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# 12  面接での質問あれこれ ( 1 ) 


~ こんな質問をされたら・したら ? ~


あなたを良く理解して採用候補者とするかどうかを判断するために、面接官は様々な質問をします。中には正直に答えたら、印象が悪くなるのではないかと気になる質問もあると思いますが、このような質問にはどう答えたらよいでしょうか ? また、あることについて質問したいけれど、どう質問したらよいか迷う場合もあると思います。


これらは中国人に限った話ではなく、日本人の場合も同じだと思います。私は、基本的には質問に対してできるだけ正直に答えて、自分の考え方や性格を理解してもらう方が良いのではないかと考えています。もし、あなたという人間の真の姿が伝わらないまま採用が決まった場合は、入社後にあなたと会社との間で、お互いに対する期待にズレが生じるおそれがあります。あなたが入社して短期間で転職を考えるような状況になるのは双方にとって不幸なことだからです。


また、答えが不十分な場合、面接では明らかにマイナスになると思われるものもあります。具体的な例でご紹介しましょう。


~ 転職を希望する理由(既に退職している場合は「退職理由」) ~


先日、テレビで「第二新卒」の就職に関する番組をやっていましたが、最近、日本人の大卒新入社員の入社 3 年以内の退職率は30 %を超えているそうです。退職の理由は様々ですが、日本人の退職率がかなり上がってきていることは、最近の労働市場の大きな変化といえます。


但し、過去のコラムにも書きましたが、日系企業には中国人社員は、折角苦労して育成しても、簡単に辞めてしまうという印象を持っている人が多いのは事実です。過去に頻繁に転職を繰り返している場合は、かなり警戒されてしまうのは否めません。


それではどんな理由であれば採用担当者にマイナスの印象を与えないのでしょうか ? 最近、私が会った中国人の転職希望者の例をご紹介します。この人は中国で大学を卒業後に就職しましたが、その後日本に留学し、卒業後に某 IT 企業に就職して企業内ネットワークの構築と監視の仕事を担当していました。文系大学の卒業生ですが、IT 関係の素養があり、入社後にネットワーク関係の資格も取得しています。しかし、自分の年齢や大学での専攻等を考えると、その仕事を続けることは自分のキャリア形成に有効ではないという結論を出しました。


そして、過去の経験と大学で学んだことが生かせるマーケティング、または海外営業の仕事をしたいという希望を実現するために、その会社を 2 年で退職して再就職活動を行っています。私は本人と何度か会っていますが、履歴書に記載された学歴や職歴から判断しても転職の理由が合理的で良く理解できます。このような前向きな理由による転職であれば、正直に答えてもマイナスにならず、むしろプラスの印象を与えることができると思います。


もう 1 例ご紹介します。ある面接で転職を希望する理由を聞かれた応募者がこう答えました。「今の会社の職務内容は入社前の説明とかなり違っており、毎週数日は必ず徹夜勤務が発生します。時間外勤務手当てや深夜勤務手当てを支払ってもらえない上、最近、健康維持にも不安を覚えています。状況を変えたいと思い、転職を考えて応募させていただきました。」


その応募者が勤務している会社は大勢の中国人アルバイトを使ってデータ入力作業を行っている会社とのことです。この応募者は、本来は中国人アルバイトの管理の仕事をするために入社したのですが、いつの間にか、定期的に徹夜でデータ入力作業を行うことを求められるようになり、断りきれなかったようです。面接官もこの説明を聞いて応募者に同情していましたが、自分に非が無い理由の場合は転職理由をそのまま伝えても問題ないでしょう。


但し、単に「給料が安い」や「残業が多い」という理由だけで転職を希望すると答えた場合はマイナスの印象を与える可能性があります。確かに、給料は就職先を決める際の大きな要素ですが、それだけを転職を希望する理由とするのではなく、もう少し前向きな、または本人の意欲を感じられる理由も一緒に伝える必要があるでしょう。


~ 他社の応募状況 ~


この質問に対する答えは、労働市場の需要と供給のバランスによっても多少変わってくると思います。採用する企業側が強い立場にある「買い手市場」の場合は、内定を貰うために「御社が第一志望で、他社の面接は受けていません」と言えばプラスの印象を与えることができるかもしれません。


しかし、現在のような「売り手市場」の場合は、他に応募している会社があれば正直に伝えて良いのではないかと思います。面接を受けた会社が採用したいと思うような応募者であれば、他社で面接が進んでいても不思議ではありません。


これは私が担当した実例です。応募者が「○○社 ( 同業他社 ) にも応募中で、次回は最終面接です」と正直に答えたところ、当初予定していた金額を上回る給与を提示して内定を出してくれた会社がありました。本人にとっては二重の喜びでした。このようなケースはそう多くないと思いますが、応募者の評価が非常に高い場合は、正直に答えることにより、このような予期せぬメリットが生じることもあるのです。


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執筆者 天田 恭司  Profile

1980年 一橋大学社会学部卒業、日本電気株式会社(NEC)入社。人事第二部海外人事課などを経て、1988年 初代の北京人事総務駐在として北京駐在員事務所に赴任。1994年に帰国、人材開発部国際人事部人事課長、NECラーニング株式会社の経営研修本部グループマネージャーなどを歴任。

中国勤務経験を活かすべく、2006年に株式会社国際交流センターに転職。営業推進部長として既存事業の新規顧客開拓を行う営業全体を統括する傍ら、中国人材活用ビジネスの立ち上げも受け持つ。本コラムでは、日本企業に直接ヒアリングを行える立場から、企業のリアルな本音やニーズを紹介していく予定。

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