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# 3  企業が採用したい人材


仕事を探す時は求職者ご自身の希望以外に、採用側は何を求めているのかをちゃんと分析しなければなりません。両者のミスマッチがないように心掛ける事はとても大事なことです。


さて、日本企業は人材を採用する際何を重視しているでしょうか ?
最近日本企業は少数精鋭方針をとっており、エリート社員を採用しようとする傾向があります。


「エネルギッシュで行動的」「協調性・バランス感覚」「独創性・企画力」「リーダーシップ発揮」「誠実・堅実」「専門分野の知識・技術」「経営管理のコア」「企業家の資質」


という 8 つの項目を設けて企業に聞いたところ(注1)、企業の規模に関係なく「エネルギッシュで行動的」、「独創性・企画力」、「協調性・バランス感覚」が、企業が採用したい人材の上位 3 位のファクターになっています。


業種別に見ますと、
・建築業と卸売・飲食業は「エネルギッシュで行動的」、「協調性・バランス感覚」、「リーダーシップ発揮」を重視していますが、
・製造業では「エネルギッシュで行動的」、「独創性・企画力」、「専門分野の知識・技術」
・運輸通信業は「エネルギッシュで行動的」、「協調性・バランス感覚」、「経営管理のコア」が、それぞれ上位3位の選択となっています。


「エネルギッシュで行動的」と「協調性・バランス感覚」の他に、
・金融・保険業は「誠実・堅実」を、
・サービス業は「独創性・企画力」を重視しています。


日本企業が求める上位 3 位のファクターは、中国人の応募者にとってハードルとなるでしょうか ?


中国人社員を採用する時、応募者の専門知識や語学力に加えて、中国文化のバッググランドなども重視する企業が多いようです。日本人、中国人の応募者にかかわらず「独創性・企画力」が応募者にあれば、中国人応募者が格別不利ということはないでしょう。


そして、「エネルギッシュで行動的」は現代の若者にとって、わりあい一般的な資質になっています。特に中国の受験戦争に耐えた勝ち組のエリートたちにとってそれは大した問題ではないと思われます。


いま、中国人が日本企業で就職する際、一番懸念されるのは、「協調性・バランス感覚」です。


中国人が小さい時から受けた教育は、「横並び意識」とは無縁であると言ってもよいと思います。「槍打出頭鳥」(「出る杭が打たれる」)という熟語はありますが、普通日本人が理解する意味とは違います。普段学校でも職場でも、横並びより、むしろ学友や同僚より良い成績や業績を取得して、トップになろうという努力(「争当先進」)が政策的に励まされています。


そうなると、周りの同僚に気配りするのをおろそかにして他人より秀でようと努力する人は、いつか知らないうちに職場の同僚に不快感を与える存在になる可能性があるわけです。これは人間関係の問題より、まずは異文化の衝突であると理解してよいと思います。
このような時、日本人の同僚が理解してくれるか、または中国人社員が日本文化を理解した上で、それに適応するかによって、その問題の解決が可能になるのではないかと思います。


多国籍の社員が集まっている企業なら異文化に対する許容範囲も広く、まだよいですが、ほぼ全員が日本人社員で、中国人社員が稀な存在である場合、このような方法で対応するしかないかと考えられます。


ですから、中国人として日本の会社に応募する場合、まずは「エネルギッシュで行動的」、「協調性・バランス感覚」、「独創力・企画力」などの資質が必要ですが、そのほかに、日本社会と文化を理解する必要もあるかと思います。


日本人の“横並び意識”を理解することはその一例です。このような心構えがきちんとできたら上でなら日本企業で能力を発揮したい、という皆さんの願いも叶えられるでしょう。


それでは皆さんのご成功をお祈り申し上げます。


(注1):
日本労働研究機構『変革期の大卒採用と人的資源管理――就職協定廃止と大卒の採用・雇用管理の変化』No.128( 2000 年) 100 頁より調査結果を引用。

執筆者 李尚波

桜美林大学 リベラルアーツ学群 講師

1989 年 7 月 北京外国語大学日本語学部卒業。
1997 年 3 月東京外国語大学地域文化研究科博士前期課程修了。
2004 年 4 月東京外国語大学博士(学術)学位取得
現在は桜美林大学 LA 学群で社会学、教育社会学、高等教育と社会参加、ジェンダー論、日本歴史文化論をテーマに研究を続け、講師として活躍中。

『女子大学生の就職意識と行動』 (2006年御茶ノ水書房)、 「女子大学生の就職行動における変化の全体像」(単、『国際教育』No.10(2004年10月)日本国際教育学会)、 「日本女大学畢業生持続就業的未来走向探析」(単、世界知識出版社『日本学研究』2004年7月北京日本学研究センター)、 「日本私学発展的現状及其特徴」(共、山西教育出版社『日本私立学校』1996年)

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