
1972 年の中日国交正常化以降、中日両国の間に立ち各分野の交流を担ったのは、双方の言語が出来る人材でした。中国の場合は、大学の日本語学部を出た人達が多いのですが、日本ではそうとは限りません。中日間で大活躍した人の中には、大学の中国語学科を出た人もいますし、語学学校で中国語を覚えた人もいます。
このように、今まで日本では中国語や中国関係の人材育成のルートは大学の中国語学科、語学学校、市民講座、企業内研修、個人レッスンなどが主なものでしたが、これに加えて2004年に孔子学院という新たな人材育成ルートが登場しました。
孔子学院登場には次のような理由があります。21 世紀に入り中国の経済発展に伴って、日本を含めた先進諸国は熱い視線で中国を注目しています。中国に進出する企業も数の増加のみならず、質も向上しています。単純な加工業から更に付加価値の高い産業に転換している企業が多いようです。この際、中国語が出来る人材に対する需要も生じます。
例えば、中国政府の統計によりますと、2000 年 10 月に中国へ語学留学に行った外国人留学生は 25,290 人で、1999 年より 17,878 人増えました。2001 年にその人数がさらに増えて、41,512 人になって、2002 年には 49,370 人まで増えました。このような背景で、2004 年に、中国政府は世界各国で孔子学院を 100 校立ち上げる方針を決めました。2007 年 11 月現在、全世界 62 ヵ国と地域に 199 箇所の孔子学院が設立されています。
日本には、2007 年 8 月時点で、桜美林大学、立命館大学、愛知大学、北陸大学、立命館アジア太平洋大学、札幌大学、早稲田大学、岡山商科大学の 8 校が開校されています。そのうち、2007 年 4 月 12 日に設立した早稲田大学孔子学院は初の研究型孔子学院です。他の孔子学院は研究より中国語の教育や、中国文化の普及に力を入れているようです。
私が教鞭をとっている桜美林大学を例にしますと、桜美林大学孔子学院は中国同済大学と協力して、孔子学院を展開しています。中国語特別課程、中国語・中国文化公開講座、企業向け中国語研修プログラム、中国語教員研修プログラム、中国語スピーチコンテスト、シンポジウム・講演会の開催、HSK ( 中国語能力試験 ) の実施、中国への留学促進事業、中国語・中国文化の普及と日中友好の促進 ( 中国語広場 ) などが、主な内容です。
ここで特筆すべきなのは中国語特別課程です。従来日本の大学で中国語を勉強していた人は、その勉強の一環として推薦入学で中国のパートナー大学の正規課程に編入し、学位が取れることは殆どありませんでしたが、孔子学院が出来たおかげで初めて可能になりました。
桜美林大学孔子学院の学生はまず中国語特別課程 1 年間を終了し、その後推薦で同済大学の中国語専攻に、または桜美林大学の関連学群に編入します。孔子学院にいる間の授業は中国語で教えられるため、孔子学院在学期間中に国内にいながらも留学をしている様になっています。このように、母国での「擬似中国留学」をしてから中国留学をすれば、学習者のレベルアップが大いに期待できるかと考えられます。
孔子学院は、中国語をマスターする人材を育成する新たなルートとして、2004年にスタートを切り、今年で 3 年が経ちました。グローバル化が進んでいる時代に、中国語をマスターする人材を多く育成すればするほど、中国に進出する日本企業にとって優秀な人材を選抜するチャンスを増やすことになるでしょう。
このような理由で、今後の孔子学院の人材育成には関心を寄せるべきだと思われます。
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執筆者 李尚波
桜美林大学 リベラルアーツ学群 講師 1989 年 7 月 北京外国語大学日本語学部卒業。 1997 年 3 月東京外国語大学地域文化研究科博士前期課程修了。 2004 年 4 月東京外国語大学博士(学術)学位取得 現在は桜美林大学 LA 学群で社会学、教育社会学、高等教育と社会参加、ジェンダー論、日本歴史文化論をテーマに研究を続け、講師として活躍中。 『女子大学生の就職意識と行動』 (2006年御茶ノ水書房)、 「女子大学生の就職行動における変化の全体像」(単、『国際教育』No.10(2004年10月)日本国際教育学会)、 「日本女大学畢業生持続就業的未来走向探析」(単、世界知識出版社『日本学研究』2004年7月北京日本学研究センター)、 「日本私学発展的現状及其特徴」(共、山西教育出版社『日本私立学校』1996年) |
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