
「立身出世」という言葉が表すように、日本人にせよ、中国人にせよ、昔から社会に出たら、立派な社会人になりたい、高い地位に昇進・昇格したいという考えがあるようです。
慶應義塾大学総合政策学部教授の花田光世氏は、昇進・昇格システムの実態を考察して、日本の人事制度における競争原理を解明しました。花田氏は論文「日本の人事制度における競争原理 昇進・昇格の実態」の中で、かつての日本企業の雇用慣行である「三種の神器」(終身雇用、年功序列、企業別組合)の影に隠れている競争原理を指摘しました。
氏の研究によりますと、会社の組織風土によって、競争原理の実態が違い、敗者復活の可能性がある企業とそうではない企業があるとの事です。ここでいう「敗者復活」とは、大企業に入社した新卒男子社員に対し入社 、5 年後に行われる第一次レベルへの昇進・昇格の選抜に負けた人を再評価し、昇進・昇格できるチャンスを与えることです。
一旦昇進機会に恵まれなくても、その後に業績をあげてそれが適正に評価されれば、再び昇進コースに戻れる制度を持っているのは、どちらかというと、硬直的な官僚主義的人事制度を実施する企業ではなく、フレキシブルな人事制度を実施する企業のようです。
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中国人にとって、日本のどの企業が硬直的な官僚主義的人事制度をとっているのか、どの企業がフレキシブルな人事制度をとっているのかの情報入手が困難なため、応募企業を選ぶ前に見極める事は、非常に難しいかと思います。そして、いくら日本語が上手であったとしても、日本社会や文化に詳しいといっても、日本人社員と一緒にこのような厳しい出世競争に参加して、しかも競争に勝つことは、大変な困難が伴うことが予想されます。
私は、今まで大企業で働いている優秀な中国人社員に会ったことがありますが、残念ながら、競争に勝ち、部長になった人にはまだ会ったことはありません。近い将来、もし中国国籍のままで、日本の大企業の部長さんになられた方にお会いできたらうれしいと思っております。それを楽しみにしています。
一方、私の知り合いの中に、中小企業で成功を収めた例があります。彼は学生時代にその企業でアルバイトを始めて、卒業してから直接入社しました。企業風土が合うので、自分の才能を十分に生かすことができたようです。日本国籍を取得した後に、企業の経営者の一員になるまで、企業に認められるようになっていました。。私が知っている大きな成功を収めた方の例は、だいたい自分で起業した人たちです。読者の皆さんは違う実例を見ていると思いますが、もし皆さんにとって参考になる実例がありましたら、ぜひ一緒にその成功の喜びを分かち合いたいですね。どうぞ宜しくお願い申し上げます。
参考資料
花田光世「日本の人事制度における競争原理 昇進・昇格の実態」伊丹敬之・加護野忠男・伊藤元重編『日本の企業システム 第 3 巻 人的資源』(有斐閣、1998 年)276‐299 頁
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執筆者 李尚波
桜美林大学 リベラルアーツ学群 講師 1989 年 7 月 北京外国語大学日本語学部卒業。 1997 年 3 月東京外国語大学地域文化研究科博士前期課程修了。 2004 年 4 月東京外国語大学博士(学術)学位取得 現在は桜美林大学 LA 学群で社会学、教育社会学、高等教育と社会参加、ジェンダー論、日本歴史文化論をテーマに研究を続け、講師として活躍中。 『女子大学生の就職意識と行動』 (2006年御茶ノ水書房)、 「女子大学生の就職行動における変化の全体像」(単、『国際教育』No.10(2004年10月)日本国際教育学会)、 「日本女大学畢業生持続就業的未来走向探析」(単、世界知識出版社『日本学研究』2004年7月北京日本学研究センター)、 「日本私学発展的現状及其特徴」(共、山西教育出版社『日本私立学校』1996年) |
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