
先日、外国人留学生の日本での就職に関する情報を見つけることができました。法務省入国管理局の調査によると、大学等を卒業して日本で就職した外国人が、昨年は過去最多の 8,272 人となりました。前年比 40% 強の増加で、日本企業の業績回復による雇用条件の改善や、グローバル化の進展による、海外への事業展開強化がその背景にありそうです。それでは、具体的な数字で見てみましょう。
( 1 ) 留学生等からの、就職を目的とする「在留資格変更許可申請」の許可件数の推移
| 国名 | 2001 年 | 2002 年 | 2003 年 | 2004 年 | 2005 年 | 2006 年 | 前年比増加率 |
| 中国 | 2,154 | 1933 | 2258 | 3445 | 4186 | 6000 | 43.3% | 韓国 | 720 | 581 | 721 | 811 | 747 | 944 | 26.4% |
| その他 | 707 | 695 | 799 | 1,008 | 925 | 1,328 | 43.6% |
| 合計 | 3,581 | 3,209 | 3,778 | 5,264 | 5,858 | 8,272 | 41.2% |
やはり中国人が圧倒的に多く、日本で就職した外国人総数の 73% となっています。留学生に占める中国人の割合は 2005 年 5 月で 66% 、2006 年 5 月で 63% ですが、就職者の比率はこれをかなり上回っています。やはり企業にとって中国の重要性が高いことが数字に表れているのではないかと思われます。
それでは外国人留学生はどのような業種の会社に就職し、どのような職務に就いているのでしょうか ? 昨年の留学生の就職先を業種別に見ると、非製造業が約 70% 、製造業が約 30% です。非製造業では、人数の多い順に、商業・貿易分野が 1,792 人、コンピューター関連分野が 1,140 人、教育が 479 人となっています。私は中国に製造拠点の移転を加速している製造業の比率がもう少し高いのではないかと思っていましたので、少し意外でした。
また、昨年就職した留学生の職務内容を見ると、最も多いのが「翻訳・通訳」で 2,711 人、次いで、「情報処理(≒ IT )」が 893 人、「販売・営業」が 882 人、「海外業務」が 732 人であり、この 4 つの職務で全体の 63% となります。
2006 年は、IT をはじめとする「技術開発」関係の職務に就いた留学生は全就職者の 10.8% でした。いわゆる理工系の学科を専攻する留学生の比率は 16.3% ですので、これと比較すると意外に低いという印象を受けました。
過去のコラムで、「企業の人材需要の多くは技術系であり、営業職や事務職の需要はあまり多くない」と書きましたが、これは留学生の就職の実態と違っていたようです。この場をお借りして訂正させていただきます。
2006 年のその他の職務内容の許可人員については詳細データが見つかりませんでしたので、少し古いのですが、2004 年の人数をご紹介しておきます。
( 2 ) 就職した留学生の職務内容別人員 ( 2004 年 )
| 職務内容 | 許可人員 | 比率 | 職務内容 | 許可人数 | 比率 | 翻訳・通訳 | 1,610 | 30.6% | 設計 | 180 | 3.4% | 販売・営業 | 661 | 12.6% | 貿易業務 | 174 | 3.3% | 技術開発 | 580 | 12.6% | 国際金融 | 53 | 1.0% | 海外業務 | 383 | 7.3% | 会計事務 | 39 | 0.7% | 経営・管理業務 | 329 | 6.3% | 広報・宣伝 | 37 | 0.7% | 教育 | 268 | 5.1% | 医療 | 22 | 0.4% | 調査研究 | 259 | 4.9% | その他 | 456 | 8.7% | 情報処理 | 213 | 4.0% | 合計 | 5,264 | 100.0% |
* 職務内容は、入国管理局に「在留資格の変更許可申請」を行った際に提出した書類に記載されている担当業務内容に基づいて分類されているものと思われる。
さて、留学生の皆さんが卒業後に就職する場合、在留資格を「留学」から、日本での就業が可能な種類に変更する必要があります。企業に就職する場合の一般的な在留資格の種類と、各々に対応する職種や業務内容を確認しておきましょう。
( 3 ) 在留資格の種類とそれに対応する職種・業務内容
| 在留資格の種類と活動の定義 | 職種・業務内容等 | 【技術】
本邦の公私の機関との契約に基づいて行う理学、工学その他の自然科学の分野に属する技術又は知識を要する業務 | 理系の学部や大学院を卒業して、IT ・通信・設計等の技術者としての職種に就く場合はこれに該当します。 |
| 【人文知識・国際業務】
本邦の公私の機関との契約に基づいて行う法律学、経済学、社会学その他の人文科学の分野に属する知識を必要とする業務又は外国の文化に基盤を有する思考若しくは感受性を必要とする業務に従事する活動 | 大別して 2 種類となります。文系の専門分野を専攻し、卒業後にそれを活かした職種に就く場合は、「人文知識」に該当します。しかし、通訳や翻訳、語学のインストラクター等の仕事をする場合は、理系・文系にかかわらず大学を卒業していれば「国際業務」に当てはまります。「国際業務」には、このほかに海外取引業務などの仕事が該当します。 |
| 【研究】
本邦の公私の機関との契約に基づいて研究を行う業務に従事する活動 | 企業に勤務する場合でも、研究所等で研究者として仕事をする場合は「研究」となります。 |
尚、技術者として就職する場合は、理工系の学部を卒業していることが前提条件となりますが、理工系の学科を専攻している人は「国際業務」に該当する職種にも就けるということです。
<出典>
( 1 ) 留学生の就職事情 (YOMIURI ONLINE)
( 2 ) 留学生の就職状況の数値データ ( 独立行政法人 労働政策研究・研修機構 HP)
・2007 年 6 月 27 日開催の労働政策フォーラム「企業における外国人留学生の活用」の配付資料
基調報告「外国人留学生の国内就職の現状と諸課題」
白木 三秀 早稲田大学 政治経済学術院教授 ( 兼 ) 留学センター所長
* 数値データは入国管理局が何らかの形で公表しているものと思われますが、直接見つけることはできませんでした。上記の出典からは数値データ以外は引用していません。
|
執筆者 天田 恭司 Profile 1980年 一橋大学社会学部卒業、日本電気株式会社(NEC)入社。人事第二部海外人事課などを経て、1988年 初代の北京人事総務駐在として北京駐在員事務所に赴任。1994年に帰国、人材開発部国際人事部人事課長、NECラーニング株式会社の経営研修本部グループマネージャーなどを歴任。 中国勤務経験を活かすべく、2006年に株式会社国際交流センターに転職。営業推進部長として既存事業の新規顧客開拓を行う営業全体を統括する傍ら、中国人材活用ビジネスの立ち上げも受け持つ。本コラムでは、日本企業に直接ヒアリングを行える立場から、企業のリアルな本音やニーズを紹介していく予定。 ■ コラムに関するご意見・質問・転職体験談はこちらへお送り下さい ! Mail to: marketing@daijob.com |
| トップページへ戻る |