
初めて中国を訪問したのは 1984 年のことでした。当時は銀行に勤務しており、日本の全国銀行協会( 全銀協 )と中国銀行が交換留学生制度を実施していた時代で、北京大学に留学させていただきました。そのとき、中国銀行の幹部から「皆さんはこれから中国に留学して、日中ビジネスの架け橋となるにあたって、肝に銘じておいて欲しい中国理解の 3 つのポイントがある」とお話しをいただいたことを今でもよく覚えています。それが、今回のシリーズで冒頭に解説させていただく「中国広大、人口多、歴史悠久」( 中国は国土が広く、人口が多く、歴史が長い ) の三点です。
その後、現在に至るまでの 20 年超にわたって数多くの日中ビジネスに携わってきましたが、数え切れない多くの、予期できない、複雑怪奇なトラブルに出くわすたびに、その原因がどこにあるのか、深みを考えるたびに突き当たった結論がこの三点にほかなりません。非常に当たり前で当然のように見える中国の基本的特徴なのですが、島国に生まれ育った日本人が中国で事業を展開するうえで、「知っているようで知らない」、「なかなか思いつかない大切なキーポイント」であり、中国を理解するうえで日本人が肝に銘じておくべきもっとも重要なポイントと言うことができます。
中国は大陸国家です。国土面積は日本の 26 倍に相当する 960 万平方キロメートルあります。中国の歴史は、この国土( 中国語で「中原」といいます )をめぐる諸民族・諸国家の争いの歴史と言い換えることもできるでしょう。現在の中国は、この国土に 22 省+ 5 自治区+ 4 直轄市( 北京、天津、上海、重慶 )が存在しています。よくたとえられますが、四川省ひとつがほぼ日本と同じ国土面積と人口を抱えています。いくら貧しく、物流もよくない内陸部とは言え、日本のスーパーマーケット会社がここに出店して大成功を収めている理由は、見方を変えて「日本規模のテリトリーにたった一か店」と考えれば、成功は当然のこととも考えられます。とにかく、地域面積規模が日本とは比較にならないほど大きいのです。このような「奥行きの深さ」が中国ビジネスでは最大の醍醐味でもあります。
中国は大陸国家で、国境線が 2 万kmを超え、多数の周辺諸国と国境を接しています。この国境線を維持するだけでも大変な国力が必要とされます。国土の東端は東経 135 度で日本標準時( 明石 )と同じ、西端は西経 72 度でインドのムンバイ( ボンベイ )と同じ位置にあります。すなわち、東西で実質的に 4 時間の時差が存在していますが、北京時間に統一されています。過去、一時期サマータイムが採用されたこともありました。北京時間で日本とは 1 時間の時差があります。
天安門事件の直後に上海の浦東開発が唱えられ始めた 90 年代当初、誰も搭乗しない日中航空路の現実の前に、浦東空港は空想の幻のように思えました。それが現在では、貿易高や外貨準備高で日本はすでに中国に追い抜かれ、携帯電話規模でも中国は世界一、全国に無数の高速道路、光ファイバーが敷設されています。これからは沿海部から内陸部へと長期にわたる開発が進んでいくことでしょう。
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執筆者 筧武雄(かけひ たけお) Profile
中国ビジネス・コンサルタント 1981年 一橋大学卒業 横浜銀行入行。 1984年 北京大学に派遣留学ののち銀行北京事務所開設、初代駐在。 1988年 海外経済協力基金(現・国際協力銀行)派遣出向。 2001年 銀行を退職し、独立。著書、雑誌連載等多数。 http://members.aol.com/ChinaInformation http://blog.explore.ne.jp/kakehi/index.php 主な著書 「中国との付き合い方がマンガで 3 時間でわかる本」 「中国ビジネス<超>成功戦術 252 」 「中国投資マーケティング戦略マップ」 「中国進出失敗・トラブル事例集」 「最新版中国投資・会社設立ガイドブック」(以上、明日香出版社) 「中国ビジネスのツボ」(重化学工業通信社)等 他多数
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