
私の業務の1つとして、日系 IT 企業様へ学生の就職のお願いや、営業に行くことがあります。その際にお客様の悩みとしてよく耳にするのが「人材の流失に対する嘆き」。採用担当の方から以前伺った「ヘッドハンティングどころか、フットハンティングされるからね !!」- この言葉は、私の中の『名言集in中国』のトップ5に入ります。
本当にこの国の人は、少しでも条件のいいところを見つけると、何の未練も感情の乱れも見せずに転職してしまいます。
曰く、「だって、あの会社の方がいいんだもの !」。その言い分、分らないでもない。しかし、「あまりにもドライ過ぎではないか ?! もう少し一緒にやってきた同志の好 ( よしみ ) とかはないのか ?!」と思うのは日本人ばかり。
現在中国の雇用形態は、基本的に日本で言う「契約社員形態(=固定期限労働契約)」です。契約期間はお互いの話し合いのもとに定められ、契約更新についても期限前に企業と個人との話し合いで決まります。
しかし、この制度では高齢者や、スポット的に採用された人たち ( 例えば、ビル建設に伴う作業員など) にとっては厳しい条件。更新の機会が与えられることがなかなか無いのが現状で、任期が終ると企業側からスッパリと切られてしまいます。
ところが、この6月に中国の労働契約法が改正され2008年1月から施行される予定で、雇用形態に変化が起きそうです。いわゆる「終身雇用制度」が導入されるのです。
内容は、簡単に言えば、「勤続年数 10 年以上の人材及び、 2 回以上の更新をした人材に対し、次回の契約更新時には終身雇用契約をしなければならない。」というもの。企業側の汲み取り方で言えば「企業から簡単に解雇通告はできないが、社員からは今まで通り簡単に突然退職を希望される。」というもの。
日本に比べて「企業からの解雇通告 (契約更新無し) 」が珍しくない中国でしたが、採用の段階で慎重に求めている能力と長く勤めてくれるかどうかを見極める鋭い人材選別眼が必要となる上、長く務めてくれるものだと信じていた社員からは、今まで通りドライに「退職」を申し出られることもあるのですから、企業は人材確保の努力を今まで以上に行わなければならないのです。
また、社員全員がもし終身雇用に甘んじてしまったら … という不安もあります。
中国政府は、「労働者の権利保護を強化」、「人材が定着しないのは企業側の責任でもある」とのことでこの法案決定に踏み切ったようですが、企業にとって負担になるのでは ??? と思ってしまいます。
きっと、あまり仕事をしない人が終身雇用によって企業に残り、有能でバリバリと活躍したい人は相も変わらず転勤を繰り返すだけだと思うのは私だけでしょうか・・・ 。
そんな法案決定の裏にも、悪いことばかりだけでなく新しい事業に注目が集まる可能性も考えられます。
例えば、人材「派遣」事業。「派遣」であれば、企業としてはスポット採用が可能になるという利点があるので、今まで以上に成長の見込みのある事業かもしれません。
いずれにせよ、今回のこの法案による「終身雇用」は今後中国の企業にとって大きな変化を与えることになると思います。
私の周りの中国人は自信過剰なところがあるので、果たして「終身雇用制度」を喜んで受けるとは思い難い ! と、私は思うんですけど・・・。
「私ならもっといい企業に採用されるはず !!」
「あそこならもっといい給料が貰える !!」
「将来は社長になります !!」
って言ってるものぉ~みんな (笑)
編集部注:
(1)ここで言う「終身雇用制度」とは、企業が定めた定年までの雇用のことで、正確には「無固定期限労働契約」を指します。「終身=死ぬまで」の意味ではありません。
現行の「労働契約法」においても、「同一雇用単位で連続10年以上仕事をしている労働者に対しては、契約更新時に当事者双方が同意し労働者が希望する場合には、「無固定期限労働契約(いわゆる終身雇用)」が義務づけられています。今回の労働契約法改正では、この条件に加えて、「2回連続で、固定期限労働契約を締結後、更に契約を更新する場合にも、『無固定期限労働契約』を結ぶ義務が発生する」と改められました。
(2)この改正は、契約更新時における次の雇用契約について定めたものであり、これによって解雇が絶対に出来なくなるものではありません。
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執筆者 神田あさか
福岡県出身。大学卒業後、バブル経済後の不景気な日本で広告代理店の営業として働いていたが、「あと少し早く生まれていれば!!」と思い余り「バブルを感じてやる?!!」の一心で上海へ。現在上海の日系IT企業にて勤務。日夜、上海の活気ある街や人間に刺激され「私も一旗上げてやろう!」と上海ドリームを描いている最中 |
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