以降6年間米国を拠点に情報産業分野の開発案件を担当。2007年8月よりマサチューセッツ工科大学スローン経営大学院に留学中。家族は愛妻と二人の男児。趣味はゴルフ、好きな食べ物はカレーライス。
ボストンでの日々を綴った Kaz のブログは http://blog.goo.ne.jp/kaz1204 Kazへのコメント、ご質問は kazmit09@gmail.com まで。
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