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# 18  中国人留学生の就職事情 ( 4 )

前回に引き続き、独立行政法人労働政策研究・研修機構の「外国人留学生の採用に関する調査結果概要」から、今回は留学生の就職に関する意識調査の結果と、外国人留学生に対する日本の労働行政施策についてご紹介し、そこから見出せる課題について考えてみたいと思います。


~外国人留学生の就職に関する意識調査~

意識調査の概要は次の通りです。
●実施時期: 2006 年 8 月 ~ 10 月
●対象者: 日本で大学・大学院、短大、専修学校に通う学生
●有効回答数: 341
●出身国別: 中国 74.4%、韓国 13.5% など
●性別: 男性 46.3%、女性 54.7%


対象者の出身国は留学生の構成と同様、中国が最も多いので、調査結果は中国人留学生の皆さんの意識をそのまま表していると言ってもよいと思われます。


( 1 ) 卒業後の進路
・就職したい:81.8%、・起業したい:2.9% ・進学したい:9.7% ・その他:5.6%


( 2 ) 就職したい国
・日本:78.9% ・出身国:17.0% ・第三国:1.4% ・無回答:2.7%


( 3 ) 日本で働きたい理由(複数回答)
・日本語を活用、勉強したいから: 43.4%
・勉強したい分野が進んでいるから:35.2%
・親戚、知人がいるから:22.0%
・地理的に近いから: 17.6%
・日本で就職したいから:16.4%
・出身国や第三国での就職に有利だから:10.9%
・その他:6.7%


( 4 ) 日本で働きたい期間
・3 年未満:6.6% ・3~5 年未満:32.5% ・5~10 年未満:16.7% ・10 年以上:18.9%
・わからない、無回答:25.3%


調査結果の ( 1 ) ~ ( 3 ) については特に気になる点はないのですが、( 4 ) の「日本で働きたい期間」については、企業の希望とかなり大きな差異があるように思われます。


企業としては、新卒として採用した人材が一人前になるには、少なくとも 3 年程度を要すると考えているようです。私自身の 20 代から 30 代の会社生活を振り返ってみると、仕事そのものを覚えるのにそう長い時間は要しませんが、仕事を通して構築した人間関係や経験を新しい仕事に生せるようになるには、やはり 2~3 年はかかっていたように思います。一般的には企業が留学生の皆さんに期待する勤務年数は、少なくとも 5 年と考えてよいのではないかと思います。


但し、留学生の皆さんの中には、中国に居る家族の事情等により短期で退職せざるを得ない状況となる人もいるでしょう。結果として短期間で退職となる場合は、極力早い時期に申し出て、後任の手配や仕事の整理・引継ぎを十分に行えるよう配慮していただきたいと思います。


尚、中国に拠点を有する企業に勤務している場合は、退職後に中国の拠点で引き続き勤務する可能性も探ってみてはどうかと思います。企業にとっては本社の事情を理解している優秀な社員であれば、比較的良い条件で中国の拠点におけるポストを提示してくれることも考えられます。


~ 日本の外国人労働者受入を巡る考え方 ~


留学生の皆さんが日本で就職するには、日本が国として外国人労働者の受入に関する制度や環境を整備していることが前提となります。外国人労働者の受入を巡る問題は、厚生労働省職業安定局外国人雇用対策課が担当していますが、その基本的な考え方のいくつかをご紹介します。


日本では技術者の不足が顕著となっており、理工系の大学の卒業生はかなり広範な分野で就職が可能となっています。一方、技術者以外では在留資格の「人文・国際」の定義にあるように、「法律学、経済学、社会学その他の人文科学の分野に属する知識を必要とする業務又は外国の文化に基盤を有する思考若しくは感受性を必要とする業務」に従事する場合に限って、日本での就職が可能となります。例えば、店頭での販売を担当する販売員や国内営業担当者等の仕事は、その業務に「人文・国際」の定義に該当する内容が含まれていない限り、外国人の就労が不可能な職種となります。


これは、外国人労働者の受入の前提は「日本人の日本国内での雇用機会を妨げないこと」であることを意味しています。但し、これらの制約はその時点の日本の労働事情を反映しており、将来、就職が可能な職種の拡大や、受入要件の緩和が行われる可能性はあります。


少子高齢化が急速に進展する日本が国際競争に勝ち残っていくためには、優秀な外国人労働者を確保することが急務であり、留学生政策は国家戦略という位置付けにもなっているようです。あまり知られていませんが、国として、次のような戦略や施策が検討されています。


<日本経済の進路と戦略 ( H19.1.25 閣議決定 )>
・質の高い留学生の確保に留意しつつ外国人留学生制度の充実や就職の支援を図るとともに、我が国とアジア等との若者レベルの人材交流を進める。また、優れた外国人研究者・技術者等の高度人材の受入れ拡大 ( 中略 ) を図る。


<アジア・ゲートウェイ構想 ( H19.5.16 策定 )>
・日本企業における就業機会は、日本留学の極めて大きな魅力であり、日本経済にとっても、優秀な留学生を育成・獲得するメリットが大きいことを踏まえ、( 中略 ) インターンシップ等の更なる充実、就業支援等を図る。


国として優秀な外国人の受入を推進しようとする一方、留学生が日本での就職を希望しない理由として「日本企業において外国人が出世するのには限界があるため」と回答した者が 34.1% あるそうです。


また、過去 3 年間に外国人留学生を雇用した企業が 10% 未満であるというデータも考慮すると、留学生を受け入れる企業側において解決すべき課題も多いと思われます。

執筆者 天田 恭司  Profile

1980年 一橋大学社会学部卒業、日本電気株式会社(NEC)入社。人事第二部海外人事課などを経て、1988年 初代の北京人事総務駐在として北京駐在員事務所に赴任。1994年に帰国、人材開発部国際人事部人事課長、NECラーニング株式会社の経営研修本部グループマネージャーなどを歴任。

中国勤務経験を活かすべく、2006年に株式会社国際交流センターに転職。営業推進部長として既存事業の新規顧客開拓を行う営業全体を統括する傍ら、中国人材活用ビジネスの立ち上げも受け持つ。本コラムでは、日本企業に直接ヒアリングを行える立場から、企業のリアルな本音やニーズを紹介していく予定。

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