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# 17  英日の政策的な中国人留学生の受け入れについて


広島大学高等教育研究センターが2007年2月に出版した『外国人留学生確保戦略と国境を越える高等教育機関の動向に関する研究 ― 英国・香港の事例 ― 』によると、英国は米国に続き世界第二位の外国人留学生受け入れ国で、2004~2005年に一番多かったのは中国人留学生でした。これに基づき、今回は英国と日本のケースを比較してみることにします。


英国政府の政策的な留学生受け入れには、サッチャー政権 ( 1979 - 1990 年 ) が一つのターニングポイントになっており、外国人留学生に全授業料を課したのは 1979 年と比較的最近の事です。1999年6 月には、ブレア政権 (1997 - 2007年 ) が外国人留学生獲得戦略である政府主導事業 (PMI: Prime Minister’s Initiative) を始め、高等教育の国際化において、大学と政府の新たな関係がスタートしたと考えられます。


このプロジェクトは、2005 年までに 75,000 人の外国人留学生を増やし、英語圏内の外国人留学生市場の占有率を 25% にすることを目標にしています。75,000 人のうち、高等教育機関は 50,000 人で、継続教育機関は 25,000 人です。政府はこのプロジェクトのために、1,100 万ポンドを投資しました。PMI のこの目標は 2005 年に達成できました。そして、2006 年 4 月に、PMI2 がスタートを切りました。


日本では中曽根内閣 (1982 – 1985 年 )が、1983 年 8 月に「留学生受け入れ 10 万人計画」を発表し、2000 年までに 10 万人の留学生を受け入れるという数値目標を設定しました。結果的にその計画は、 3 年ほど遅れて2003 年 5 月に達成されました。


その後、安倍元総理が2006 年 9 月 29 日第 165 回国会で施政方針演説を行う際、再度留学生の量的拡大を目指す「アジア・ゲートウェイ構想」を表明し、注目を集めています。人・モノ・資金・文化・情報の流れにおいて、日本がアジアと世界の架け橋となることを目指すようです。この目標を実現するために、2007 年 3 月には更に「中間論点整理 ( 案 )」をまとめて、留学生政策を国家戦略と位置付けました。質と量を共に要求する上で、人材獲得に向けて努力していく模様です。そして英国と同じく、中国からの留学生を重要なターゲットと位置付けているようです。


中国は 13 億の人口を有する国です。1999 年から中国国内の高等教育の募集規模が徐々に拡大されてはいますが、外国の高等教育市場のニーズも日増しに多くなっています。しかし、2001 年の NY テロ事件以来、中国人留学生を受け入れる最大国であるアメリカのビザ申請が難しくなり、このことは、戦略的に中国人留学生を受け入れたい国々 ( 英国、日本など ) にとって、人材を獲得するチャンスとなっているようです。今後は、国際交流基金やブリティッシュ・カウンシルのような機構だけではなく、各大学の留学生受け入れ戦略も期待されています。グローバル時代の人材競争は基本的には市場原理の下で行われていますが、それでも、政府の戦略的な促進措置はそれなりの効果があるかと思われます。


(注)出典:文部科学省サイト


Open Doors, Institute of International Education)

執筆者 李尚波

桜美林大学 リベラルアーツ学群 講師

1989 年 7 月 北京外国語大学日本語学部卒業。
1997 年 3 月東京外国語大学地域文化研究科博士前期課程修了。
2004 年 4 月東京外国語大学博士(学術)学位取得
現在は桜美林大学 LA 学群で社会学、教育社会学、高等教育と社会参加、ジェンダー論、日本歴史文化論をテーマに研究を続け、講師として活躍中。

『女子大学生の就職意識と行動』 (2006年御茶ノ水書房)、 「女子大学生の就職行動における変化の全体像」(単、『国際教育』No.10(2004年10月)日本国際教育学会)、 「日本女大学畢業生持続就業的未来走向探析」(単、世界知識出版社『日本学研究』2004年7月北京日本学研究センター)、 「日本私学発展的現状及其特徴」(共、山西教育出版社『日本私立学校』1996年)

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