
夏休みの間、私は中国に一時帰国していました。大学生の姪達と雑談している間に、在日中国人留学生がしているアルバイトについて考えるようになりました。
中国では一人っ子政策の為、日本に留学してくる留学生のほとんどは一人っ子です。中国国内では、両親と両方の祖父、祖母、6 人に可愛がられて、経済的に何の不自由も無く育てられた人が多くいます。日本に留学する子は都市部に住む、経済的に上層か中層階層の家庭の子が圧倒的に多いようです。彼らは中国国内に居る間は、ほとんどアルバイトの経験をしたことが無いどころか、欲しい物なら、ほぼ何でも親に買ってもらえる生活をしていたでしょう。しかし、東京へ来たら状況は一変してしまいます。まず多くの人はアルバイトを探して、勉強とアルバイトを両立させなければなりません。
その理由として、東京と北京を例にしますと、まず、日本の物価が高いことがあげられます。北京でホワイトカラーの家庭に生まれた子どもは、家計を補助するためにアルバイトすることは全く無いといってもいいようです。しかし、彼らが東京へ来たら、まずは物価の高さに驚かされるでことしょう。
例えば、JR 横浜線淵野辺駅の近くのワンルームマンションを借りると、安くても月に 5 万円ぐらいの家賃がかかるようです。人民元にすれば、3,000 元程度になります。北京ではこの値段で 2 LDK の部屋が借りられます。今は夏ですから桃が食べ頃ですね。東京で一番安い小さい桃を買っても、一個 200 円ぐらいです。北京では 90 円ぐらいで 1 キロの桃が買えます。この物価の違いのために、一部の学生は東京へ来てからアルバイトを探して、その収入で生活費の一部を賄う必要があるのです。
さて、 1 年ぐらいの期間で日本に来た交換留学生にとって、東京でするアルバイトはとても刺激的なことです。ドキドキワクワクの気持ちで体験することでしょう。
桜美林大学で春学期に私の授業をとった学生の中で、その気持ちを素直に教えてくれた学生がいました。彼はアルバイトをすることに対してとても好奇心があり、チャレンジの気持ちで日本でのアルバイトに挑戦し、今でも続けているかと思います。その学生も中国の実家ではずっと可愛がられて育ち、レストランでホールのアルバイトするなど思ってもみなかったようです。彼は親から 1 年分のお金をもらったのですが、それでも自分でアルバイトをして稼いだお金を使いたいと言っていました。一人っ子の彼にとって、自分の初めての収入を使って 1 年間の費用の多くを充てれるなら、彼が自立している証ですし、一種の親孝行でもあます。そして、 1 年後に帰国してから、中国の同級生のお友だちには無い刺激的な経験をしてきたこが彼の財産になるでしょう。
最近日本の入管局のビザ審査が以前より厳しくなったそうですが、日本の高等教育市場は中国の子供達にとって、とても魅力的なところがありますから、これから日本へ来る留学生は増えていくと思います。来日してからのアルバイトは彼らにとって、留学費用の一部を稼ぐ手段だけではなく、中国国内の一人っ子が持っていない、新たな体験になるでしょう。但し、今のアルバイトの内容はレストランのホールのような単純労働が多いようです。どのようにすれば中国人留学生のバイトを通して、彼らの日本社会と文化に対する理解を深めることが出来るようになるかは将来の課題となっており、バイトの中身が問われているようです。
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執筆者 李尚波
桜美林大学 リベラルアーツ学群 講師 1989 年 7 月 北京外国語大学日本語学部卒業。 1997 年 3 月東京外国語大学地域文化研究科博士前期課程修了。 2004 年 4 月東京外国語大学博士(学術)学位取得 現在は桜美林大学 LA 学群で社会学、教育社会学、高等教育と社会参加、ジェンダー論、日本歴史文化論をテーマに研究を続け、講師として活躍中。 『女子大学生の就職意識と行動』 (2006年御茶ノ水書房)、 「女子大学生の就職行動における変化の全体像」(単、『国際教育』No.10(2004年10月)日本国際教育学会)、 「日本女大学畢業生持続就業的未来走向探析」(単、世界知識出版社『日本学研究』2004年7月北京日本学研究センター)、 「日本私学発展的現状及其特徴」(共、山西教育出版社『日本私立学校』1996年) |
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