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# 1  日本企業に就職・転職をお考えのみなさまへ


初めまして。李尚波と申します。中国吉林省長春市の生まれです。


私の簡単な経歴を申し上げますと、北京外国語大学で日本語学部修士課程を終え、日本では東京外国語大学で地域文化を研究し博士課程を修了しました。現在は桜美林大学で教鞭をとりながら、就職、人材育成、日中社会・文化の比較、教育論、ジェンダー論などの研究を進めております。


最近、御茶ノ水書房から拙著『女子大学生の就職意識と行動』(2006 年 6 月 ) を出版しました。ぜひ皆さまからのご指導・ご鞭撻をお願いしたいと思います。


- 日本企業が外国人を雇用する訳とは -


今回は第一回目なので、まず、外国人が日本で就職チャンスを得られるようになった背景を考えながら、お話を進めていきたいと思います。


皆さんはこんな疑問を抱いているかもしれません。
つまり、日本の大手企業や中堅・中小企業に就職する事は、日本人学生にとっても、ある程度の難関を突破しなければなかなかスムーズにいけないことなのに、仕事上の最低限のツールである日本語さえままならない外国人が、なぜ日本企業に採用対象として考えられるようになったのか、ということです。


これらそのことを考える時、まず日本の少子化、人口の高齢化、企業の人材需要などから深層を探ることができるかと思われます。


ご存知のように、1980 年代の半ばに、日本は世界の GNP の 1 割を占める経済大国となり、歴史上最大規模の経常収支黒字国、かつ世界一の債権国となりました。その時にすでに将来の日本にとって、少子化・人口の高齢化による労働力不足は、21 世紀に向かっての日本が直面する問題として頻繁に提起されていました。そして、労働力の不足は将来の年金制度のみならず、日本社会の持続的な発展にも影響を与えることが危惧されています。


そこで、女子労働力で労働力不足の問題を解決しようとするのが、当時日本社会のホット・トピックとなり、対応策の一環として、男女雇用機会均等法が考案されました。その後、国会で骨抜きの法案が可決され、1986 年 4 月 1 日から当法律が実施されるようになりました。ただし、男女同一扱いという最も肝心な内容は当時の企業にとっては努力義務にすぎなかったのです。その後 1999 年法改正の際に再度議論の対象となり、国会で可決された時、やっと企業の義務として位置付けられるようになりました。


それ以来、女性、特に高等教育を受けた女性の社会進出は徐々に活発になってきており、とうとう今日のような女性の就労環境が整備されるようになったわけです。20 年前、男女雇用均等法が発足した当時には、現在のような状況になるとはどうしても想像できなかったようです。


- 女性の力だけは不足。関心は海外労働力へ…-


それでも女性の力だけでは労働力不足は補えませんでした。1990年代に入ってから、日本企業において、仕事の適性と職種の新マトリックスが出来、多くの職種の付加価値がさらに高められたからです。幅広い能力や知識、技術も求められるようになりました。そして、グローバリゼーションの進行につれて、日本の企業もボーダレスの仕事環境に置かれ、外国との仕事関係はますます強化される一方です。


このような背景の下で、女性だけで労働力の不足を補う限界が見えてきたため、外国人労働者も企業の視野に入ってきました。ただし、ここで言っている外国人労働者というのは、1980 年代の「 3 K」( 汚い、危険、きつい ) 労働者ではないことを特筆すべきだと考えられます。


日本企業は、高等教育を受けた優秀な外国人を受け入れることを通して、国際舞台で展開する事業の対応をしようと考えています。最近の新聞を読んでいても、日本政府は優秀な外国人に日本で働いてもらい、日本社会に貢献してもらおうという動きが読み取れるでしょう。


今後、本コラムは、日本企業に関する知識、高等教育と人材育成、日本の社会・文化風土などをテーマにして、毎月二回ほど議論を進めていきたいと思います。具体的には、例えば日本企業を論じる際に、日本企業の二重構造、企業が期待する人材像、人材育成の方法、企業内研修、企業内文化、企業慣行、志望企業の応募方法、企業内でのキャリア形成など、多角的な内容を視野に入れる予定です。


いずれにせよ、いかにすれば読者の皆さんの就職・転職活動の一助になるかを常に念頭に置きながらお話を進めて行きたいと思います。


それでは、次回にまた今の内容の続きについてお話をしましょう。

執筆者 李尚波

桜美林大学 リベラルアーツ学群 講師

1989 年 7 月 北京外国語大学日本語学部卒業。
1997 年 3 月東京外国語大学地域文化研究科博士前期課程修了。
2004 年 4 月東京外国語大学博士(学術)学位取得
現在は桜美林大学 LA 学群で社会学、教育社会学、高等教育と社会参加、ジェンダー論、日本歴史文化論をテーマに研究を続け、講師として活躍中。

『女子大学生の就職意識と行動』 (2006年御茶ノ水書房)、 「女子大学生の就職行動における変化の全体像」(単、『国際教育』No.10(2004年10月)日本国際教育学会)、 「日本女大学畢業生持続就業的未来走向探析」(単、世界知識出版社『日本学研究』2004年7月北京日本学研究センター)、 「日本私学発展的現状及其特徴」(共、山西教育出版社『日本私立学校』1996年)

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