
日本語教師を生業としている私は、いつも同僚と「ある程度、言語ってセンスだよね~。」と話す。私たちが受け持つ学生 50 人中 1 人の割合で、「あ」を「お」と発音する学生がいる。目の前で大きな口を開けて、「あ!!!」と発音して見せても、「お!!!」と言い返す“逸材”。もちろん本人の中では「先生と同じ発音を繰り返している!」つもり。
言語はセンスだ…… ( 涙 )。
「中国で働いてみたいけど、中国語が …。」と不安に思っている方、確かに海外で仕事をしてお金をもらう上で、言語能力は必要。しかし、第 4 回目のコラム ( 上海で実際に働いている日本人 ( 私の場合 ) )でも紹介したように、私が大陸に渡る以前に知っている中国語と言えば、「ニーハオ」「シェイシェイ」だけ ( 笑 )。上陸してからしばらくは、休みもなく働き、中国語を勉強する時間なんて取る余裕もなく …。
では、そんな私がどうやって中国語を ( それなりに ) 身に付けたか。
それは「必要に迫られたから!」
当然「中国人のような流暢な中国語」なんて、未だ達成できず、それでも「それなりに意思伝達できる中国語」は可能になった。
よく言語の世界で言われることですが、日本人に「英語が話せますか ? 」と聞くと、「いいえ、全然」と言い、アメリカ人に「日本語が話せますか ? 」と聞くと、ほとんどの人は「YES!!」と答える。そこで、「実際に知っている言葉を話してみてください。」と促すと、
日本人: I can’t speak English. Sorry.
アメリカ人:ニンジャ ! ( あるいは ) コニチハ ! ( あるいは ) ハラキリ ! ( 全部単語 )
…… だと。
つまり「話せる」とする認識の違い。日本人は奥ゆかしいのだ。
しかし、そんな奥ゆかしい日本人も、
1. タクシーで、必要以上に料金を支払わなければならない状況
2. コンビニのレジで、どんどん後ろの人に順番を抜かれる状況
3. 目の前の人が「 10 元」で買ったものを、「 20 元です」と言われた瞬間
4. 早朝から部屋のドアをドンドン叩かれて、なにやら怒鳴られた瞬間
5. 真夏にレストランで、ぬる~いビールを持って来られた時
( … あぁ、怖いくらいにキリがない … )
「奥ゆかしい」などと言っていられなくなる。
最初は日本語で「猛攻撃」を繰り返していた私も、相手の「何言ってんの~この日本人?!」的なほぼ無反応な態度に「次は絶対に中国語で抗議してやる~!!このぉぉぉ~~」となったわけです。
ま、その他にも、夜中の停電、40 度の発熱時、走行中のタクシーのドアが外れた時など、緊急事態にもやはり必要。
言語を身につけるためのモチベーションは「強い必要性」。また「通じなかった…」としても果敢にチャレンジする「精神」である。
きれいな発音、アクセントなんて必要なし、だって中国人でも下手な人たくさんだし、特に上海は中国でいう「共通語」が下手な地域。言語はコミュニケーションツール、通じれば良し。言った者勝ちである。
中国の都心部では、携帯電話の普及が凄まじいが、通話料節約のため、「通話」ではなく、「メール」を頻繁に使用する。そのメールを打つには、「ピンイン」と言われる中国語の発音を入力し、漢字を検索しなければならない。私はこれで覚えた言葉も多い。口語の言い回しや、流行語を覚えるには、日本人とでも中国人とでもメールでやり取りするのはお勧め。
また、習い始めは、発音は中国人に、意味と文法は日本人に習うと効果的かも知れない。( うちの学校でも実際にそうやって短期間で日本語を教えている )
大切なのは一度聞いたり、覚えたりした言葉は、きちんとノートに書きとめ、次にすぐさま活用してみること ( 乱用ではないか ? と言われるくらいに )。実践、実践また実践。
例えそれが抗議のための言葉であっても、「通じた ! 」瞬間は、つい顔もほころぶというもの。 言語の世界で「奥ゆかしさ」は、反って足枷である。
… 後はあなたが「あ」を「お」と発音する“逸材”でないことを願うのみ。
最後に、私は学生時代、英語も苦手だったし、大学で習った第 2 外国語も、挨拶しか覚えていない残念な子だったけれど、中国語はそこそこですよ☆ ( アメリカ人的認識か ?! )
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執筆者 神田あさか
福岡県出身。大学卒業後、バブル経済後の不景気な日本で広告代理店の営業として働いていたが、「あと少し早く生まれていれば!!」と思い余り「バブルを感じてやる?!!」の一心で上海へ。現在上海の日系IT企業にて勤務。日夜、上海の活気ある街や人間に刺激され「私も一旗上げてやろう!」と上海ドリームを描いている最中 |
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