
つい最近、香港資本のソフトハウスから、中国語の話せる経理担当者を紹介して欲しいとの依頼を受けました。
この会社は東京にあり、社員数は約 40 名で、殆どが中国人ソフトウェア技術者です。香港資本の会社ですが、北京にも社員数約 80 名の兄弟会社があります。現在、この会社で経理事務を担当している中国人女性が、出産のために中国に帰国することから、その後任を紹介して欲しいというのが依頼内容です。条件は日本語と中国語が堪能であることと、経理実務の経験があることでした。
中国語が堪能であるという条件は、年に数回、北京から中国人の会計士が監査のために来日した際に、中国語でコミュニケーションを行う必要があるとのことです。
過去にソフトウェア技術者と中国語の通訳の紹介実績はありましたが、私の人材リストには経理実務の経験者は居ませんでした。そこで、提携先の人材サービス会社に候補者の推薦を依頼したところ、以外にも短時間で 2 名の候補者が見つかりました。2 人のプロフィールは以下の通りです。
1) SX さん
■ 年齢:35 才
■ 日本語レベル:日本語検定 1 級で、日常会話は上級レベル。
■ 中国での学歴と勤務経験:1992 年に中国の短大の財政学科を卒業。1995 年から 5 年半、シンセンの日系合弁会社に勤務して人事・総務・経理・通訳の業務に従事。その後、中国の外国語スクールで日語講師として 1 年弱勤務して日本に留学。
■ 日本での学歴と勤務経験:2002 年に大阪の大学の経済学部経済学科に入学。2006 年 3 月に卒業して、大学時代からアルバイトをしていた会社に入社し、社長秘書・通訳・翻訳業務に従事。
■ 特記事項:関西の大学では在学中にその大学の簿記資格を取得。昨年 10 月に日本人男性と結婚して上京。アルバイトをしながら、長期で働ける職場を探していた。Microsoft の WORD の検定資格も保有。
2) ZL さん
■ 年齢:29 才
■ 日本語レベル:日本語検定 2 級レベル ( 受験経験は無し )
■ 中国での学歴と勤務経験:1999 年に短大の電子会計学科を卒業後、ホテルの財務会計部門で 1 年勤務し、その後ソフトハウスの開発部門で 4 年間、経理関係業務に従事。ソフトウェアの原価計算等も経験した。その後、4 年制の理工大学に再入学して計量管理を専攻。2006 年に卒業してまもなく、日本で勤務していた中国人の夫の家族として来日。
■ 日本での勤務経験:来日後、日本語学校に通学するかたわら、各種アルバイトを経験。
■ 特記事項:ソフトウェア原価計算と経理実務の経験がある。電話で話した限りでは、日本語レベルはあまり高くない。
2 人の面接は私も同席して同じ日に行われました。最初の面接は SX さんです。面接官は社長と経理部長 ( 何れも日本人でした ) でした。
まず驚いたのは日本語のレベルの高さです。電話で話していてかなりレベルが高いと感じていましたが、面接の受け答えは殆ど完璧でした。中国の東北地方の出身で、日本語の勉強は中学校から始めたそうです。また、両親共に日本語が堪能で、日本への留学も両親の勧めによるものだそうです。
経理実務は、短期間ですが中国の日系合弁会社で経験し、留学した大阪の大学では、学内の簿記の検定試験にも合格したとのことで、採用の前提となる 2 つの条件をほぼ満たしていました。また、募集した会社では、経理担当者であっても、日本のクライアントからの電話対応や一部の総務関係業務も担当してもらう必要があるとのことでした。
日本語のレベルの高さと総務の経験も併せて判断すると、恐らく SX さんで決定するだろうと感じました。
次は ZL さんの面接です。残念ながら、日本語レベルが十分でなく、面接官の質問の意味がわからないことが多かったため、時々私が中国語で説明をしながら面接を行いました。経理部長が日本人であるため、この日本語レベルでは無理であろうということは面接を開始して 10 分ほどではっきりしてしまいました。
面接の終了後に面接官と結果の確認を行い、その場で SX さんが内定となりました。条件面についても本人の同意が得られ、めでたく入社が決定し、2 月の中旬から勤務を開始しています。
中国ビジネスを展開している会社では、技術者、営業、通訳以外に、経理・人事・総務・法務等の実務経験のある中国人の需要が意外と多いことが最近になってわかってきました。
先日もある日本の製薬会社から、中国での人事関係業務の経験者は居ないかという相談を受けました。今後、中国での事業を拡大するために、日本人にはわかりにくい中国の人事管理の知識を持った中国人を採用したいとのことです。
これまでは技術者や通訳を中心に中国人の皆さんを企業に紹介してきましたが、今後は、スタッフ系の業務の経験のある人材情報を集めておく必要性を感じました。
それと、やはり日本語レベルの高い人が採用となる可能性が非常に高いということを改めて感じました。日本での就職を希望する中国人の皆さんは、専門性を高めると同時に、日本語の勉強も十分に行っておいていただきたいと思います。
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執筆者 天田 恭司 Profile 1980年 一橋大学社会学部卒業、日本電気株式会社(NEC)入社。人事第二部海外人事課などを経て、1988年 初代の北京人事総務駐在として北京駐在員事務所に赴任。1994年に帰国、人材開発部国際人事部人事課長、NECラーニング株式会社の経営研修本部グループマネージャーなどを歴任。 中国勤務経験を活かすべく、2006年に株式会社国際交流センターに転職。営業推進部長として既存事業の新規顧客開拓を行う営業全体を統括する傍ら、中国人材活用ビジネスの立ち上げも受け持つ。本コラムでは、日本企業に直接ヒアリングを行える立場から、企業のリアルな本音やニーズを紹介していく予定。 ■ コラムに関するご意見・質問・転職体験談はこちらへお送り下さい ! Mail to: marketing@daijob.com |
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