# 17 中国の宴会
中国では、宴会は日本には無いとても大切な意味を持っています。中国社会が「人間関係社会」だとすれば、宴会はその結び目であり、潤滑油ということができます。
ですから、中国人は宴会に招かれたとき、初めての相手に対しては非常に慎重な対応をします。心では出席したいと思っても、まずは相手方が冷やかしなのか本気なのかを確かめるために最初は断ってきたりします。その場合は迷わず再度招待してください。古くから「三顧の礼」(三国志で諸葛孔明を師に迎えるのに三回訪問した)と言われるように、中国人は奥ゆかしい、慎重な対応を見せる人が多く、断られても、少なくとも三回は誘うことが礼儀だと心得ましょう。ただし、三回断られても、まだ誘うのはタブーで逆効果です。
中国の宴会は、個人の家庭で開かれる「家宴」から、正式な国家的宴会である「国宴」まで、大小さまざま、様々な格式の宴会があります。しかし、宴会の大小や格式とは関係なく、「主人が客人を迎え手厚くもてなし、主人の面目を立て、人間関係の環をつなぐ場」という宴会の主旨と目的はすべての宴会に共通しています。
これに対して、日本の宴会は「○○先生に皆で感謝する」、「○○さんの△△を祝う」、「○○さんを歓迎する」という主旨で、周りの皆つまり客人側が主人側をお迎えしてお祝いを開催するという形式が圧倒的に多いと思いますが、この点で、日本と中国の宴会の趣旨は主客転倒、まったく逆さまのスタンスとなります。
たとえば日本の宴会やパーティーでは客人を最上席に座らせますが、中国では逆さまで、主催者である主人が最上席に座ります。費用についても、日本式の「割り勘」や「会費制」はタブーで、主人(主催者)が全額を負担し、客人に負担を求めることはありません。もし、中国の宴席で客人を最上席に座らせたら「ここの費用は全部客人負担か ?! 」と客を戸惑わせ、怒らせてしまうことになります。
中国の宴会で大切なことは、ひたすら主人の面子を持ち上げること。主人の話を無視して勝手に騒いだり、主人の乾杯を無視して各人が勝手に盃の酒を飲んだりすることは許されません。日本人はどちらかと言うと、「主人をダシに担ぎ上げて皆で大騒ぎする」というお祭りパターンですが、中国では「主人が皆を集めて大盤振る舞いする」という面子を誇示するパターンと言ってよいかもしれません。
また、日本人の中には、宴会を交渉の場と考えて、宴会の席上でやたらビジネス交渉めいた話を持ち出す人がいますが、多くの場合、このような態度は中国人から「宴会の主旨をハキ違えた外国人」と疎んじられることになります。交渉の詰めをおこないたいなら、パーティーではなく個室での食事、あるいは宴会終了後の送迎の車中などで、一対一で直接話し合うのが正解です。
中国の伝統的な宴会は全員着席方式で、立食形式はありません。座席の座り方にも厳密な序列があり、これをひとつ間違えると大変に失礼になります。もし、お客様をご招待しての宴会であれば、商談はご破算ということになります。この点については次回、くわしく解説しましょう。
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