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# 6  企業人のキャリア・ステージについて(二)


―― 女性の企業人としての人生


前回は、同じ日本企業で働いても、女性のキャリア・ステージは男性と大きく違うことに触れました。中国では、男女に関係なく社会人として働く場合、同じ職業なら、大体同じキャリア・ステージで生涯の職業生活を終えます。しかし、日本人女性はそうではありません。日本人女性の場合、男性と同様の責任が任せられ直接事業に関連するような仕事をし、昇進・昇格も男性と同等のチャンスがある人もいますし、事務や庶務を中心とした業務を担当し、昇進・昇格が芳しい人もいます。前者は「総合職女性」であり、後者は「一般職女性」であります。


仙田幸子氏 の研究によりますと、「総合職女性」にとって、1 年目は仕事に慣れる為の時期にあたり、精神的にも体力的にも大変な時期だそうです。しかし、この 1 年間は彼女たちにとって、 1 人前になろうとする一番最初の重要なステップでもあります。この後 2 年目から 3 年目までの間に、仕事をある程度マスターするので、この分野で仕事を続けていきたいという気持ちが強くなるようです。


その後、さらに 1 年間仕事をし、4 年目になると一区切りがついて、そのうち自分が求めていたものと違う事に気付いて、転職したいと思う人が出てきます。D.E. スーパー ( D.E.Super ) の職業的進路選択発達理論によると、この時期はちょうど「探索の段階と試行の段階」にあたるので、現在の職業よりさらに自分自身に向いている職種や仕事を探してみたい、または現在の職業よりもっとハイレベルの領域に入りたいなどの気持ちが出てきても自然なことと言えます。


さらに 2、3 年ほど働き、社会に出てから 5 年から 7 年目になると、今従事している職業と仕事内容に対して自信が付いてきて、仕事の「安定期」に入ります。7‐8 年目は「夢を含んだ転機」を迎え、これまでの生活を振り返った上で、それを再構築しようとする気持ちが強くなります。同期の男性と比べると、そろそろ昇進・昇格の差が出てくる時期であり、もしうまく昇進出来なかったり、結婚の話などと重なるならば、現在の仕事を一旦辞めてしまう可能性も十分にあると思われます。また、将来のキャリアに関しても、自分の意思をきちんと持ち始める時期でもあります。以上、仙田幸子氏の研究結果からの引用です。


中国人女性にとって、自分自身のキャリア・ステージを考える時のモデルは、「一般職女性」より「総合職女性」の方が望ましいかと思います。ですから、ここでは「一般職女性」についての研究結果を省かせていただきます。中国人女性の転職の時期は、以上の研究成果と多少違っても、気持ちの移り変わりはよく似ているでしょう。


日本の企業に転職する中国人女性は大体二つのパターンに分かれています。日本の大学や大学院を出て、日本企業で就職した経験のある女性と、中国で高等教育を受けた後に、何らかの機会で中国の企業又は中国現地の日本企業から別の日本企業に転職する女性です。


後者より前者の日本の大学・大学院を卒業後、日本企業に就職する方が上記で紹介した日本人の総合職女性に近いと思います。ここで、大きく違ってくるのは、後者の女性が、「私は男性と同等なキャリアがあって、ほぼ同様な能力があるのに、なぜ昇進・昇格、給料などが違うの ?」という不満を抱き始めることでしょう。なぜ後者の女性は能力を正当に評価されないのでしょうか。これは多くの場合、戦後の日本企業の風土に大きく関係があるかと思われます。次回は、男女の企業人としての人生に関する内容を予定していますので、その回でまた、企業風土の話を取上げたいと思います。それではまた。


参考文献
仙田幸子『大卒者の初期キャリア発達』1994 年度東京女性財団助成研究、1995 年
柳井晴夫『進路選択と適性』日本経済新聞社、1975 年

執筆者 李尚波

桜美林大学 リベラルアーツ学群 講師

1989 年 7 月 北京外国語大学日本語学部卒業。
1997 年 3 月東京外国語大学地域文化研究科博士前期課程修了。
2004 年 4 月東京外国語大学博士(学術)学位取得
現在は桜美林大学 LA 学群で社会学、教育社会学、高等教育と社会参加、ジェンダー論、日本歴史文化論をテーマに研究を続け、講師として活躍中。

『女子大学生の就職意識と行動』 (2006年御茶ノ水書房)、 「女子大学生の就職行動における変化の全体像」(単、『国際教育』No.10(2004年10月)日本国際教育学会)、 「日本女大学畢業生持続就業的未来走向探析」(単、世界知識出版社『日本学研究』2004年7月北京日本学研究センター)、 「日本私学発展的現状及其特徴」(共、山西教育出版社『日本私立学校』1996年)

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