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# 5  中国人と日本人の違いをどう乗り越えるか


- 中国人と日本人の違いをどう乗り越えるか -


さて、これまでのコラムで中国人と日本人の違いや、日系企業において中国人社員から提起された問題等を見てきました。中国人の皆さんを受け入れる側の、日系企業および日本人が変わらなくてはならない点もたくさんあると思いますが、採用される側の皆さんが、日系企業のやり方に合わせなくてはならない場合が多くなるのは、仕方のないことだと思います。


第 3 回のコラムで、日本は『ハイコンテクスト文化』が最も発達した国の一つであることをご紹介しましたが、日本で就職しようとする皆さんには、まず、コミュニケーションの基本である日本語が一定以上の水準であることが求められます。日系企業が外国人社員を採用する際の最大の条件の一つは、「日本人社員とのコミュニケーションに問題のないレベルの日本語能力を有しているか否か」であると言っても過言ではありません。


日本語の次に重要なのは、日本の文化や企業の慣習を理解するための「努力」、あるいは「意識」だと思います。私が中国に赴任した当初は、日本での仕事のやり方や慣習と全く違う中国のやり方に戸惑ったことが何度もありました。しかし、何故そうなっているのかの理由や背景を中国人社員に聞くことにより、その違いが徐々に理解できるようになりました。どちらが良いか悪いとかという問題ではなく、その違いをきちんと理解していないと仕事を円滑に行うことが難しいのです。


もちろん、理解はできたとしても、譲れるものと譲れないものがあります。特に民族的プライドに関わる問題についてはお互いに譲れませんが、問題の背景を理解することにより、譲れるものもたくさんあることを経験しました。


自分とは異なる国籍の社員と共に仕事をする場合は、相手の文化や慣習を理解することが非常に重要であると思います。私の場合は、幸いなことに部下や他部門の中国人社員に日本語能力の非常に高い人が大勢居たため、比較的スムーズに日本と中国の違いを理解することができたのだと思います。皆さんは、外国語である日本語によってそれをやらなければならないので大変だと思いますが、頑張っていただきたいと思います。


- 日本語の能力について -


中国人の皆さんが日系企業で仕事をする上で、日本語が非常に重要であることは理解していただけたと思います。留学生の皆さんの日本語能力は、一般的に日本語検定 1 級レベルであると思いますが、日常生活や大学での勉強には殆ど支障がなくても、会社で仕事をするには十分ではない可能性があります。職場の上司や同僚との言葉によるコミュニケーションがうまく行かなければトラブルが発生する可能性が高くなります。


でも、今はあまり心配しないで下さい。このコラムで紹介した日系企業や日本人の特徴を知っておき、日系企業に入社後に、理解できないことがあれば必ず上司や先輩に聞いてください。それらを一つずつ理解することにより、大半の問題は解決が可能だと思います。そのためにも、日本語の能力が非常に重要になるのです。


日本語の能力でもう一つ重要なのが、きちんとした日本語が書けることです。私は日本で働く中国人の知り合いがたくさん居ます。また、最近は日本での就職を希望する中国人留学生と電話やE-Mailでやり取りする機会が多くなっていますが、会話は殆ど日本人と同じレベルであっても、E-Mailや履歴書の日本語が少しおかしいと感じることがよくあります。きちんとした日本語、しかもビジネス文書が書けるということは皆さん自身の市場価値を非常に高めることになります。


しかし、これはそう簡単なことではありません。常に正しい日本語を書くことを意識し、模範となる文章があれば、それを参考にして自分で書いてみて、可能であれば日本人の上司や同僚に添削してもらうのが一番良い方法だと思います。


日本語の能力を高める方法は色々ありますが、日本の新聞やビジネス雑誌を読み、わからない言葉があれば辞書や WEB で調べてみる。これを繰り返すことは大変有効であると思います。皆さんには、自分に合った方法や材料で、常に日本語の能力を高めていただきたいと思います。


- 日系企業と欧米系企業の違い -


ちょっと話題を変えますが、中国人の皆さんが就職するとしたら、日系企業と欧米系企業のどちらが問題の発生する可能性が小さいでしょうか ? 勤労観や労働慣習から見ると、明らかに欧米系企業の方が問題の発生する確率が低いと思われます。


但し、欧米企業には欧米企業特有の問題があるようです。これは知り合いの中国人に聞いた中国の欧米企業の話で、日本での欧米企業の話ではありませんが、中国では、期待された職務を遂行する能力が無いと判断されれば、雇用契約の更新が行われないこともあるそうです。日系企業より実力主義、能力主義が徹底しているといえるでしょう。


もっとも、中国の場合は、基本的に 1 年更新の短期雇用契約が多いという事情があり、日本で活動する欧米企業の雇用とは違いますが、いずれにせよ、欧米企業には欧米企業特有の厳しさがあるということは知っておいて下さい。


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執筆者 天田 恭司  Profile

1980年 一橋大学社会学部卒業、日本電気株式会社(NEC)入社。人事第二部海外人事課などを経て、1988年 初代の北京人事総務駐在として北京駐在員事務所に赴任。1994年に帰国、人材開発部国際人事部人事課長、NECラーニング株式会社の経営研修本部グループマネージャーなどを歴任。

中国勤務経験を活かすべく、2006年に株式会社国際交流センターに転職。営業推進部長として既存事業の新規顧客開拓を行う営業全体を統括する傍ら、中国人材活用ビジネスの立ち上げも受け持つ。本コラムでは、日本企業に直接ヒアリングを行える立場から、企業のリアルな本音やニーズを紹介していく予定。

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