# 16 中国での贈り物
「中国を訪問するのだけれども、何を贈り物に持って行けばいいだろう」という悩みは今も昔も尽きることがありません。しかし、悩む前に日本人がまず注意すべきことは、中国での「贈り物」が持つ意味を理解することです。
もともと中国は昔から朝貢貿易と呼ばれてきたように、「贈り物大国」です。奢侈品・豪華品の消費高は、現在でも米日に次いで世界第三位という統計もあります。彼らが贈り物や宴会、冠婚葬祭に費やす費用が収入に占める割合は、日本人よりもはるかに高い水準にあるといえるでしょう。ある化粧品メーカーで、日本よりも中国のほうが高級化粧品がよく売れる理由を現地マーケット調査した結果、購入者の大半は企業で、購入目的は贈り物だったという結果もあります。つまり、中国での贈り物は「相手に対する敬意の象徴」であり、何か「お世話になったことへの御礼」でもある、というわけです。ですから、中国社会で石鹸やタオル、食用油や洗剤などが贈り物として贈られることはまずありえません。もしそんなものを贈ったら、逆に意地悪をされたり、仕返しを受けてしまいます。
もうひとつのポイントは、会社用と個人用の二種類のプレゼントを準備し、渡し方にも注意する必要があるということです。これは、現在中国で盛んに行われている「腐敗撲滅」運動とも関連があります。個人的な感謝の意であっても、中国では公の場で中国人に私的プレゼントを渡すことは周囲から意図せざる非難を引き起こし、本人にあらぬ迷惑を掛けてしまう恐れがあります。公のプレゼントであれば公式の場でも構いませんが、個人的なプレゼントは人目を避けて個人的に渡す配慮が中国社会では必要です。こういった点が日本とは大きく異なる点です。
贈り物としては、縁起物が好まれます。お祝いであれば、紅色、金色が良く、数字は偶数で、「八=発」、「九=久」が好まれます。「十全十美」と言われ、端数のつかない数字が良いとされます。
逆にタブーとしては縁起の悪い物が挙げられ、置時計 (「鐘=終」で同音 )、傘 (「散」と同音 )、梨 (「離」と同音) 、靴 (「邪」と同音) が避けられます。色では白、藍、黒などが縁起の悪い色とされ、また男性に緑色の帽子など装身具を贈ることも侮辱 ( 緑色の帽子をかぶるとは妻に不貞を働かれているという侮辱の隠語 ) ととられてしまうことがあります。数字では四 (「死」と同音 ) が避けられ、中国でもホテルや病院では四階、十四階が存在しないケースが多くあります。
すでに中国に到着してしまって、訪問直前におみやげを忘れてしまったなどの緊急事態の場合は、ホテルなどで高級タバコを 1 カートン買って持っていけば失礼にはなりません。また、中国の家庭でも女性が大きな影響力を持っていますし、一人っ子政策をとっていますから、何かお願い事などがある場合は本人用だけでなく、奥様用、お子様用の贈り物を持っていくのも効き目があるかもしれません。古い中国語に「吹枕辺風」( 枕辺の風を吹く) という風流な表現もあり、これは「何か難しい依頼事があるなら、奥様から頼んでもらえ」という意味です。昔から中国文化には奥深いものがあります。
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