
日本企業といえば、まず頭に浮かんでくるのは、電機関係、車関係、ハイテク関係の、世界で知名度の高い企業でしょう。ソニーやトヨタなどの看板は中国だけでなく、ロンドンやパリの繁華街にも出ています。今の社会で、広告やメディアは私たちの予想以上に人々の意識や日常生活に影響を与えていると言っても過言ではないでしょう。そのため、日本の企業と言えば、このような世界で上位何位ぐらいの一流企業を思いつく人が多いようです。
日本企業は、実はこのような大手企業と中小・中堅企業の二つの部分から成っています。これは日本企業の二重構造と呼ばれています。日本は企業を中心とする社会だと思われますが、そのコアとなっている部分はやはり大手企業であり、大手企業こそ日本という社会の中核になっているわけです。これらの企業で就職する場合、同じ職種、同じキャリアの場合、中小企業より大企業の方が年収などの総合的な待遇がいいというのは周知の事実です。
そして男女の収入の差額は、中小企業より大企業の差額が大きいようです。ホーン・川島瑶子の研究によると、1985 年時点で、ホワイカラー女性の 1 時間あたりの所得は、平均して、大企業では男性より 471 円、中小企業では 391 円少ないそうです (注1)。旧労働省「賃金構造基本統計調査結果」(1999年速報) によると、20-25歳大卒女子は25-29歳、35-39歳、45-49歳、55-59歳の時、それぞれ男性の賃金の 90%、86%、81%、86%しか占めていません (注2)。そして、年をとればとるほどその開きが大きくなるようです。中国の企業の場合、同じ大学卒の会社員なら、男女間の給料の格差がこんなに大きいとは思わないでしょう。これはいったいどうしてでしょうか。その裏に何があるでしょうか。
次に昇進・昇格の差による給料の差です。日本の給与体系は中国と違って、通常は年収で考えています。大体毎月の基本給に職務手当て等の諸手当を上乗せて、それから何か月分のボーナスを加算した上で考えます。ボーナスは具体的に何か月分なのか、などの計算方法は企業によって多少違いますが、例えば、約6ヶ月分のボーナスがもらえる企業を例として取り上げることができます。女性だけではなく、外国人もそうですが、もし昇進・昇格のチャンスがあって、上の管理職につく能力と機会があるなら、基本給はもちろん、ボーナスの金額も増えるわけです。
中国と比べて日本の男性はほとんど家事をしないので、女性社員は家庭と仕事を両立したければ、男性のように深夜まで残業することはできません。そして、女性は結婚や出産などの理由で仕事を途中でやめる人が男性より圧倒的に多いため、会社では、先に男性社員に昇進・昇格の機会を与えるようにするのが一般的です。従って、同じ時期に入社した男性社員は40歳の時課長になったにもかかわらず、同期の女性はまだ平社員のままで就業を継続しているケースは少なくありません。そうすると、給料の格差も右肩上がりの上昇線のままになってしまいます。
外国人が新卒や転職で日本企業に入った場合にも、同じ問題に直面するかもしれません。つまり、昇進・昇格が遅ければ、同世代・同キャリアの日本人管理職の社員より給料を少なめにもらう可能性があるということです。これに対して、事前にちゃんとした心構えが必要だと思います。
以上の企業の規模や昇進・昇格による給料の差の話はあくまでも一般的なケースに限ります。外国人でも有能なら、国際化が進行しつつある日本企業にとって不可欠な人材であるため、企業も本人の能力にそぐわない待遇はしないでしょう。自分の能力を生かして頑張ってください。
注
(1) 出典:ホーン・川島瑶子『女子労働と労働市場構造の分析』( 日本経済評論社、1985 年 )44 頁。
(2) 出典:日本婦人団体連合会編『女性白書 2000』( ほるぷ出版、2000 年 )245 頁。
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執筆者 李尚波
桜美林大学 リベラルアーツ学群 講師 1989 年 7 月 北京外国語大学日本語学部卒業。 1997 年 3 月東京外国語大学地域文化研究科博士前期課程修了。 2004 年 4 月東京外国語大学博士(学術)学位取得 現在は桜美林大学 LA 学群で社会学、教育社会学、高等教育と社会参加、ジェンダー論、日本歴史文化論をテーマに研究を続け、講師として活躍中。 『女子大学生の就職意識と行動』 (2006年御茶ノ水書房)、 「女子大学生の就職行動における変化の全体像」(単、『国際教育』No.10(2004年10月)日本国際教育学会)、 「日本女大学畢業生持続就業的未来走向探析」(単、世界知識出版社『日本学研究』2004年7月北京日本学研究センター)、 「日本私学発展的現状及其特徴」(共、山西教育出版社『日本私立学校』1996年) |
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