
私はここ数ヶ月、日本企業における人材の需要をヒアリングしてきましたが、日本企業における人材不足、特に技術者不足は顕著になっています。日本人の技術者を確保できない会社に対して、中国の理工系の大学の新卒を斡旋する会社も増えているようです。
先日、中国の理工系大学の通信学科を卒業後、日本の某人材派遣会社に就職した中国人男性と電話とメールでやり取りをする機会がありました。彼は大学卒業後に日本語を半年間学習して来日し、ある IT 企業で派遣社員として勤務していましたが、「自分の希望する仕事ができない」また、「労働条件があまり良くない」という理由により人材派遣会社を退職し、アルバイトをしながら再就職に向けた活動を行っていました。幸い、新しい就職先は直ぐに見つかったとの連絡がありましたが、同様のケースは今後増加すると思われます。
中国の理工系の大学卒業者は、通常、日本語の学習経験が無い人が多いようですが、大学新卒者の就職難であることから、人材需要のある日本企業への就職を目指して日本語の勉強をする人が増えているようです。
話を技術者不足に戻しますが、それでは具体的にどんな分野の技術者が不足しているのでしょうか ? 複数の IT 企業や IT 業界の実情に詳しい人の話を総合すると、最も需要が大きいのが、『ネットワーク技術者』、『組み込みシステム技術者』、『 IT システム開発の要件定義や基本設計の行える「上流工程」の実務経験のあるシステムエンジニア』のようです。
一般的なソフトウェア技術者も不足気味ですが、今のところ何とかまかなえており、人材派遣の場合の「単価(派遣料金)」もそう高くないようです。中国やインドにおけるソフトウェア技術者の活用が進んできたことも影響しているのか、むしろ過当競争により「単価」が低下傾向にあるという意見もあります。
中国人留学生の日本での就職については、技術者不足という背景もあって、やはり、文系学部よりも理工系学部の留学生の方が有利なようです。私も現在の会社で中国人留学生の企業への紹介を行っていますが、理工系の学生の需要がかなりあるのに比較し、文系の学生については候補者の履歴書を送っても、面接に至るケースはあまり多くないというのが実情です。
でも、文系の学部の皆さんも悲観的になる必要はありません。中国は日本企業のビジネスにとって最も重要な国の一つであり、中国ビジネスの成否がその企業の将来を左右するといっても過言ではありません。文系の学部の皆さんは、日本企業の中国ビジネス拡大における様々な局面での活躍が可能であると思います。そのためには日本語能力以外に、「自分が入社したら何ができるのか」、「自分の強みは何か」をアピールできるようにしておくことが非常に重要となります。
また、これは文系・理工系両方の学部に共通することですが、グローバルビジネスで活躍できるレベルの英語力を身につけておけば、更に活躍の場を拡大することができるでしょう。
日本人の大学卒業者は通常、中学校から大学卒業まで、少なくとも10年間英語を勉強しているのですが、残念ながら、ビジネスで活用できるレベルの英語力を有している人は非常に少ないのが実情です。英文科の卒業者であっても、英語は読めるけれど、英会話はできないという日本人が非常に多いのです。その点、中国人の皆さんは語学センスの良い人が多いと思います。英語があまり得意でない日本人に替わって、中国人の皆さんが日本企業のグローバルビジネスを牽引するのも夢ではないと思います。
今年の 3 月中旬に愛知県の大手自動車部品メーカーに勤務する中国人社員が、センサーや産業ロボットなど、10 数万件の製品図面のデータをダウンロードしたパソコンを無許可で持ち出したとして「横領」の疑いで逮捕されました。持ち出されて複製された可能性のあるデータの中には軍事転用のおそれがあるものも含まれていたようです。
日本企業における中国人材の活用を推進しようとしている私たちにとっては非常に残念な事件です。この事件が中国人の皆さんが就職活動を行う際のマイナス要因とならないことを願うのみです。
皆さんが日本で就職する場合、日本企業・外資系企業の何れにおいても「就業規則」を遵守する義務が生じます。就業規則には「会社の機密を漏洩しないこと」、「機密漏洩等により会社に損害を与えた場合は、損害賠償の責任を負う」旨の記載が必ずあります。既に就職している皆さんは、これを機会に就業規則をもう一度読んでみて下さい。
ある会社に就職して給与を貰っている限り、その会社の事業に貢献するのが皆さんの義務です。会社に損害を与えるような行為を慎まなければならないのは中国でも日本でも同じだと思います。
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執筆者 天田 恭司 Profile 1980年 一橋大学社会学部卒業、日本電気株式会社(NEC)入社。人事第二部海外人事課などを経て、1988年 初代の北京人事総務駐在として北京駐在員事務所に赴任。1994年に帰国、人材開発部国際人事部人事課長、NECラーニング株式会社の経営研修本部グループマネージャーなどを歴任。 中国勤務経験を活かすべく、2006年に株式会社国際交流センターに転職。営業推進部長として既存事業の新規顧客開拓を行う営業全体を統括する傍ら、中国人材活用ビジネスの立ち上げも受け持つ。本コラムでは、日本企業に直接ヒアリングを行える立場から、企業のリアルな本音やニーズを紹介していく予定。 ■ コラムに関するご意見・質問・転職体験談はこちらへお送り下さい ! Mail to: marketing@daijob.com |
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