
私が今年の 7 月にある企業に紹介した中国人女性に、久しぶりに e-mail で連絡を取ってみました。彼女は東京の某国立大学の修士課程を修了し、東京に本社のある会社に入社しました。現在はその会社の近畿地方にある工場の管理部門に勤務しています。その工場では、今後数年間、中国からの研修生の受け入れを予定しており、彼女はその受け入れ担当として採用されました。
面接では日本語能力は勿論、総合的な能力が非常に高いという評価を得て採用となりました。入社後、東京本社で 1 ヶ月ほど研修を兼ねて準備作業を行った後に、現在の工場に異動しました。工場勤務となって約 2 ヶ月が経過し、職場にうまく馴染んでいるかどうかを確認するために連絡したのですが、返信メールには、どうも順調とは思えない言葉が並んでいたので、気になって電話をしてみました。
電話でも最初はなかなか詳しい話をしてくれませんでしたが、どうも、同僚や上司とのコミュニケーションが上手く行かず、かなりストレスが溜まっている様子でした。
彼女の悩みはおおよそ次の通りです。
1. 自分としては任された仕事をどんどん進めたいが、仕事を進めるために必要な情報を全てもらえないため、無駄な作業が発生してしまっている。
2. 会社が関西圏にあるため、同僚や上司が話す内容が上手く聞き取れない時がある。
3. 自分が外国人なので、周囲の皆が気を遣っているように感じられる。
4. 与えられる仕事が少なく、時々時間を持て余している。
その工場にはアルバイトから社員に登用された韓国籍の社員がいますが、中国人は初めての採用でした。もちろん、その管理部門では初めての外国人社員です。
彼女は日本に留学してずっと東京で生活をしていましたので、関西圏で初めて長期に生活したことによる気疲れもあるのではないかと思いました。また、中国での勤務経験はありますが、日本ではアルバイト以外に会社に勤めた経験が無く、電話の応対を始め、覚えなければならないことがたくさんあって、精神的にかなり自分を追い詰めていたのではないかと思います。
彼女の工場での上司には面接の際に会っていましたが、非常に気さくな方で、必要な情報を意識的に与えなかったり、外国人だからといって差別をするような人であるとは思えませんでした。
私の彼女に対するアドバイスは、「自分の考えていることや、仕事を効率的に進めるための意見を、遠慮せずに上司や同僚に伝えてみてはどうか」でした。彼女は自分の考えを率直に伝えることによって、自分の状況が益々悪くなるのではないかと心配しているようでしたが、私が何故その方が良いかを説明したところ、最後には「やってみます」と言ってその日の電話を終えました。
彼女が抱える問題の原因はどこにあるのか考えてみましたが、恐らく本人と、職場の同僚・上司の双方に原因があるのではないかと思われます。私の経験に照らしてその原因を推測してみたいと思います。
まず、彼女自身の問題ですが、先にご紹介した悩みから推測すると、日本企業での業務経験不足と、自分が外国人であるという意識が少し強すぎることにあるではないかと思います。前者については時間が解決してくれますのであまり心配していません。後者についても、仕事で具体的な成果が出始めて、自分に自信を持てるようになれば解決する問題だと思います。
一方、職場の同僚や上司にとっては初めての外国人社員であり、日本人に対するのと同様に接して良いのかについての「迷い」、若しくは「戸惑い」があるのではないかと思います。確かに中国語はネイティブで、中国人研修生とのコミュニケーションに問題が無いことはわかっていますが、日本企業における勤務経験が乏しく、あまり一度にたくさんの仕事を与えてしまうと混乱してしまうのではないかという懸念もあったのではないかと思われます。また、彼女の能力が予想したレベルなのかどうかを見極めるまでは、あまり重要な仕事を任せない方が良いのではないかという判断があったのかもしれません。
何が本当の原因かは彼女の話だけでは判断できません。何れにせよ、今の状態が改善されずに数ヶ月続くとまずいと思い、東京本社の総務部門のマネージャーに、彼女と話した内容を伝えることにしました。彼は、彼女の一次面接、二次面接、役員面接にも同席して、彼女の優秀さを十分に理解してくれている人です。また、彼女は入社直後の 1 ヶ月は彼の下で仕事をしていました。
私は彼が毎月数回は工場に出張していると聞いていましたので、次回の出張の際に、彼女や上司と直接話をして、問題の解決に向けた対応をお願いしました。その結果については次回のコラムでご紹介したいと思います。
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執筆者 天田 恭司 Profile 1980年 一橋大学社会学部卒業、日本電気株式会社(NEC)入社。人事第二部海外人事課などを経て、1988年 初代の北京人事総務駐在として北京駐在員事務所に赴任。1994年に帰国、人材開発部国際人事部人事課長、NECラーニング株式会社の経営研修本部グループマネージャーなどを歴任。 中国勤務経験を活かすべく、2006年に株式会社国際交流センターに転職。営業推進部長として既存事業の新規顧客開拓を行う営業全体を統括する傍ら、中国人材活用ビジネスの立ち上げも受け持つ。本コラムでは、日本企業に直接ヒアリングを行える立場から、企業のリアルな本音やニーズを紹介していく予定。 ■ コラムに関するご意見・質問・転職体験談はこちらへお送り下さい ! Mail to: marketing@daijob.com |
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